墨攻

墨攻 (新潮文庫)
酒見賢一 著
 史実を踏まえながら奔放な想像力で描く中島敦記念賞受賞作
 公輸盤こうしゅはんが楚のために雲梯うんていという機械を設計製作した。雲梯は城郭攻撃の際に兵士を城壁に取り着けることに威力を発揮する兵器である。現代的に言えば消防車の梯子車に似ているだろう。
(冒頭)
 墨子教団は不戦(非攻)を説くために軍事集団となった。大国が小国を飲み込もうとして攻めても、その城を落とせなければ戦う意味がなくなり、結局は戦のない世が実現するはずだからである。革離かくりは大国趙に攻められる直前の小国梁に入り、城の守りを固めることになった。

 こういうのを軍師というのだなと納得。どんなに軍師がよくても、国のトップがあれじゃあ、ねえ……。とはいえ、あれくらいの人の心が読めないようじゃ、軍師のほうもまだまだだったのかも?

「日本人が描いた小説が物語の舞台である中国で映画になるなんて、これは凄い事なんだよ」というのをどこかで読んで、「それなら読まなくちゃ」と思って手に取った。(もっとも、映画は主にコミック版をもとにしたものであるらしい)
 昔読んだ『後宮小説』も良かったが、これもたしかに面白かった。もっと早く読んでおけばよかったな。

墨守

(墨子がよく城を守った故事から)古い習慣や自説を固く守りつづけること。融通がきかないこと。「旧習を―する」
(広辞苑)

任侠

弱気をたすけ強気をくじく気性に富むこと。また、その人。おとこだて。「―の徒」「―道」
(広辞苑)
 本書『墨攻』は墨子教団の籠城戦術がたいへん面白かったので、最初は、この面白さを埋もれさせておくのは勿体ないというそれだけの理由で手をつけ始めたものである。『墨攻』は史実でもなく事実でもなく架空の物語であり、無論のこと歴史小説ではない。
(本書「文庫版あとがき」より抜粋)
墨攻 (新潮文庫)
墨攻




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