逆転世界

Inverted World
『奇術師』(映画邦題は「プレステージ」)のクリストファー・プリーストが1974年に出した本
英国SF協会賞受賞作
安田均 訳
 ついに六百五十マイルの歳になった。ドアの向こうでは、そのぼくをギルドの見習い員に認める式のため、ギルド員たちが集まってくれている。それは、興奮と畏れにみちたときであり、数分間の中にこれまでの人生がすべて凝縮されているのだ。
(冒頭)
 移動し続ける〈地球市〉で生まれ育った主人公ヘルワード・マンは、成人して、未来測量ギルドの見習い員になった。年齢の単位がマイルなのは、時の単位=距離の単位だから。この都市は人力でレールを敷設しながら、〈最適線〉をめざして年に36.5マイルずつ進む。最適線は常に移動するので、「そこに達したらもう動かなくてよい」という種類のものではない。これから都市が向かう方向は未来であり、通り過ぎてきた場所は過去だ。

 途中で出てくる、「過去」での体験がすごい。あれを経験したら、そりゃもう世界観が変って当然だろう。もしあの時あのまま〜〜したら、はたしてその人はどうなっただろうか。今までにそういう人はいたのだろうか。

 どこがどう「逆転」なのかを考えながら読んだ。途中で説明が出てきて「なるほどな」と思ったが、同時に「プリーストなんだから、これだけじゃ終わらない、きっともっと根底から世界をひっくり返してくれるはず」と思って読み続けた。
 期待通り。

『逆転世界』 『奇術師』




 SUNNY SIDE

読書記録