からくり砂絵

からくり砂絵―なめくじ長屋捕物さわぎ
都筑道夫 著
 連作時代本格推理 なめくじ長屋捕物さわぎ
「見たような顔だと思ったら、おめえさん、八辻が原の砂絵かきだな? ぶらさがってる仏に心あたりでもあるのか。だったら、遠慮はいらねえ。こっちへ来て、とっくり見てくんねえ」
 横柄に声をかけたのは、いまでいえば神田駅の東がわあたり、当時は白壁町の下駄新道にすむ常五郎だった。
「こりゃあ、白壁町の親分。かまわないなら、見せていただきますよ」
 六尺棒を押しのけて、センセーが入っていくと、やじ馬たちに背をむけながら、下駄常は声をひそめた。
「へっへっへっ、でけえ面をして、すいません。ガンニンの声が聞こえたときにゃあ、助かった、と思いましたよ。まったくセンセー、いいところへ来ておくんなすった」
(第二席 首つり五人男 抜粋)
 ガンニンというのは、なめくじ長屋に住む願人坊主。
 下駄常親分、今ではすっかりセンセーのファンで、何かっていうと意見を聞きに来る。この首つり事件では野次馬として見にいったセンセーを見つけて嬉しくなって、知恵を貸してもらおうと思ったわけだ。他人の目が無ければ普段はセンセーに対して敬語で話すのだが、人目があるとそうも行かないので、口調が最初だけ違っている。

 地名を出すときに、現代だとどこにあたるのかを説明してくれるのもこのシリーズの特徴。残念ながらわたしは東京の地理がさっぱりわからないので、せっかく説明してもらっても全然わからない。地図があったらいいのになあ。当時の簡単な地図。あ、現代のを用意しておいて照合すればいいのか!

 短編集なので、どの巻から読んでも大きな問題はないが、たとえば下駄常だって最初から先生にこんなに信頼を寄せていたわけではなくて、いろいろないきさつがあって今に至っているのだから、できればもともとの順番どおりに読んだほうがいいとわたしは思う。

 この巻は見事なパズラーだった。

第一席 花見の仇討ち

   若旦那衆が茶番の仇討ちに、さむらいが助太刀を申し出た。

第二席 首つり五人男

   松の大木の大枝に、ずらりとならんだ首つり死体。

第三席 小梅富士

   老人が死んだ。凶器は庭の大石。

第四席 血しぶき人形

   箒を持っていたはずのからくり人形が、血まみれで竹光を持っていた。

第五席 水幽霊

   人が寝ている部屋が、水浸しになった。

第六席 粗忽長屋

   センセーが行きだおれ?

第七席 らくだの馬

   死骸が踊るかんかんのう。

解説 東都生難物檀那あずまっこぱずらあのおやだま 中田雅久

転作印でざいん浮楽痴軽乗句ぷらくちかる・じょーく演比騒動えぴそーど面輩めんばあ有配当あるばいと弄僕徒ろぼっと須濫句すらんぐ別出藍べてらん

からくり砂絵―なめくじ長屋捕物さわぎ




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