きまぐれ砂絵
都筑道夫 著
連作時代本格推理 なめくじ長屋捕物さわぎ
落語が力をうしなったのは、歌舞伎は細部がわからなくても、見た目の美しさに、酔うことができる。しかし、落語は耳だけのものだから、江戸の知識がないと、わからないせいだろう。小説のテンポが崩れそうになるのも私がおそれないで、江戸の風物を詳説するのは、そのせいである。うるさく思わずに、江戸を吸収していただきたい。(あとがき 抜粋)
落語にはあいにく詳しくなくて……。タイトルを見てわたしでもすぐに分かったのは「長屋の花見」。読んでみて「そういえば」と思ったのが「野ざらし」。
「高田の馬場」も聞いたことがあるような気がするが、今ひとつピンと来ない。
こういうのは通が読むともっと楽しいんだろう。
第三席の冒頭は下駄常親分と子分の友吉の掛け合い漫才のようになっている。ひょっとして、落語のほうもそういう作り?
シリーズ既刊でタイトルになっていた「地口行灯」という言葉が文中に出てきたとき、「ああ、あれね」と思えた。江戸文化に詳しくなったような気がして、ちょっと嬉しい。もちろん、まだ付け焼刃の域にも達してはいないのだけれど。
新繰盤の
例声留
第一席 長屋の花見
大根の蒲鉾にたくあんの卵焼きで花見としゃれこんだなめくじ長屋の連中が、大量殺人犯になった?
第二席 舟徳
舟宿の女房が、つくりもののへびにかまれて死んだ?
第三席 高田の馬場
決闘を翌日に約束して別れた両者は結局現れなかったが、その一方の当事者らしき男が死体で見つかった。
第四席 野ざらし
野ざらしの骨に酒をかけて供養してやると、霊がお礼にやってくる?
第五席 擬宝珠
擬宝珠をなめたい病の若旦那が、鍋をかぶって死んでいた。
第六席 夢金
浪人者と若い町娘を舟に乗せたのは、夢か現か。
あとがき