かげろう砂絵
都筑道夫 著
連作時代本格推理 なめくじ長屋捕物さわぎ
かくして、『なめくじ長屋捕物さわぎ』シリーズは、江戸という過去を舞台にして、短編の本格推理小説を書く、という意図でスタートしたのである。
神田の貧乏長屋にすむ砂絵師を中心に、大道芸人、ものもらいといったアウトローの集団探偵をつくり、センセー、マメゾー、ユータといったぐあいにカナ書きにした。地の文は現代語で、会話は江戸弁に近い、明治の東京語で書く。
純粋な江戸言葉で書くと、現代の読者には、わかりにくく、注釈が必要だからだ。(解説 抜粋)
そっか、あの「ことしの花見は、豪勢にやろうてえんで、向島にくりだしたでしょう」とか「親分、てえへんだ。信濃屋に、こんなものが舞いこんだ。見ておくんねえ」とかいうあのせりふ、あれは江戸の言葉じゃあないのか。
ま、たしかに、江戸も明治もどっちもわたしには遠い昔だ。
この本で仕入れた言葉を日常生活や仕事で使うと……びっくりされるシーンがずいぶんありそう。
なめくじ長屋の連中の言葉じゃだめでも、年齢性別性格境遇が自分に近い人間の話し言葉ならOKだろうと思うが、そんな人ほとんど出てこないなあ。
共同便所、
恋愛小説、
法図、
第一席 酒中花
雨続きでなめくじ長屋の連中は商売あがったりだ。事件捜査の依頼もない。センセーは金でも借りようと下駄常の家を訪ねることにした。なんと下駄常は風邪で熱を出して寝ていた。
第二席 ぎやまん燈籠
幽霊がでて困っている家があると聞いたので易者の振りをして稼いでこようと思ったセンセーが、途中で下駄常に出会った。
第三席 秘剣かいやぐら
辻斬もどきに出あった下駄常が、その浪人が名前を出した男のもとを尋ねると……。
第四席 深川あぶら堀
辻斬に斬られたふりをしたら1両くれるというさむらいが現れた。
第五席 地獄ばやし
酔っ払いが男の死体を発見した。慌てて他の人を連れてきたら、そいつが女の死体になっていた。
第六席 ねぼけ先生
八辻が原に、手妻もまじえた芸で人目を引く女の砂絵描きが現れた。
第七席 あばれ纏
焼け跡でほぼ無傷で見つかった若い娘の近くには、匕首を手にした男の死体があった。
解説 松田忍