キノコの制癌機構
1968年、サルノコシカケ科(Polyporaceae)、キコブタケ科(Mucronoporaceae)をはじめとした、食用菌類の子実体(キノコ)を熱水抽出して得たエキスにSarcoma180等の動物移植ガンに対して宿主仲介性の顕著な抗腫瘍活性があることが報告され、一躍注目されるところとなりました。爾来、多くの研究者によってそれらの本体が単離され、いずれも酸加水分解によって主にD-グルコースを生成する多糖類、β-D-グルカンの一種であることが明らかになりました。
人間が消化吸収されないで排泄される高分子成分を「食物繊維(Dietary fiber)」と呼ばれています。一般的にキノコには、細胞膜の成分としてβ-グルカン、キチン質、ヘテロ多糖類(ヘミセルロース、ペクチン質、ポリウロナイドなど)に属している食物繊維などの多糖類が多く含まれており制ガン作用、血糖降下作用、免疫賦活作用といった、BRM物質(生物学的応答調整剤、Biological Response Modifierの略。免疫によって抗体が作られる過程を効果的に増強する物質、あるいは試み)として、生態防御や「生体恒常性(ホメオスタシス)」に関係することが示唆されています。
β-D-グルカン
β-D-グルカンの制癌機構は、宿主の免疫機能を賦活増強することによってガン細胞の増殖を抑制ないし排除しようとする免疫療法剤に属するものである点で、従来のガンの化学療法剤とは一味違うものです。すなわち、抗腫瘍多糖は、その作用機構からBRM(Biological Response Modifiers)の一種として位置づけられています。またキノコの食物繊維には、制癌活性を示すβ-グルカンが多量に含まれているので、薬膳効果が期待できますし、物理的作用によって腸管内で発癌物質などの有害物質を吸着してその吸収を妨げ、排出を早める(緩下作用)ので、結腸癌や、直腸癌の予防に効果とされています。
今日までに、多くのキノコ(コフキサルノコシカケ、ツガサルノコシカケ、マンネンタケ、マイタケ、シイタケなど)から単離され、化学構造が明らかになった抗腫瘍活性多糖類があります。これら活性多糖の活性の強さは、それらの分子量、分岐度、水に対する溶解性など微妙な関係にあり、最適投与量(経口・注射)も一様ではありません。また、必ずしも大量投与が有効ではないようでした。キノコに含まれるβ-D-グルカンのすべてが抗腫瘍活性を示すものではありません。水に対する溶解性、分子の大きさ、分岐度とその形式、β-(1→3)-D-主鎖中へβ-(1→6)-結合のつながり方式などによって活性発現の強弱が影響されるようでした。(そのあるものには水に不溶性ですが、希アルカリ抽出によってかなりの量のβ-グルカンが得られ、強い抗腫瘍活性が認められています。)
水野卓 博士 アガリクス茸MHC会報誌「ピレウス」に連載中のものを転載・要約
カバノアナタケの菌核(黒色部分)とアガリスク(参考例)の化学成分(乾物%)
成分
菌核(黒色部分)”チャーガ”
アガリスク
タンパク質
2.40
43.19
脂 質
1.37
3.73
灰 分
11.27
5.54
繊 維
19.38
6.01
食物繊維
58.25
表になし
糖 質
65.56
41.56
エルゴステロール
35.5mg %
0.14
静岡大学名誉教授 農学博士 水野 卓
菌核部分はCHEMICAL TIMES 1997 No.1(関東化学株式会社)より転載
アガリスクはアガリクス茸MHC会報誌「ピレウス」の水野博士連載より転載
上記の成分表は、たまたま癌に良いとされるアガリスクのデーター表があったのでカバノアナタケの成分表と比較してみた物です。(深い意味はありません)いずれも水野博士の計測によるものです。カバノアナタケの糖質の大部分は食物繊維でβ-(1→3)-D-グルカン、β-(1→6)-D-グルカンであることが判明しました。その多糖体を抽出し癌の発生に関係するcdc2リン酸化酵素をどれくらい阻害するかを調べた結果が下記の表にあたります。これらは水溶性、不水溶性の多糖体も強力に阻害した事がわかりました。(数字が小さいほど少ない量で抗腫瘍活性を表示)
静岡大学名誉教授 農学博士 水野 卓
CHEMICAL TIMES 1997 No.1(関東化学株式会社)より転載
活性酸素とカバノアナタケの抗酸化作用
およそ20年前、専門の研究者を除けば活性酸素についての知識のある人はほとんどいませんでした。最近では、特に老化現象に深く関わっているということが明らかになりつつります。その結果、ちょうど約50年前に起こった抗生物質の発見の時と同じように、多くの科学者が活性酸素の研究こそ人間の健康にとって、大きなインパクトを与えるものだと信じて、日夜研究に励んでいるところです。
活性酸素とカバノアナタケの抗酸化作用
およそ20年前、専門の研究者を除けば活性酸素についての知識のある人はほとんどいませんでした。最近では、特に老化現象に深く関わっているということが明らかになりつつります。その結果、ちょうど約50年前に起こった抗生物質の発見の時と同じように、多くの科学者が活性酸素の研究こそ人間の健康にとって、大きなインパクトを与えるものだと信じて、日夜研究に励んでいるところです。
ヒトの中でも、このシステムがうまく働かない人は短命なわけです。遺伝的にこの対活性酸素防衛システムに不具合がある場合がまれにはありますが、そういう場合は、老化が早かったり、若いうちに病気をしたりして、結局は生き残れないのです。食生活の中で、この活性酸素防衛システムに必要なミネラル類が不足すれば、結果は同じです。心臓疾患、ガン、関節炎その他の病気に掛かる可能性が大きくなるからです。
人間の体は、各種のタイプの数多くの分子から成り立っています。また、これらの分子は原子から出来ていますが、原子の数は全部数えても100以下です。すべての原子にはその中心に核があり、その周りを電子が回っています。太陽の周りを惑星が回るような具合に回っているのです。一般に電子はプラスとマイナスが一対(ペア)になって、安定した状態が保たれています。ところが、放射線や酸化を受けると、このペアが崩れて電子の1つが奪われ、ペアが崩れた電子が1つ残されます。このような状態の原子は、そしてその原子からなる分子は、危険な存在になります。どこからでも電子を奪って元の安定した状態に戻ろうとする傾向を持ち、攻撃的行動をとります。そして周囲の生物的組織から代りの電子を奪い取るわけです。
身体の細胞は、このような活性酸素の攻撃に毎日何千回もさらされています。活性酸素の1つ1つがそれぞれどこからかペアの電子を奪い取るわけです。奪われた側は、今度はそれ自身が活性酸素になり、電子をよそから奪います。連鎖反応の悪循環です。このような連鎖反応は、体の防衛システムがタイミング良く作動しないと、数秒間に数千の活性酸素を生み出すことになります。
この連鎖反応が起こると、多くの細胞が殺されることになります。殺されないにしても、細胞膜は破壊され、細胞の働き、つまり、栄養素、水、酸素などの扱いがうまく出来なくなります。活性酸素がDNAを攻撃すると、タイミングよく修理されない限り、ガンを発生させることになります。攻撃相手がミトコンドリアの場合には、細胞のエネルギーバランスを壊し、細胞はやがて自殺に追い込まれます。アポトーシスとして知られる現象です。このような細胞が腎臓にあるとします。腎臓機能は次第に衰えます。皮膚にあれば、皮膚細胞はゆっくりと変化し、コラーゲンが減少し、次第に色つやが失われます。
活性酸素は非伝染性の疾患の殆どに深く関与しています。炎症にも関与しています。歯肉炎、関節炎、脾臓炎、潰瘍性大腸炎等の疾患で重要な役割を演じます。
クレイトン博士の「英国流医食同源」より転載・要約
活性酸素は「穏やかな毒」とでも呼ぶべきもので、人体を常に脅かします。ゆっくりした死に追い込むようなものです。活性酸素の攻撃を受けた場合、防御システムに守られていない生物的組織は酸敗し、ついには死を迎えます。こういうわけで、活性酸素は老化プロセスの進行に関しては重要な役割を果たしているのです。
SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)とは元々人間の体内で作られる酵素で活性酸素をたちどころに消去してくれる作用がありますが、活性力は20歳代をピークにみるみる衰えていく事が明らかになっています。その対応として体外からビタミンC・E・Q、ポリフェノール、リコピン、βーカロチン等を補う必要が今日の健康食品ブームを生んでいます。
発掘!あるある大事典より転載
カバノアナタケのSOD活性(抗酸化作用)は驚異的です。
品名
SOD活性
アガリスク
1500単位/g
霊 芝
630単位/g
舞 茸
1100単位/g
トリュフ
860単位/g
山 伏 茸
1400単位/g
カバノアナタケ
35000単位/g
メシマコブ
110単位/g
(財)日本食品分析センター (キノコ類の分析成績書)
医学博士 星崎東明 著 カバノアナタケ(チャーガ) 健全社 より転載
このようにカバノアナタケは病気の原因である活性酸素に対しても強烈な消去活性があることが分析の結果により明らかにされています。
マウスに対する抗ガン作用の実験 サラダメロン社提供
試験方法
1. 実験動物 BALB/cマウス(雄) 5〜6週齢
2. 実験腫瘍 Meth A fibrosarcoma(メチルコラントレン誘発腺維肉腫)
3. カバノアナタケ培養抽出液の投与法
調整法 検体300gを蒸留水3リットルにて、100℃ 20分間抽出した。ろ過後、使用まで−20℃で保存した。なお、菌糸の生着がない木片を同様に抽出した液を対照とし用いた。
投与経路 経口自由摂取
4. 治療実験 BALB/cマウスに腫瘍細胞(Meth A の場合2X10 )を右腹側部に、皮下移植し、移植後9日(Meth A)より、カバノアナタケ抽出液(治療群)あるいは対照抽出液を自由に摂取させた。週2回、腫瘍容積を測定し、対照群と治療群を比較した。
5. 腫瘍容積の測定 腫瘍塊の長径、短径をキャリパーで測定し、以下の式で算出した。
腫瘍容積((mm)=1/2X (長径) X (短径)
6. 統計的有意差検定 Mann−WhitneyU−test(p<0.05)
試験結果
Meth A に対する治療実験
図に対照群および治療群の腫瘍増加曲線を示した。治療群の腫瘍容積は、腫瘍移植後16日目より統計的有意差((p<0.05)をもって抑制された。
注: 抽出液のかわりに水道水を自由摂取させた群の腫瘍容積推移は、本実験の対照群と同様であった。
結論
カバノアナタケ培養抽出液の抗腫瘍効果を胆ガンマウスに自由摂取させることにより評価した結果、Meth Aに対して有効であった。本研究はマウスにカバノアナタケ培養抽出液を与えたが、自由勝手に飲ませたものであり、カバノアナタケ培養物素材に対して、10倍の水で薄めたものであった。
サラダメロン社 提供(この実験は10年以上も前に実施されました)