成就院の三重塔

成就院は、}宥阿闍梨しょうゆうあじゃりという僧が堂宇の建立に努力し、慶長年間(1596〜1615年)に竣工したと縁起では伝えています。

三重塔は、享保14年(1729年)に地方の大工によって建立された、高さ約11.2mと小柄な特殊な塔です。

初塔正面のみが2間でその他は各1間、各層は箱を組み上げたような構造をしています。組物は二手先、軒は平行の一軒吹寄せと、塔としては珍しい形式。これは規模の小ささからくる省略形と考えられています。

塔内には、忍城主阿部豊後守忠秋から拝領されたと伝わる葉衣観世音菩薩ようえかんぜおんぼさつが安置され、享保時代の篤い観音信仰を背景に建立された三重塔であると考えられています。
成就院

成就院三重塔のプロフィール
建築様式 和様
総高 11.2m
建立年 享保14年(1729年)
軒廻り 一軒吹寄せ垂木
組物 二手先
中備え なし
柱間装置(初層) 正面:小壁付き桟唐戸
他の三面:板張り
縁廻り(初層) 縁なし
勾欄(二・三層) 組勾欄
創建者  
特徴 地方大工の手で建立されたこじんまりとした特殊な塔

雲肘木 観世音菩薩を安置

成就院の三重塔は、観音信仰を背景にして建てられた特殊な塔であると考えられています。

塔の中心柱を二層で止め初塔には降ろさず、須弥壇しゅみだんが設けられ、葉衣観音と両界五仏が安置されています。
また、天井には格縁が設けられ、格子ごとに花鳥の図が描かれ、左右両側の壁面には牡丹と唐獅子が極彩色に描かれています。絵師は有川藤原興信と墨書きで確認されています。

観音信仰に支えられた成就院の中心的存在だったことが窺えます。
雲肘木に組勾欄

組物は和様の二手先で、軒は平行の一軒吹寄せひとのきふきよせという、塔としては珍しい形式を用いていますが、これは規模の小ささから来るものと考えられています。

二・三層目では、中備えに蟇股かえるまたが置かれ、縁のまわりには組勾欄の内でも、直行して隅からはみ出た部分が上に反っている刎勾欄はねこうらんがめぐらされています。

二層には、珍しい雲肘木くもひじきがつき、三層には「補陀閣」と書かれた扁額が掲げられ、その他にも、長押や垂木に漆を塗るなど、創意工夫の跡が随所に見られる三重塔です。
組勾欄