百武彗星の立体写真(C/1996B2)

 昨年の3月22日に撮影された百武彗星の写真である。
 右が午後11時05分から3分間の露出をかけたもの,左が11時20分から7分の露出をかけたものである。
 わずか15分ほどの差だが、彗星が星の間を移動しているのがわかる。 
 百武彗星は鹿児島県のアマチュア天文家・百武裕司氏が発見した彗星で、地球に非常に接近した彗星である。(軌道がはっきりしている中では歴代19位)
 
 ところで、上の写真をうまく重ね合わせると彗星が浮き上がって見える,いわゆる3D写真になる。重ね合わせる方法は2種類あって,私は交差法(寄り目で合わせる)しかできないので, 上の写真はそのように並べてある。もし彗星が沈み込んで見える方は,画面をさかさから見て重ね合わせていただきたい。
 なお「3D天体写真」については,月刊天文誌「スカイウォッチャー」誌の97年 1月号で特集している。著者の伊中 明氏はホームページでいろいろな天体について精力的に3D写真を公開されているので,興味のある方は「アストロアーツ」のホームページのリンク集から覗いてみてほしい。
                     
 その他の写真データー   135mm F2.8開放  フジASA400ネガフィルム
                  撮影地  群馬県 赤城山山中 
                   *写真の明るい星はうしかい座のアークトゥルス

 また,この日を境にして,百武彗星の尾が急激な成長を見せている。これは,彗星の核の一部がはがれ落ち,フレッシュな氷が太陽にさらされ,蒸発量がさかんになったためと考えられている。尾の変化について以前の写真と見比べたい方はこちらへどうぞ。
 (百武彗星の尾の変化)

先週の続き                          先週のものを見たい方はこちらへ
 
 先週のあらすじ-------彗星撮影後,車のバッテリーがあがってしまい,山中で凍死しかけた私は・・・・。
 
 (そうだ。数年前に行われた鈴鹿のF1グランプリで,アイルトン・セナがスタートでエンストした時,彼は道の傾斜を利用して再スタートをすることができたのだ・・・。)
 幸いにも,今,車が停車している場所は,道幅は狭いが少し傾斜している。 
 私は意を決してサイドブレーキをゆるめた。 しかし車はビクともしない。
 しかたなくドアを開けたまま車から降り,右手にハンドル,左手でドアの枠をつかむと,渾身の力をこめて車を押した。
 「ズズズズズ」
 ようやく車はゆっくりと動きだす。 (やった!)
 すばやく乗り込む。車は徐々に速度をあげ,すぐにコーナーが迫ってきた。ハンドをきろうとして気がついた。
 
 重い!
 
 エンジンかかってないのでパワステがきかないのだ。
 思わず左足でブレーキペダルを踏み,右足を車から出して地面を蹴って曲がろうとする。
 「ゴモモモモモ」
 車は,なんとかコーナーを曲がり切ってくれた。 
  いくつかのコーナーを曲がる頃には,車は時速30kmに達した。よし!キーをまわしアクセルを思いっきり踏み込む。
 「ギギギギ ブワ〜ン」 
 つまり,坂道を利用して強制的にエンジンをかけることができたのである。(いわゆる押しがけ)
 こうして私は無事,福島の吾妻小富士近くの山中から生還することができた。
 薄明るくなった空の下,私は百武彗星とアイルトン・セナに感謝を捧げた。 
  
 *次週( 6月14日頃 )は「さそり座」と自然科学館のプラネタリウム「夏番組」について   
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