三冠について


トップページ > 講義室
三冠とは?

 約150年前、イギリスで創られたクラシックレースの中の3大レースを制することを三冠と呼ぶようになりました。そして日本もその影響を強く受けたので、日本にいるみなさん(もちろん私もですが(^^;)にとって三冠といわれれば真っ先にクラシック三冠のことを思い浮かべるでしょう。しかし、競馬に触れていると「短距離三冠」や「トライアル三冠」など三冠はさまざまな意味で使われています。つまり三冠という言葉は現在では広い意味を持つ言葉なのです。ですが、単に三冠といえばクラシック三冠のことだと思ってもらっても構いません。
 さて、イギリスで発案された三冠レースは各国で広がりました。と同時に三冠はクラシックに限定されるでなく、いろいろな使われ方をされるようになりました。そしてどの三冠もその達成の難しさから達成した馬、三冠馬は非常に評価され、尊敬されましたが、クラシック三冠は今も昔も最も高い評価を受けています。
 ここでは日本三冠と欧州三冠しか紹介していませんが、他国の三冠は講義室にある海外競馬の「各国の競馬」で紹介されていますので、探してみてください。
平場戦と特別戦

種類レース名格付け競馬場距離(m)負担重量出走資格
牡馬皐月賞GT中山2000定量3歳牡・牝
日本ダービー(東京優駿)GT東京2400定量3歳牡・牝
菊花賞GT京都3000定量3歳牡・牝
牝馬桜花賞GT阪神1600定量3歳牝
オークス(優駿牝馬)GT東京2400定量3歳牝
秋華賞GT京都2000定量3歳牝

 日本のクラシックレースはイギリスを見本にして創られたもので、皐月賞は2000ギニー、日本ダービーはダービー、菊花賞はセントレジャー、桜花賞は1000ギニー、オークスは英オークスを見本にしています。日本では牡馬と牝馬にそれぞれ三冠競走が組まれており、すべて芝コースで行われます。牡馬三冠はイギリスをまねて創られたもので、「春に2戦、秋に1戦で徐々に距離が長くなっていく」形式です。今もそのレース体系に変わりはありませんが、その価値は未だ揺るぎないものになっていることは言うまでもないでしょう。日本の三冠はイギリスに比べてマイル戦がない分まだましですが、夏が非常に暑いので夏バテにかかってしまう馬も多くいるので三冠を狙う馬にとって夏が勝負と言えるでしょう。それに、やはり距離の幅も広いので達成するのは困難なようで現在までセントライト、シンザン、ミスターシービー、シンボリルドルフ、ナリタブライアンの5頭しか三冠を達成できていません。
 また、日本には牝馬の三冠も認められています。牝馬の方も春に2戦、秋に1戦ですが距離の幅は牡馬に比べて狭いです。しかし、桜花賞からオークスへの距離延長、若い牝馬特有の調整の難しさ(人間でも年頃の女の子はよく分かりませんよね(^^;)などが拍車をかけているので、この牝馬三冠は過去にメジロラモーヌしか達成できていません。また、秋華賞はクラシックレースではなく、混合レースなので外国産馬も無条件で出走できます。なので、完全なクラシック三冠ではないのです。
 なおこの秋華賞は96年以降新設されたレースで、前年までは現在古牝馬も交えた牝馬チャンピオン決定戦となっているエリザベス女王杯が牝馬三冠の最終関門として、同競馬場2400m、3歳牝馬限定として行われていました。
欧州三冠

レース名(和名)レース名(洋名)格付け競馬場距離ハロン負担重量出走資格
ダービーSDerby SGTエプソム12F10ヤード馬齢3歳牡・牝
キングジョージY&クイーンエリザベス・ダイヤモンドSKing George VI and Queen Elizabeth Diamond SGTアスコットT12馬齢3歳以上
凱旋門賞Prix de l'Arc de TriompheGTロンシャンT2400馬齢3歳以上

 イギリス三冠にとって変わって今価値のあるものになっているのが欧州三冠です。現地で三冠と呼ばれているか分かりませんが、日本では一般的にそう呼ばれており、いずれにしても欧州3歳馬にとっての最強路線と言えると思います。競馬の祭典ダービーを勝ってイギリス3歳馬の頂点に立つと、次は真夏の最強馬決定戦KGY&QEDSで古馬の一流馬たちと対戦しなくてはなりません。それにも勝ってイギリスの頂点に立つと最後は芝の世界最強馬決定戦・凱旋門賞で世界から集まった一流馬たちが待ちかまえています。見ておわかりの通り距離はほとんど変わらないといえども達成するのはとてつもなく困難です。ただ2戦目のKGY&QEDSは3歳馬にとって勝ちやすいレースと言われています。というのもこのレース、3歳馬と古馬との斤量差が約5kgもあるからです。
 しかし、実は2冠を制した馬にとって凱旋門賞が最も敗れやすいレースのようです。それは凱旋門賞がフランスで行われるからです。フランスの競馬場の芝は浅く、スピードと軽快さが要求されるのですが、芝の深いイギリスで2冠を制した馬はたいがいパワフルなスタミナ型の馬なのでフランスの競馬場が走りにくいようです。2冠を制したことで当然マークもきつくなるでしょうから過去にミルリーフとラムタラの2頭しか達成できていないのもうなずけます。実はミルリーフがこのローテーションを歩んだことによって欧州三冠という概念が生まれたと言われています。つまり欧州三冠という概念ができてから達成したのはラムタラのみ、ということになります。
三冠の難しさ

 三冠を達成することがどれほど難しいかを統計的に見てみましょう。参考にするのはアメリカの二冠馬です。1877年にCloverbrookが惜しくも三冠を逃してから126年の間で二冠以上を制した馬は実に58頭います。その中で三冠を達成できたのはわずかに11頭のみで、47頭は惜しくも二冠止まりでした。二冠馬と三冠馬を出現率で比較してみると、二冠馬の出現率は37%、三冠馬は8%と、二冠と三冠の出現率にかなりの差があることが一目瞭然1で、三冠がどれほど難しいかがよく分かってもらえるかと思います。
米国二冠馬
馬名未勝利レース(理由)馬名未勝利レース(理由)
1877CloverbrookKD(未出走)1966Kauai KingBS(Amberoidの3着)
1878Duke of MagentaKD(未出走)1967DamascusKD(Pround Clarionの3着)
1880GrenadaKD(未出走)1968Forward PassBS(Stage Door Johnnyの3着)
1881SauntererKD(未出走)1969Majestic PrinceBS(Arts and Lettersの2着)
1895BelmarKD(未出走)1971Canonero IIBS(Pass Catcherの4着)
1920Man o' WarKD(未出走)1972Riva RidgePN(Bee Bee Beeの4着)
1922PilloryKD(未出走)1974Little CurrentKD(Cannonadeの5着)
1923ZevPN(Vigilの12着)1976Bold ForbesPN(Eloctionistの3着)
1931Twenty GrandPN(Mateの2着)1979Spectacular BidBS(Coastalの3着)
1932Burgoo KingBS(未出走)1981Pleasant ColonyBS(Summingの3着)
1936Bold VentureBS(未出走)1984SwalePN(Gate Dancerの7着)
1939JohnstownPん(Challedonの5着)1987AlyshebaBS(Bet Twiceの4着)
1940BimelechKD(Gallahadionの2着)1988Risen StarKD(Winning Colorsの3着)
1942Shut OutPN(Alsabの2着)1989Sunday SilenceBS(Easy Goerの2着)
1944PensiveBS(Bounding Homeの2着)1991HanselKD(Strike the Goldの10着)
1949CapotKD(Ponderの2着)1994Tabasco CatKD(Go for Ginの6着)
1950MiddlegroundPN(Hill Princeの2着)1995Thunder GulchPN(Timber Countryの3着)
1953Native DancerKD(Dark Starの2着)1997Silver CharmBS(Touch Goldの2着)
1955NashuaKD(Swapsの2着)1998Real QuietBS(Victory Gallopの2着)
1956NeedlesPN(Fabiusの2着)1999CharismaticBS(Lomon Drop Kidの3着)
1958Tim TamBS(Cavanの2着)2001Point GIvenKD(Monarchosの5着)
1961Carry BackBS(Sherlockの7着)2002War EmblemBS(Saravaの8着)
1963ChateaugayPN(Candy Spotsの2着)2003Funny CideBS(Empire Makerの3着)
1964Northern DancerBS(Quadrangleの3着)