調教コース・施設
各トレセンには馬の長所を生かしたり逆に弱点を補えるような調教コースや施設があります。
ダートコースの上に細かな木片(ウッドチップ)を敷き詰めたコースで木片がクッションとなり脚元への負担が和らげられる。現在のサラブレッドは脚元が弱い馬が数多くいてウッドチップを使う馬が多く、主流の調教コースとなっている。美浦には2種類の距離が違うウッドチップがあり、幅も栗東の2倍もある。
「はんろ」と読んで、ウッドチップを敷き詰めた勾配のあるコースで、文字通り坂路(さかみち)。それまで「東高西低」と言われ、関西馬より関東馬の方が圧倒的に強かったのだが栗東トレセンに初めてこの坂路が設けられてからというものの関西馬が活躍し始め、ついには関東馬を追い越してしまい、「関西馬飛躍の原動力」と言われた。しかしその後美浦トレセンにも坂路ができると関東馬も活躍し始め、今ではほとんど差がなくなってしまってる。坂路コースのおかげで日本のサラブレッドは少しでもレベルアップしたと言えるだろう。特徴はその「坂」、坂を駆け上がることで正しいフォームが形成され、後脚を使うのでスピードがアップし、しかもウッドチップのおかげで脚元への負担は軽減される。そして能力の高い馬は早くから坂路で早い時計を出すので能力の見極めがしやすいのも特長である。栗東トレセンの坂路は全長800mで勾配もきつく、美浦トレセンのそれは全長600m、栗東よりは勾配が緩い。
古くからあるコースで一昔前までは頻繁に使われていた。文字通り砂上を走るので力がつき、栗東にあるダートはB,C,Eと3つもあり、一番外側のEコースは1週が2200mもあるので3コーナーから走り出しても最後はバテてしまう馬がほとんどでそういう意味ではスタミナもつくと思われる。また、脚元に病気を抱える馬もよくこのコースを選ぶ。
芝コースは実践と同じ調教が出来るので、ウッドや坂路などで時計を出していた2歳馬などが芝でどのくらい走れるのかなどを見るのに使います。ですが芝というのは他の調教コースと比べて硬く、脚元への負担も大きいので最初からこのコースで調教される馬はいません。そんなことしたら真っ先に脚元の方が参ってしまうからです。ちなみに芝コースを走ってもゲームのようにスピードは上がりません。
綱にひかれてプールを泳ぎます。脚元に全く不安がないので脚元に不安のある馬や休養明けなどで馬体が太い馬などがプールを使います。実践的ではないのは言うまでもありません。
この他角馬場調整というものがあります。角馬場とは調教前に競走馬が輪乗りをして呼吸を整え、調教の準備をするところです。脚が弱い馬や疲労が溜まっている馬などはここでの調整のみで調教を終わらすこともあります。
<雑談トーク>
坂路のところで、関西馬より関東馬の方が圧倒的に強かった、といいました。これは関西の調教師が下手だったということではなく、当時の調教環境の差が生んでいました。栗東にトレセンが完成するまでは、関西馬は京都競馬場で、関東馬は東京競馬場で調教を積んでいました。そして関西の競馬場は京都と阪神、関東は東京と中山。違いが分かるでしょうか?そうです、直線に坂があるかないか、です。関東馬は坂のある東京で調教され、坂のある関東の競馬場でレースが出来ます。ところが関西馬は坂を上る機会がありません。だから期待の関西馬も、関東に行くと坂にやられてしまうのです。ところが坂路を持つ栗東トレセンが出来ると状況は逆転し、関西馬が台頭するようになったのです。 |
調教方法
調教のやり方です。
1頭で走らすことを単走、2頭以上で走らすことを併走といいます。ではどちらがどのようなときに使われるのかですが、各競走馬や調教師の考え方によって変わってきますので一概には言えませんが、単走の場合は1頭だけで走るので調教師の思ったとおりの強さで調教ができるはずです。併走の場合はより実戦的になり、レース前などの気合いづけに使います。また他馬と一緒に走ることで勝負根性もつくかもしれません。しかし、お互いが意識しあって走るのでその分タイムも上がり、馬体重の減りも大きいのです。
調教の強さは非常に大事な要素になってきます。その馬の体力の5分で走らすか、あるいは目一杯走らすかなどで脚への負担、能力の向上、疲れなどが変わってくるのです。以下に調教の強さを表す主な用語を並べておきます。
| 軽め | 馬の行く気を押さえて調教する。レース前などですでに調子が上がり、これ以上あげなくてもいいと判断された場合や馬体重が減っているときなどに用いられる。軽めの中でも1ハロンを15秒程度で走らす「15-15」といった調教もある。 |
| 馬なり | 馬に任せて調教する。馬に任すので緩くなったり強くなったりする。また、併走だと勝負根性のある馬なら強くなるだろう。 |
| 強め | 手綱をしごいて調教する。運動量も多くなり、時計も早くなるため体力や能力は向上するが、その分脚への負担は大きくなり、疲れも増す。 |
| 一杯 | スタートからゴールまで目一杯に調教する。運動量、体力や能力の向上、脚への負担、疲れなどはもっとも大きくなる。 |
その他ゴール前だけ一杯に追う、や直線だけ強めに追うなどさまざまな調教方法が取られています。
以上の調教コースや調教方法を組み合わせて調教メニューを組み立てていきます。レース前だからウッド、併走、一杯に追ってみたりレース前だけど仕上がってるから坂路、単走、軽めに追う、あるいは芝でどれだけタイムが出るか計ってみたいので芝、単走、馬なりで追ってみたりするのです。また、プール、角馬場調整では併走も調教の強弱もできないので覚えておいてください。 |