|
●環境は丸ごと守れ
われわれはなぜ希少種を守らなければならないのか。法律をみてみると、たとえば天然記念物は保護されます。でもそれを定めている文化財保護法は「文化財を保護し、且つその活用を図り、国民及び世界の文化向上に資する」なんてことが目的だと書いてあります。生き物が「文化財」だなんて、ヘンな話です。天然記念物は、珍しいから、学術的に希少だから、といった理由で選ばれてきましたけれど、そういう考え方は、自然保護にはあまり意味がないんです。
図を見て下さい(左)。三角形の底辺が資源量、高さが生物多様性の度合いを示しています。下のものは上のものに食べられる、という関係を示していて、てっぺんに位置するのは、「アンブレラ(傘)種」とか「指標種」とか呼ばれる種ですが、相対的に個体数が少ないこともあって、従来も保護対象になってきました。でも、肝心なのは、このてっぺんの種だけ守ればいい、というわけではないことです。三角形全体を見て、てっぺんの種は底辺の種に支えられている、という事実にこそ注目すべきだ、というのが、生態学的な希少種保護の考え方なんです。つまり、生きている環境全体を守らなければ、いくら頂点にいる種だけ保護しても意味がありません(下)。
でも、この「生態系こそが重要だ」という概念で作られた法律は日本にはほとんどありません。
|