SILVER code/KinKiKids リアルキスX5+1  

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リアルキス×5+1 〜HONY & STRAWBERRY LIPS  29th Birthday in the Φ 〜

 

きっかけはなんだったのか。

一晩おいて冷静になった今。

昨夜起こったことを思い返してみると
前頭葉が疼くような気に苛まされ剛は目頭を押さえた。

時計を見ると午前10時を回っていた。

剛にとってみると遅い時間の目覚めだった。

それでもすぐには布団から出ず惰眠をむさぼるように剛はまぶたを閉じる。

昨日はあれからどうしたんやっけ?


ライブがはけて、打ち上げいって、多少アルコールも入って・・・

もちろんあいつもいて・・・けど普通やった。

周りのスタッフの自分達を見る目が、
ちょっと違っていたような気がしないでもなかったけれど、
それはこっちの勘ぐりすぎかと思って頭から追い払って
得意のポーカーフェイスを貫いて何事もなかったかのように振舞った。

もちろん光一にも。

なにもなかったように。


いつも通りのオーラスの後。

祭りの後――――だったはずだ。




今日も深夜から生番組の仕事がはいっている。

午後には迎えがくる。

だから終わったことをあれこれ考えているほど暇なわけでもない。

それなのにぐるぐる回る思考は戻る。


昨夜のあれはなんやったのかと。


いや。違う。

剛は分かっていた。

事を起こしたのは自分だ。

起こったわけではない。断じて。



毎年恒例になっている年末年始のライブの打ち合わせやリハで、
この冬は相方とずっと過ごしていた。

その前からアルバムの宣伝のために二人で大阪のラジオ局まで
出向いたりもしていた。

これは立っての自分の希望でもあった。

珍しく事務所からOKが出て、大阪まで進出したのだった。

10周年という大きな節目の年ということがあったから、
今までやったことのないPR法をとろうという気負いは確かにあった。

夏のイベントや、10周年ということで雑誌でも二人一緒の撮影が多くあったりと
デビュー前後当時には決して及ばないが、ここ数年の中でやはり今年は相方と
一緒の仕事が多いなという感覚はあった。

表立ったソロ活動も一旦夏前に終わり、後半はほぼグループとしての活動が
中心だったのは間違いない。

それでなんとなく、この流れはちょっといいな。なんて思って。

ちょうど10周年という免罪符も手に入れたことやし、そろそろそんな時期かなと
光一をプライベートで誘ってみたりもした。

案の定、あいつは断りやがったが。

まあオレのタイミングも悪かったらしいが・・・

まあそれはいいとして。


けどありえなかった。

あんなことを自分がするなんて。

ネタで話すときはあったけど。

あくまでネタ。

いわゆるファンサービス。

内心、なんで相方に恋とか恋愛感情をもたなあかんね気色悪いわって思っとたし、
(いや、今もそれは変わらない気持ちやけど・・あんなことした後の今でも)
それは光一もそうで。

まあ、他のグループ内でもメンバー同士がライブのノリでキスしたりとかの話は
聞こえてきたこともあったけど・・・

正直ないわ。

無理やわ。

そんなんオレらがしたら解散やわ・・・とまで思うほど受け付けないことだった。

大体そんなノリを一部のファンが希望しているという事実は
キンキ結成当初から知っていた。

最初の頃こそ面白がって関西ノリで、自分達的には全くネタである
僕たち愛し合ってますパフォーマンスをさかんにやっていたのだが、
あまりにもそれが浸透しすぎてしまった。

結果上からも注意され、軌道修正しなあかんと光一とも話し合って、
いつからかそんなネタはあまりやらなくなった。
もちろん年齢を重ねたということもある。


最も何故か封印してからも、一部のファンの方向性の間違ったその熱は
地下にこもってますます熱くなっていったようだ。

テレビの収録、ごくごく普通に交わしてる何気ない会話や、
ちょっとしたスキンシップとすらいえないくらいの・・・
ただ肩や膝をぽんとはたくとか、当人ですら意識してない
目線の行く先に相方がいるからという些細なことまで拾って、

やっぱり二人はあやしい。ほんとはできてる。表面上では隠してる。
なんていう妄想癖を煽る結果にもなってしまったようで、
ファンの子の妄想とは恐ろしいもんやなと呆れながら二人で笑いあったこともあった。


実際インタビューなどで聞かれるたびに答えているように
ほんまに「普通」な二人やし、相方以上でもそれ以下でもないこの二人の関係は、
家族や兄弟や恋人でもなく友達でもなくて・・・

どんなに言葉に尽くそうとしても、いまいち相応しい言葉が見当たらなくて、
特別仲がいいわけでもなくかといって仲が悪いわけでもなく、
やはり説明するとなると「普通」としかいいようがないし、
それが今のところ一番しっくりする表現だと思っている。

わかりやすくと思って自分らのことを「夫婦」に例えたりもするけれど
それだって別に変な意味はない。

キャッチャーとピッチャー、バッテリーの関係だってよくそう言われるし、
具体的なフレーズとしてはまあそれに近いかなと思って便利に使わせてもらっている。



確かに第三者にはわかりえないそれこそ二人だけにしかわからない関係性があるといえば
そうなのだが。

それにこの「普通」が長続きするこつというか、案外重要なことだということは
互いに随分前から気づいていた。

多くを求めない。

互いの考え方の違いを認める。

あまり干渉せず一定の距離を置くこと。

ほどほどの付き合いが一番心地いいのだということに。

密度が濃い時間を持つのはそれだけ多くの衝突や摩擦を生むことに繋がる。

同じ部屋にいても相手に気を使うことなく自分の時間がもてる。

これこそ理想の関係ではないか?

そこんとこみんな意外にわかってへんのやなー 
なんて、相方に対する特別な気持ちをなんとか聞き出そうとする
質問を繰り返すインタビュアーに辟易しながらも優越感に浸ることもある。


仕事上のパートナーとして、もしかしてそれを超えるときも
あるかもしれない確実にある絆。

目には見えない。

言葉にはできない。

そんな確固とした絆はあると互いに自負はしていても
それを普段からわざわざ口にしたりはしない。

それで、あまりにも妙な・・・光一の言うボーイズラブ的な、
自分らに向けられている不健全な期待にはあえて応えてやるもんかというくらい、
互いの電話番号も知らないと、非情なほど、
徹底してKinKi Kidsはプライベートでは接点はありませんということを、
ことあるごとにアピールし続けてきた結果・・・

不仲説なんて流れたりもしてるがこれには失笑だ。

大体きみらはなんもわかってない。

不仲だとか仲がいいとか。

そんな次元ちゃうのやと言ったところで通じないのだから
こちらは口を閉ざすばかりだ。

あほらしくてやってられないわというのが本音だ。



そんなのとうの昔に突き抜けてる。



オレと光一は――――




そんなスタンスはこれからも変わることはない。

なのに・・・・・オレが壊したのかもしれない・・・・昨日。





光一へのプレゼントを用意した。20代最後のあいつの誕生日の。

いつもの色紙はやめた。

一応これでも悩んだ。

ほんまに使えるものプレゼントしようかと今回は思ってたし
あいつも、また色紙かと予想してる気がしてそこは外していこうかな
なんて、ちゃんと計算して。

いろいろ悩んだあげく、女の子が女の子にプレゼントするようなものを
選んでしまったわけだが、まあそれはしょうがないやろ。

ちゅーかあえて狙ったということもなきにしもあらずだが・・・

あいつの風呂好きは知っとたし、入浴剤を使ってると聞いてたから、
それらしいものを探してみたら
ちゃんとプレゼント仕様になってるセットがあった。

幸せのピンクなんて商品名で外見も中身も全部ピンクやったけど、
まあええんちゃう?オレセレクトらしいやん。
かわいらしと思って買った。

それ以外に男らしいものも買った。

といってもこちらはマネージャーに買わせた。

そうして準備万端。祭りの用意は整っていた。







――――が。






31日のコンサートが終わってそのまま恒例の
ジャニーズメンバーのカウントダウンコンサート。

年明け一発目。


つまり1月1日になった瞬間。

光一の誕生日。29回目のその日が訪れた瞬間。




長瀬だ。



最初からあいつがなにやらよからぬことを企んでいるのはなんとなく、
彼の様子からわかっていた。

何気なく移動して光一の隣に陣取ってたあいつ。

あーきっとあれやろな。

一番に親友の光一に「おめでとう」言うんやろな。

オレはそう思ってた。

一番先に光一のバースデー祝うのはオレだ。
みたいなちょっとした子供っぽい意地のような趣向。

オレは余裕かましてそんな長瀬を微笑ましくすら思って横目で見ていた。


が、違った。


あいつの行動は、そんな生易しいものではなかった。

もしかすると、光一をでかいガタイの長瀬が抱えあげて、
いわゆるお姫様抱っこくらいするんちゃう?
と予測していたオレの予想をそれは上回った。

あいつはやりやがった。

ひきつるんちゃうかと思われるほどタコのように唇をちゅうの形にして、
逃げる光一の頭に手を添えて。

やりやがった。






最後――――

嵐の松本にKinKi Kidsのコメントを求められて光一は
「こいつとずっとやっていくからさ」
なんて後ろにひっついてるオレの腕を掴まえて、
さりげなくほろりとくるようなことオトコマエに抜かしたけど――――







オレはその日。

その日だ。

光一の誕生日の元旦ライブ。

Φコンのオーラス。

いつものようにステージ上であいつの20代最後のバースデーを祝った。

うん。いつもどおりやった。

オレのプレゼントの中にはリップクリームが入っていたのは偶然か必然か。

しかもネーミングは「みつめてハニー」ときたもんだ。

最高やないか。


けど・・・きっかけは。

そうや。

あいつが言うたんや。



「誰とキスするのかな リップクリームも入れておいた」

リップクリームを取り出してオレが問いかける――――

と、まあこっちがそんな罠張ったのは確かやねんけどな、
まんまと引っかかってくれた――――


「年明け一発目のキスが長瀬だぜ」

って。

無邪気な顔して笑った光一。

オレから振るまでもない。

こいつ・・自分で地雷踏みやがった。


ああ、知っとるよ。

全国放送のテレビで、生で、長瀬がおまえのほっぺにぶちゅーっかましたの
至近距離からオレは見てたから。

あのときのオレの表情をな、苦笑っていうねんで。

おまえはわかってないねんけどな。



だから・・・・


――――次の瞬間、立ち上がりざまに


あいつの顔をがっと掴んで同じ箇所に唇押し付けてやった――――


ぶちゅーっと一発。



あいつはかなり驚いてそのまま崩れ落ちてしまったけどな。

なんかあんときはちょっとだけザマーミロ的な気分もあったかもしれへんが。

ほっぺにちゅうくらいでそこまで狼狽されるとは上々やな。

「今年はいって二人も男とキスやわぁ〜」「うれしかねーよ」

と光一。

うっさいわ!このおっさん!おまえは自分のことなんぼの乙女思ってるんや?

29歳のおっさんやでおっさん!

って

ちょっとその姿を見たら・・・なんやこう虐めたくなるような、
わるーいいたずら心ってやつが芽生えてしまった。


ファンはファンで「もう一回!」なんてうるさくコールし始めるし

おまえらはだまれうっさいわボケ!と思ってたら、

「シャラップ!」

と光一の怒声。

あいつはあいつで必死なって会場を黙らせようとしてたみたいやけど、
そのときすでにオレの心は決まっていた。


だから今度はあげたリップを自分の唇に塗りたくった。

そしたらあいつ、何しとんねん・・・!って完璧びびっとった。

「光一いいか。いくで」って言ったらあいつ「いらんわ」って。

「めっちゃ怖い」って。

もう絶対したるって思って「早く目ぇつぶれ!」って言うたら
素直に目つぶってるし。

ほんまこのこはあほの子やなあと呆れて俺は唇奪ってやった。


逃げられへんように両手で顔を押さえて。


倒れこむ光一。

放心状態になってまって。


あーこれはやっぱやりすぎたか?ても思ったけど
してしまったものはしゃーないねん・・・

もう開き直った。

後には引き返せないから今日はこのままいこうって。

オレかて今年唇にするのおまえが初めてやんなし。

「オレがおまえの唇奪わんでどうする」まで言い切った。


もうそっからあいつはぐだぐだになってしまって。

かわいそうやったけどどうにもできへんし。

まあオレのせいなんやけど。




「10年やってきて、10回目でキスしたし次20回目なのかわからんけどな
オレが38のおっさんんときに39のおっさんにキスしたら・・・・見苦しいけどな」

なんてオレの口も止まらなくて適当に支離滅裂なことを言ってたら、
あいつが言ったわけ。

「14,5年ぶりにあなたと・・・」と。


忘れられないのあの人間失格のプールサイドのキスシーンのことだ。

おまえもそれ思い出したんか。

あんときのオレは完璧受身でしたけどね。

今回は逆にあいつの唇にキスしたわけで、
その過去のキスと比べた感想ということで

「なんかちょっと唇の味変わったんちゃう」

これでまたあいつの心臓はヒートアップ。


そのくせあいつはご丁寧に

「剛、君の唇は一番大事な人のためにとっておきなさい」

と説教くれた。

だから

「いや、それはね、ユーだよ」

と指差してやったわ。


そしたらもう顔真っ赤やねん。おもろいやっちゃほんまに。


そのくせ

「こんなことしたらホモ言われる」

とか抜かす。


あほかと。

おまえは何この期に及んでそんなこと抜かしとんのやと。

相方のおめでとうキスを黙ってこのライブのノリだと思って
受け止めてくれればいいものを。

ほしたらオレかて、それで終わったんや。

けど君ががたがた体裁取り繕うとして・・・

まあそこがあなたの健気なところなんやけど。


ホモなんですか?ああ上等ですよ?

もうホモでもオカマでもどっちでもええわ。
そんなん言われるのいややったら最初からせえへんてあほんだら。






その後のMC、あいつすっかりリズム崩れてもうて、
衣装脱ぐの忘れるわ、顔は真っ赤やわ、挙動不審で目まで潤んでるし、
放心状態で話もでけへんようなってるあいつ見てるうちに
やっぱやりすぎたかな・・・思ったからオレがその後の進行したんやないか。


まあ全部オレのせいなんやけどな。


で、またキス話に戻ってあいつが

「目閉じるとここ(唇)乙女の匂いするんだけど剛かと思うと一気に・・・・(萎える)」
「うれしかねーよ」

とかなんとかほざいたから、もうこいつ絶対またやってやるって思った。

おまけに

「このキスはグループとしてのずっと二人でやってきた意味での愛として捉えますよ」

と真面目くさってほざく始末。

「あたりまえやがな」

相方愛以外、おまえにこんなんせなあかん理由がないわ。

ほんま天然さんというか大ボケすぎるわと笑いをかみ殺した。

そんでいよいよ曲いこうとなったときまだ動揺している光一。

「次の曲いこうと思うけど・・・何か歌うてもおまえが浮かんでしまう。ここにおんねん」

と 唇指差してひとりで照れて笑って

「まあええわ。そのときの気持ちで歌うわ」


ほんままるで初めて唇奪われたウブな乙女そのものやん。笑うでまったく。


ほんでオレはわざと

「じゃあ歴代好きやった人の顔を思い出して歌えよ」

って言ってやった。

しれっと。

そしたら「いいの?」と真に受けてるあいつ。

案の定会場からは「え〜!!」のブーイング。

光一は困ってるからそれがまたおもろくて、

「オレの顔じゃちょっと役不足だって言っちゃうのか?」

とトドメさしてやった。

そこは「剛を思い浮かべて歌うよ」だろうよ?と。

そしたらやっとわかったのか「おまえを思い浮かべて歌うよ」

で、なんかMCもグダグダになってもーて、言いたいことはわかるけど・・・
全然歌にはいられへんし。


・・・・おまえがドキドキしてんのわかんねん。まあオレのせいなんですけど・・・


曲はちょうどいいことに「Harmony of December」

オレは光一の肩に手を置いて歌いはじめると、あいつもちゃんと寄りそってきよるし

サビのところであいつは「〜君に逢いたい 今逢いたい 離れた一秒も」

でオレを見つめて歌うもんやから、かわいいとこあるやんと、
負けじとあいつの髪を撫でてやった。

さらに顔から胸元まで撫でてやったら、
びくんってまた動揺したあいつは歌詞飛んでしもたけどな。


最初は光一が動揺しとるの見てるのおもろかったのに、
あんまりマジになっとるし、なんやだんだんこっちにまで伝染して
オレもその後ようわからんようなってしまって。

ちゅうかあんときのオレはなんやろ。

説明でけへん気持ち、なんやろ、なんかもう熱い塊が
ぐっと喉んとこにこみ上げてくるの必死に耐えていた。

おまえもかなり動揺してたけど、

オレのこの気持ちは一生おまえにはわからないやろ光一?





2回目のMCでも光一

「オレ、なんか、おかしい」  
「まだ、おんねん。お前が」(唇に)

なんて言うし、オレもそんなん言われると
なんやおかしなってしまいそうでちょっと焦った。

自分からしかけておいて、後からじわじわくるこの気持ちって
なんやねん!?と・・・


その後即興で


「オレはオレを 愛してる 
 オレはオレを 愛してる 
 ナルシストじゃないぜ〜」

なんてへんてこな歌詞をあいつに歌わせるのに成功して
ますます気分は盛り上がってしまった。



後半のMCでもまだひきずってて、
光一は全然喋れんようなってるから突っ込んだら

「ドキドキしてます」
なんて言うし、もうずっと乙女モードから抜け出せないあいつ。


「その顔見てると、なんとかしてやりたい思うけど、犯人オレやからな」

と言ったのは本音。






そして――――




自分のソロの後、オレがスポンジのベッドに飛び込んだら
飛んで火にいる夏の虫とはあいつのこと。

おまえもちゃんと走ってきたもんな。全速力で。

オレの手を掴んで引っ張りあげようとしてそのまま落ちるというお約束。


ほんまにあほやなあ・・・ただで帰しますかと。

オレの手にはハンディが握られてんねん。

ふざけあって一緒にスポンジベッドでひとしきり遊んで、
やっとこさ出たところであいつを抱きしめたら
あいつもオレに抱きついてきてそのまま、またダイブ。

スポンジに埋もれてる光一を起こそうと手を差し出したら、
あいつ、オレの腕に抱きつくようにしてきたから
そのまま馬乗りになって下になってる光一の、邪魔な両手を
振り払ってカメラ向けてやった。

そしてそのままあいつに覆いかぶさって・・・

二度目のキスを唇にくれてやった。


あいつの手が脱力していったのに
なんとも征服感がわく感じを覚えてしまったわけで。



ほんまオレは悪いやっちゃなー。

もう極悪人や。


まあ会場のみんなにわかりやすいように、
あいつもピースサインなんて送る余裕はあったみたいやけどな。


で、あいつときたら「襲われた」だと。

まあ確かにその通りです。

襲いましたけど。



そんであほな子の光一はラスト「永遠に」を歌った後に  
(オレからの一連のキスが)「本当に嬉しかったんです!」

と声を張り上げ邪気のない顔をして言った。オレを見て。



オレはなんだかこいつのド天然・・というより素直すぎる・・・
もっというなら、もしかして純粋ともいえるのかもしれへんその心に
なんややられてしまったような気してたけど
なんとかポーカーフェイスは守っていた。

やってカッコわるいねん。

しかけた自分が動揺してるのバレてまうなんて。

それはあかんねん。

絶対。




その後のアンコール。

メンバー紹介をして・・・・とやってると
バンドがサプライズでハピグリを演奏してくれた。

これにはちょっとびっくりしたけど
素直に喜んで曲にあわせて二人で向き合ってダンスをした。

もういくしかないやろ?

ほとんど変わらない身長だから背伸びしてあいつのデコに一発してやった。

両手で頬を支えてな。

その時点ではもうすでにあいつも慣れてて向き合って自然に受け入れてたのが
またおかしい話なんやけどな。

まるで女みたいに。

ん。あれはちょっと違ったかもしれへん。

少し神聖な感じもあったかも・・・・


・・・・・


オレもおかしなってるか?やっぱり・・・



で、その後や。





天然とは恐ろしい。

「ここ長瀬。ここ剛 ここまた剛。・・・ ここがあいてます」 

と左の頬を自ら指した・・・光一・・・


あのマシュマロみたいな笑顔で。

オレのいっとう好きなあの顔で。


それは冒頭「開いてる頬はファンの皆さんに」で丸く収めて
「うまいこと言えるようなったな。29歳やもんな」
で終わったはずやったけどな。
ここで蒸し返してしまったあいつの誤算。いや計算?


やからオレは・・・誰がいいかな〜と選ぶフリしてたら

ようやく、自分が今何を言ったのかわかったんか、光一はあわてたように顔赤くして


「いや誰かにしてって言ってるわけじゃないよ。
違うよここは・・ここはさっきも言ったように・・・」

とフォローするも


もう遅いちゅうねん。


もうここまで言われるとやらなあかんねん。

オトコとしては。

ちゅーか、やってほしいんやろ?

不意打ちでめでたく飛びついて左の頬にもくれてやった。





長瀬がなんぼのもんや。




これで全パーツ制覇。


と、めっちゃこの日は主導権握ってたオレ。


そうしていよいよオーラス最後の最後。



もうこれで終わりやと。

キスのこともひとまず忘れて全部終わるなーと思ってたら・・・

あいつはやりやがった。

Wアンコールでのソロパートのとき。


光一がいつもみたくオレのケツ触ってくるから
うざいな〜またこのおっさんは・・・と思いつつ
ノーリアクションで放っておいたら




!?




突然背後から近づいてきた思った瞬間、
そのまま右のこめかみ上部分に唇の感触が。





!!!!!!


みつめてハニー


―――――キスしてきやがった。
 

あまりにも意外なあいつのぶっ飛んだこの予想外の行動に


オレは・・・


悲しいかな膝から崩れ落ちて歌えなくなってしまったというのは情けない。


ものの見事にポーカーフェイスが崩された。




ほんまに・・・




これだからあほな子光一は恐ろしい。


絶対おまえにはでけへんやろとタカをくくってただけにこの不意打ちは効いた。

しかも口ではなくて髪の毛に軽くちゅうされたくらいで
ノックダウンされた自分が情けない。

これはあいつの仕返し。

延長の最後の最後に逆転ホームラン打たれた最悪な気分。

あいつが
オレが(どうせお前にはオレにキスするなんてことは死んでもでけへんやろ)
と思ってたのを裏読みして、計画的にこの行為をしたのかと思うと、
やられた感いっぱいになってしまった。

なんちゅうか敗北感すら感じた。


あいつはきっと、してやったりという、
さっきまでキスひとつ決めるごとに俺がしたであろう
満足げな表情をしていることは見ないでもわかった。




や・・ら・・れ・・・た。






結局はこのキス合戦。





ダメージ受けたのはどっちやったのかわからなくなってもうた。




そういや殊勝に「今日はずっと受身な気分」なんて乙女モード全開やった光一は
オレを油断させておいて、きっとラストのこのときが
オレに反撃するチャンスやと狙ってたんやな
やっぱあいつもオトコなんやなと
当たり前のことに気づいたそのとき、

不覚にもオレは、愕然とした幸福感ともいえるような
ものに包まれてしまっていた・・・


 


そんな昨日 2008.1.1 29歳のあいつの誕生日の出来事――――



たぶん死ぬ日まで忘れへんやろな・・・・オレは。











                                 end?






―これは事実を元にしたフィクションです―