3日本語レッスン

 2005年6月1日

 33.「〜てある・〜ておく

 

●「〜てある」と「〜ている」

結果の状態を表す「〜ている」については「〜ている」で説明しました。

「〜てある」も「〜ている」も結果の状態を表す点でよく似ています。

次に両者を簡単に比較します。

 

1)「〜ている」(結果の残存(状態))

  「〜が」+無意志動詞(自動詞)+ている

  例:「窓が開いている」「エアコンがついている」

  ・行為そのものではなく、その結果や変化に注目する表現である。   

  ・人間などの意志(意図)が含まれていない場合、あるいは、自然力の影響などでできごとが起こった場合に用いられる。

 

2)「〜てある」(結果の残存(状態))

「〜が」+意志動詞(他動詞)+てある

例:「窓が開けてある」「エアコンがつけてある」

   ・行為に注目している。

・人が意志(意図)的にそのできごとを引き起こしたととらえる。

 

「〜ている」は自動詞と、「〜てある」は他動詞と結び付きます。両者は意味的に重なる部分がありますが、話し手の注目点が異なります。つまり、「〜ている」ではその状態だけに注目していますが、「〜てある」では状態と、その状態を引き起こした行為・行為者に注目しているので、行為者が何のために

そうしたかについて一緒に述べられることが多いです。(1)は自然のせいで、(2)は行為者の意図によって窓がどういう状態にあるかを示しています。また、(3)は「〜ている」と「〜てある」の違いがよく出ています。

 

 (1)風が強かったせいか、閉めておいた窓が開いている。

 (2)空気を入れ換えるために、窓が開けてある。

 (3)A:寒いと思ったら、窓が開いている。

              B:開けてあるんですよ。

              A:どうして。

              B:さっきまでタバコの匂いがしていたから。

 

 

●準備の状況を表す「〜てある」

行為者の意図を示すという性質から、「〜てある」は単なる結果の状態だけでなく「準備の状況」(前もってしてある、準備がしてある)という意味を表すことがあります。

 

3)「準備の状況」

「〜が/〜を」+意志動詞(自動詞・他動詞)+てある

 

 (4)結婚式の手配はもう、してあります。

  (5)花見の会場はもう下見に行ってある。

 

「準備の状況」の「〜てある」では、「掃除がしてある」「掃除をしてある」や(6)(7)のように、「主語+が」の形をとる場合と、「目的語+を」をとる場合があります。

 

(6)私の家には胃の薬がいつも置いてある。

(7)ホテルを予約してありますから、心配しないでください。

 

●「〜ておく」

「〜ておく」は通常ひらがなで表されます。「〜ておく」の意味用法は、普通、次の2つに表されます。

 

1)「前もってする」

 「行為者+が」+意志動詞(自動詞・他動詞)+ておく

 

 (8)行く前に相手先に電話しておく。 

 (9)今晩人が来るので、ビールを買っておこう。

 (10)若いうちに、苦労をしておいたほうがいい。

 

2)「そのままにする」

 「行為者+が」+「目的語+を」+意志動詞+ておく

 

 (11)A:窓を閉めましょうか。

    B:いえ、(そのまま)開けておいてください。

 (12)子供のやりたいようにやらせておく。

 

「〜ておく」の基本的な意味は、「あとに起こる事柄を予想して、前もって

何かをする」というものです。

1)はもちろんのこと、2)の「そのままにする」もある目的・予定・予想のためにそのまま放置しておくのですから、このような意味になります。

あとで部屋を使うので、そのまま「窓を開けておく」のであり、また、子供が成長するためにとか子供が自分でわかるまでは「やりたいようにやらせておく」のです。

1)の「前もって何かをする」はしばしば「準備」という言い方をされますが、(10)のような例が「準備」に当てはまるかどうか疑問が残ります。

したがって、1)は「準備」というより「前もって何かをする」と考えたほうが適切だと考えられます。

 

「〜ておく」は通常、(13)のように話し手自身の行為・動作に用いられます。第3者が主語である(14)は不自然に感じられます。

 

 (13) 私がやっておきます。

 (14)?田中さんがやっておきます。

    (→田中さんがやっておくそうです。)

 

「〜ておく」は話しことばではしばしば次のような縮約の形をとります。

 

置いておく → 置いとく  食べておく → 食べとく  来ておく→ 来とく

話しておく → 話しとく  見ておく → 見とく    しておく → しとく

飲んでおく → 飲んどく

言っておく → 言っとく

 

●「〜ておく」と「〜てある」の違い

「〜てある」「〜ておく」とも、「前もって」という意味を持つために、どちらを使っても同じ意味になることがあります。

 

 (15)a.必要なときいつでも着られるように、洗濯しておいた。

    b.必要なときいつでも着られるように、洗濯してある。

 (16)a.今晩人が来るので、ビールを買っておきました。

    b.今晩人が来るので、ビールが買ってあります。

 

a,bの違いは、a「〜ておく」が(前もって行う)動作のほうに焦点が置かれるのに対して、b「〜てある」は動作が行われた結果の状態に焦点が置かれる点です。

また、「動詞+ておく」がとる助詞は動詞が本来とる助詞のまま(切符買う→切符買っておく、トイレ行く→トイレ行っておく)です。