今月のコラム
コツメカワウソ誕生
日立市かみね動物園 正藤陽久獣医師
生後5日目
生後30日
かみね動物園には2人の獣医師が働いており、この第三支部に所属しています。今回は、昨年11月に第三支部から贈られた(動物園職員の立場から)コツメカワウソのコウメちゃんに待望の赤ん坊が生まれたお話しです。
お腹も膨らみ、乳首も大きくなってきていた8月30日の朝、寝床として使っている麻袋の中から「ミューミュー」と鳴き声が聞こえ、生まれたことに気づきました。動物園では、難産などが心配されるとき意外は、安心して産めるような環境造りはしますが、獣医師や飼育担当者が出産に立ち会うことは無いので、生まれているのを朝発見することが多いのです。
今回は安産で母乳の出も良く、赤ん坊はパンパンに満たされたまん丸のお腹を横たえてスヤスヤと眠り、何の心配も要りませんでした。(*´∀`*)♪ ちなみに、お父さんのダイキチ君も甲斐甲斐しく赤ん坊の世話をし、抱いたり舐めたりと、オッパイこそ飲ませることはできませんが、コウメちゃんに負けないくらいの愛情をそそいでいます。こういうとき獣医師はすることが無く、とても安心していられます。ただ、毎日の回診を増やし、いつもより注意深く観察することは怠りません。
さて、コウメちゃんとダイキチ君の深い愛情に包まれ、赤ん坊も生後一月を無事過ぎました。飼犬や飼猫でしたらそろそろ(生後40〜60日)、1回目の予防注射ということになりますが、カワウソに予防注射は打ちません。なぜなら、カワウソ用のワクチンがないからです。犬や猫用の物を打つのも一つの考えですが、そもそも犬や猫の伝染病にカワウソが罹るかどうかが分らない(ジステンパーは同じイタチ科のフェレットが罹るので、罹る気はしますが。)のに打つのはどうかなと思いますし、犬や猫でさえ稀ではありますが副作用がでることがありますので、種の違うカワウソに打った場合どんな副作用がでるか分らないのです。生ワクチンですと、最悪その病気に罹ってしまうなんて洒落にもならないことが考えられます。それと、外部との接触機会の少ない閉鎖的な環境で飼育していることも打たない理由の一つです。
健康管理の上から予防注射は効果の大きいものですが、このように野生動物への応用はまだまだ未知数なところが多いのが事実です。そして、そんな中、動物園の動物たちの健康を日々奮闘しながら守っている獣医師が動物園にはいることを知ってもらえたら幸いです。(なんか、自分のPRになってしまった、、、(;´▽`A``アセアセ
もちろん、主役は動物たち!! カワウソの2頭の赤ちゃんは、すくすく育って、やっと目も開き動きも活発になってきました。これからが一段とかわいらしくなる時期、皆さん、ぜひ見に来て下さい (*´ェ` )(´ェ`*) 。コウメちゃんのお母さんぶりも見ものですよ。お待ちしておりまーす。
9月のコラム わかばペットクリニック 大河原 崇 獣医師
ペットのガンについて
犬や猫は医療の進歩や食生活の改善、飼い主の意識の向上によって以前よりもかなり高齢化がすすみました。しかしその反面、現在では人と同様にガンの問題が死亡原因の1位になりペットを飼う上で避けては通れない問題になってきています。
しかし実際、ペットを飼う上でどのようなことを知っていて、どのようなところを注意していたらいいのでしょうか?
ガンの治療をする場合に一番大事なのはもしガンにかかってしまったらなるべく早期に発見して早期に治療することです。それは早期に発見し適切に治療することで完治する場合もあるからです。
動物は人のように言葉を話してくれませんからガンを早期に発見する為には飼い主さんが動物の状態を毎日よく見ることがとても大事になります。食欲、排尿、排便の状態、元気はあるか、体重は減ってきていないか、全身をよく触ってシコリがないか、咳や鼻水、鼻血などがないか、痛みのある部分はないかなど家で飼い主さんが初期症状を見逃さないことです。
また定期的に動物病院で検診を受けることはガンだけでなく他の病気を発見するのに役に立ちます。高齢の場合は特に1年に1回以上検診をするべきです。血液検査、尿検査、便検査、レントゲン検査、心電図、超音波検査などを行うことで発見される場合もあります。
ガンと診断された場合にはどのような治療があるでしょうか?
一般的に一番多いのは外科手術です。この方法は比較的早い段階で見つかった限局的なガンの摘出を行います。完全に切除できた場合には完治する可能性もあります。
次に多いのは化学療法です。リンパ腫のような血液系の腫瘍や摘出困難なガンの治療などに行います。
放射線治療は施設が限られますが鼻部や皮下組織の一部のガンなどに使用されています。
また根治不可能なガンやその他の理由で治療を行わない場合に免疫増強作用や新生血管の抑制に効果がある可能性があるサプリメントなども使用される場合があります。
どの治療法も長所も短所もあります。万が一ガンと診断された場合、どのような治療がそのペットにあっていて今後どのような予後が考えられるのかを家族皆が十分理解した上で選択していきましょう。
ガンと診断されたときにはすでに完治できない状態に進んでいる場合もあると思います。しかし完治できないからといって治療をあきらめてしまうのではなく、その後痛みや不快感などを少しでも緩和してより長く幸せな生活をおくれるように考えてあげることも必要です。
ガンは確かに怖い病気です。
しかし家族の一員であるペットにしてあげることはたくさんあると思います。
8月のコラム 動物病院ムラタベッツ 村田 篤 獣医師
動物の老後と向き合えますか?
かわいい仔犬・子猫だった動物も年を取ると様々な病気になります。
例えば、腎不全・甲状腺ホルモンなどの異常・腫瘍・心不全・関節炎など
高齢になると多くの病気になってきます。
動物を家族として迎え入れた以上、最後まできちんと家で看てられることが理想だとおもいます。
年を取れば取るほど、まめに血液検査などの健康診断や管理をしなければならないとおもいます。
テレビなどで動物番組を見てると、動物の介護している映像は珍しくなくなり、実際に動物の介護を経験されている飼い主さんも増えているとおもいます。
実際のところ、介護はとても時間と労力と手間を必要とします。
その動物にあった介護の問題について、対処法をお手伝いできればと考えています。
動物の一生は人間に比べると短いものかも知れませんが、飼い主さんと幸せな一生が送れますように応援したいとおもいます。
2008年7月 滑川丘動物病院 滑川 祐司 獣医師
動物の世界でもメタボリック
お宅のワンちゃん、ネコちゃんは大丈夫!!
毎日の診療の際によくオーナーさんから同じ様な質問を受けることがあります。
「うちの仔、太っていませんか。」
「一日何グラムフードを与えればいいですか」
「おやつのジャーキーは食べるのにフードを食べなくて」
「フードはほんの少ししか与えてないのに太ってきちゃった。」
「いくら食事を減らしてもやせなくて」などなど。
最近はけっこう愛犬、愛猫の食事や体形維持にはかなり気遣っている飼い主さんが多いようです。
しかし、中には
「少しコロコロしていた方が可愛い!」「おやつを食べてる仕草が可愛い!」
「太っていても元気だし……」「自分たちが食事の時、ほしがるので、つい…」といった具合に、「食事をたくさん与えること」=「愛情を持て接している」と思っている飼い主さんも結構多いように感じます。
最近の某製薬会社の調査では20~30%の犬、猫が肥満であると言われています。
肥満とは
肥満は大きく2つに分類されます。
一つは症候性肥満と言います。
内分泌器官(甲状腺、副腎、膵臓)の病気が原因で肥満になっているものです。
もう一つは単純性肥満と言います。
消費されるエネルギーより食事からとるエネルギーが多いため脂肪がどんどん増えていくタイプです。
肥満の影響
体にとって脂肪は必要ないのでしょうか。
脂肪は空腹時にエネルギーを作り出す貯蔵庫のようなものであることは、皆さんご存知かと思いますが、もう一つ大きな役割があります。
それは、体にとって必要な生理活性物質を分泌する器官であるということです。
しかし、肥満した動物の脂肪組織ではその分泌が減少してしまいます。
そのため、肥満した犬猫では色々な影響が出てきます。
肥満は「ただ太っているだけ」ではありません。
心疾患、呼吸障害、糖尿病、整形外科疾患、皮膚疾患 腫瘍疾患などの増加
免疫力低下など様々な影響があるといわれています。
肥満した動物の生存率は低いと言うデータもあります。
肥満は病気?
肥満は一種の「栄養不良」状態です。
病気による肥満もありますが、単純性肥満も病気の前期状態とも言えるのではないでしょうか。
もし、貴方の可愛い愛犬、愛猫が肥満していたら、より幸せに長生きしてもらうためにも、メタボ対策をしてあげて下さい。
お近くの動物病院にご相談下さい。
動物は自分でご馳走を冷蔵庫から取り出して食べたりしません。
オーナーの意思の弱さがメタボ犬、メタボ猫を作り出しているのです。
こう言う私もメタボ対策を(自分自身の)はじめました。
お互いがんばりましょう!
2008年 6月 フィラリアについてPart2 川尻どうぶつ病院 葉波 成人 獣医師
今月も先月に引き続きフィラリアについてご説明させて頂きます。
すでに動物病院などでフィラリアの怖さ、また予防の方法などのご説明を受けられている方も多いと思いますが、フィラリアは、蚊によって感染する血液中の寄生虫で、放置しておくと重い心臓の病気となり死んでしまう大変恐ろしい病気です。
以前はこの寄生虫によって犬の寿命が決められていたとも言えます。
このフィラリアの予防薬が出来てからは、フィラリアに感染する犬も減り、犬の寿命も伸びてきています。
しかし、自然豊かなこの日立、高萩、北茨城周辺地域ではフィラリアを媒介する蚊とフィラリアもまだまだ盛んに活動しているようです。
今回は「いつからいつまで予防薬を飲ませればいいの?」という皆様のご質問にお答えしたいと思います。
@予防薬の特徴(予防の仕組み)
伝染病の予防で代表的なものは、予防注射(ワクチン)ですが、同じ予防といっても若干その予防の仕組みは異なります。
ワクチンは、弱らせた(または殺した)ウイルスを注射することによって動物自らが免疫を作り、体内に入ってくるウイルスを退治するものです。
そのためウイルスが体内に入る前にワクチンを打たないと効果は期待できません!
これとは異なりフィラリアの予防は、蚊に刺された時に入ってくるフィラリアという寄生虫を、飲み薬(予防薬)で駆除する(虫下しをする)ことで予防が成立します。つまり体内に入った後の投薬が効果的ということになります。
ここで気をつけないといけないことは、フィラリアは犬の体内で脱皮しながら成虫になっていきますが、蚊に刺されて犬の血液中に入ったばかりの寄生虫(フィラリア)と心臓に寄生してしまった成虫に対しては薬の効き目が100%ではないということです。
フィラリアの予防薬は、成長していくフィラリア幼虫をターゲットにして投薬することになります。
そのため投薬は、蚊の発生時期より若干遅れて開始しても大丈夫なのですが、最終投与時期がより重要になってきます。
A投薬時期・期間
フィラリアの感染時期は毎年若干変わります。
蚊の体内のフィラリアは生育するためには連続した16℃以上の気温が必要となります。
また蚊は吸血するために、15℃以上の気温が必要とされています。
そのことと先程の予防の仕組みを考慮したうえで、予防開始時期を決めていきます。
フィラリアを100%予防するためには、最後に蚊に刺されてから(完全に蚊がいなくなってから)あと一回飲ませる必要がありますので、早めに投与を終了してしまうとその後に蚊に刺されて知らないうちにフィラリアに寄生されてしまう危険もあります。また地域差もありますので、必ずお近くの動物病院で最終投薬時期をご確認ください。
4月ごろ「蚊に刺された〜!」と病院にあわててこられる方もいらっしゃいますが、ご安心ください。
ただし暖冬の影響で桜の開花、昆虫の活動開始時期は年々早まっているようです。
(ちなみに2008年 日立市平和通り 開花日は、昨年と同じ3月28日でした!)
予防開始があまり遅くなるとフィラリアにかかってしまいますので、ご注意ください。
*実際の2008年の開始時期・終了時期は、必ず動物病院でご確認ください。
2008年4月 北茨城アニマルクリニック 木村恵子 獣医師
春になりました!!
ノミ・ダニの対策は万全ですか?
寒い冬も終わりました。
花粉症にお悩みの方も多いと思います。気温が高くなってくると、植物だけではなく、
昆虫たちにも活動の季節がやってきます。
ノミ
もし5匹のノミがみつかると、卵・幼虫・さなぎの段階のノミは95匹います。
温度、湿度などの条件にもよりますが、24から48時間後には卵を産みどんどん増えてしまいます。
ノミの被害としては、ノミアレルギー性皮膚炎・瓜実条虫・猫ひっかき病などがあります。
ダニ
ダニはやぶや草むらに生息します。血を吸うと、体重が100倍にもなるといわれています。たくさんの寄生により、貧血になったりするだけでなく、犬バベシア症・猫ヘモバルトネラ症・ライム病などの感染症を運んだりします。
うちの子は室内にいるからだいじょうぶ?
近所に散歩に行っただけでも感染することがあります。
お散歩から帰ったら体に黒い砂粒のようなものが着いていないかチェックしてください。
ダニは特に、頭や耳、目の周りや足の指の間を確認しましょう。毎年足を痛がって来院する子がいます。
たくさん寄生してからの駆除は大変です。
いまからの効果的な予防がお勧めです。
2008年3月 大みか動物病院 院長 佐藤 博 獣医師
今年も春の狂犬病予防注射が始まります。
お宅のワンちゃんは狂犬病予防注射してますか?
犬の狂犬病は、日本では昭和31年の発生を最後に、約50年間発生していません。
これは、狂犬病の恐ろしさをよく理解していただいた、飼い主様の積極的な犬への予防注射の実施のおかげでもあります。狂犬病はすでに過去の病気なのでしょうか。
昨年、海外で犬に咬まれ帰国後に発病し、男性2人が亡くなるという痛ましい事件の報道がありました。
狂犬病は人間も犬も発症すれば100%死亡するとても怖い伝染病です。海外では現在でも狂犬病で多くの人が死亡しています。ペットブームの昨今、海外からは数多くの犬が輸入されており、検疫体制により、国内への狂犬病侵入を防いでいますが、潜伏期間の長さを考えると、決して100%万全とはいえません。
また、最近各地の輸入貿易港で問題視されていることがあります。
それは、海外の船に乗船させてきた犬の不法な国内への上陸という問題です。
日立港はこの輸入貿易港であり、いつ狂犬病が入ってきてもおかしくない状況です。
残念ながら今現在の狂犬病予防接種率では、狂犬病の蔓延を食い止めることができません。
このような状況をご理解の上、多くの犬に狂犬病予防注射が実施されますようご協力をお願いします。
お知り合いのワンちゃんで狂犬病予防注射をまだされてない方がいれば、教えてあげてください。
「狂犬病予防注射は犬はもちろん、我々人間を守るために行うものなのだと」