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はじめに


なんか、最近、アマゾンでイギリスの本も輸入してくれるところが増えて、最近 R.A.PENFOLDって人がイギリスで盛んにエフェクターの自作本を出していたのに 気が付きました。
R.A.PENFOLD氏はエフェクター以外の記事を含めて、ものすごい量の記事を書かれているようなので、「初歩のラジオ」や「ラジオの製作」に相当する、向こうのホビー誌のライターさんでしょうか?
そんなわけで、R.A.PENFOLD氏のエフェクターに関する書籍の目次を書いてみようと思います。


全体の印象

全体的にエフェクターとしての仕上げとしてはちょっと甘いかな?って感じがしますが、電気系 ライターのドライな発想が随所に見られ、どちらかというと自分で(これからを含めて)回路設計が出来る人のネタ帳として使うのが一番良いように思います。

なんつーか、ブレッドボードの香りがぷんぷんしてて、回路図しか書いてない書籍も多いですし…(^_^;)
多分、イギリス方言だと思うのですが"Waa-Waa","Equaliser"の言葉が見られます。
回路図について言えば、OP-AMPの記号に反転入力、非反転入力、正負の電源等の記載が省かれています。正直言ってちょっと見づらいです。
電源はほとんど9V単一を使用している為、部品の入手さえ問題なければ簡単に動かす事が出来そうです。

Electronic Projects for Guitar

この本は比較的、楽器よりの人に合わせた作りになっていて、セオリー通り部品の説明から入っています。

本題の製作記事は次からで、この本はすべての製作記事にストリップボードのパターン、レイアウトと入出力との接続方法が書いてあります。


機器名コメント
Guitar preamplifierLF351 1石でゲイン4倍と20倍の切り替え付き。
Headphone amplifierLM386 1石のモノラルヘッドホンアンプ。
Soft distortion unitLF351 1石、非反転アンプの帰還回路にダイオードクリッパーを入れたオーバードライブ式。
CompressorLF351×3+VMOS(゚O゚;のVN10KMを使用したコンプレッサー。VMOSの入手が難しいと思います。
Auto-waaイギリスではWahではなくwaaって言うのかな?多重帰還型BPFの周波数を4007UBEを可変抵抗として制御しています。R.A.PENFOLD氏は4007UBEのこのテクニックを随所に使っています。
Waa-waa pedalLF351×2 多重帰還型BPFのワウ。
Phaser4段フェイザー、4007UBEを可変抵抗として使用。Effect offはフェイズシフト段の出力を切っています。
Dual tracking effects unitMN3004を使用した固定タイムのディレー。
ExpanderNE570を使った、ダイナミックレンジを拡張するエキスパンダー。
Treble boosterLF351 1石のFc=1kHzで6dB/octでブーストするブースター。
Dynamic treble boosterヒスノイズ対策として、エンベロープフォロア使って、上記ブースターを弾いてる時だけ動作するようにした回路。
Dynamic tremoloDynamic trble boosterと同様に弾いてる時だけLFOが動作するようにしたトレモロ。
Direct injection boxSSM2142(゚O゚;を1石つかったDI。DI作るのになぜにSSMをつかう?たぶん石の入手がボトルネック。
Improved distortion unitSoft distortion unitの後ろに反転増幅回路つかったミキサーをつなげて原音を混ぜられるようにした物。
Thin distortion unitSoft distortion unitが非反転増幅器を使ったディストーションだったのに対して、こちらは反転増幅器の帰還回路にダイオードクリッパーを入れたディストーション。その後ろに非反転増幅器を使ったミキサーを使って原音を混ぜられるようにした物。(原音との位相が反転するので薄っぺらい音が出せる。)
Guitar tuner555使った発振器と、ギターのピッチに合わせた矩形波のNorを取ってLED光らせて、光の点滅する周期が落ちてきたらピッチが合ったと判断する、ストロボチューナー系のピッチチューナー。LEDと同期した出力をイヤフォンに出力可能。今だったら、いろんな意味で大変使いづらい機械だと思います。
最後に用語集とインデックスが付いています。

Practical Electronic Musical Effects Units (BP)

新書版のサイズに一プロジェクトが回路図、諸元表と回路の解説で構成されています。
この本で使用している部品は比較的新しい物が多いので再現は容易だと思います。

機器名コメント
Hard Distortion UnitNE5534 1石非反転増幅器の帰還回路にダイオードクリッパーを挿入。
Soft Distortion Unit上記Hard Distortion Unitのダイオードクリッパーのダイオードをシリコンからゲルマダイオード直列3段に変更した回路。
"Twangy" Distortion Unit上記Soft Distortion Unitの後段にLM13700を使用したVCAを通して、入力のエンベロープで制御。
Sustain UnitLM13700+LF351 LM13700を使用したコンプレッサー。
Parametric EqualiserイギリスではEqualizerでは無くEqualiserなのかな? LF353 2石 Freq、Band-width、boost-cut levelコントロール式のミッドバンドパラメトリックイコライザー。
Graphic Equaliser1458×3 Midコントロール型のBAX型(Baxandall)トーンコントロールを5段従属接続した回路。(゚O゚; シミュレートインダクタを使用しないで、何でこうやったかちょっと疑問。
Treble Booster1458 1石 上のGraphic Equaliserの1バンド分切り出した回路。fc=10kHz±18dBのトレブルブースタ。Effect Offは可変抵抗両端を短絡させる方法。
Bass Booster1458 1石 上記Treble Boosterの諸元を変えた物。fc=60Hz±18dBのベースブースタ。
Guitar Envelope ModifierLM13700を使用したスローアタックを得る為のエンヴェローブモディファイア。(Bossのスローギアみたいなやつ)。
Waa-Waa Pedal5532 1石 ブリッジドT形(Bridged T)回路を使用した、ワウ。
Improved Waa-WaaLM13700 1石 state-variable型と書いてあるし、確かにそうなんだけど普通のstate-variable型で言う1段目の加減算段を省いてしまっているので多分イメージする回路と違ってくるので注釈すると、「6dB/octのVCFを2段重ねてLPFとBPFを同時出力できるようにした回路のうちBPF出力だけ使用した回路」のイメージ。
Auto-WaaImproved Waa-Waaにエンヴェロープフォロアいれたオートワウ。
Tremolo UnitLM13700+LM358 LM13700で作ったVCAをLFOで振ったトレモロ。
Split Phase Tremolo上記のTremoloをLFOの逆相の信号で振った、ステレオ入力のオートパンみたいな回路。(入力がステレオなのでパンにならない。)
Phaser4007UBEを可変抵抗に使った4段フェイザー。
Metal UnitLM13700を使用したJENのHF.Modulatorみたいな、高速トレモロ。(リングモジュレータに原音が加わった感じ。)
Main Power SupplyトランスとLM317を使った9V電源。(AC入力)

Electronic Music Projects

この本も新書版です。構成は上記と全く一緒で、たぶん著者がエフェクターを初めて題材にした単行本だと思います。
回路のアイディア集から切り出してきたネタを切り張りしてブレッドボードで実験して、 そのまま記事にしたようなプリミティブさがあります。

ある意味、イギリスでもエフェクターの自作はまだメジャーになっていなくて、ギター専用のエフェクター、PA的なエフェクター、スタイロフォン的なガジェットを混ぜて、一冊の本にした印象があります。
時代的にDiscoとかが流行った時期で、PAというかDJに注目が集まってきた時期だからだと思います。

機器名コメント
CHAPTER1:GUITAR EFFECTS UNITS
Simple Treble BoosterBJT 2石直結CE+CC回路を使用したfc=2kHzのトレブルブースター。エフェクトオフはデジェネレーション用の抵抗からバイパスのコンデンサを抜いている。
Modified Tone BoosterSimple Treble Boosterからroll off用のコンデンサを抜いた物。
Fuzz BoxLF351 1石 非反転増幅回路の帰還回路にダイオードクリッパーを入れたオーバードライブ風の回路。エフェクトオフは全帰還させる事で実現。
Waa-Waa UnitLF351 1石1 ブリッジドT形(Bridged T)回路を使用した、ワウ。
Automatic Waa-Waa Unit555を使ったLFOで上記Waa-Waa Unitをコントロールした物。
Sustain UnitLF351+BJT×3 帰還系にフォトカップラーを使ったコンプレッサー
CHAPTER2:GENERAL EFFECTS UNITS
Tremolo GeneratorLFOに555を使って、FETを可変抵抗に使ったトレモロ。エフェクトオフはLFOをはずす事で実現。
Reverberation UnitドライバーにTBA820Mと言う石。リカバリーアンプにLF351を使用した、スプリングリバーブのドライバ。
Automatic Phaser555+BJT×2+FET フェイザーと言っても普通の回路じゃなくて、ウィーンブリッジで有名なWien network使って1段でノッチを作ってフォトカップラーを可変抵抗として使用して、ノッチ周波数を可変する方式。LFOに555、FETはソースフォロア。
Audio ModulatorMC3340を使用したVCA。
Envelope Shaper555を使った、ボタンを押す毎にモノマルチバイブレータが動作して、ADSRのDecayのみ発生する装置を上記Audio Modulatorにつないで、ボタンを押す毎にDecay音を作る装置。
CHAPTER3:SOUND GENERATOR PROJECTS
White Noise GeneratorBJT 2石使ったホワイトノイズジェネレータ。
Pink Noise GeneratorBJT 1石、White NoiseをPink Noiseに変換するフィルター。
Tone Generator555 1石つかった発振器。RCフィルタで擬似的に三角波とパルス(微分波)を出力する。
Vibrato OscillatorBJT 1石 上記Tone Generatorに接続するビブラート用発振器。
Stylus OrganBJT,FET,LM380 スタイロフォンみたいなStylophoneタイプのおもちゃのオルガンの回路。
CHAPTER4:ACCESSORIES
Guitar Tuning Fork555,BJT 1石。555使った音叉類似の発振器。BJTは25-80Ωのスピーカドライブ用。この作者はチューニングを甘く見てる気がする…。
Guitar Practice AmplifierBJT,LM380 1石 BJTはドライバ。
Metoronome555,BJT 1石 BJTは64-80Ωのスピーカドライブ用。80Ωのスピーカって売ってるんでしょうか?クリスタルスピーカはもっとインピーダンス高そうな気がするし…。
Automatic Fader前のAudio Modulator使って、フェードイン、フェードアウトを自動的にする装置。
Voise Operated FaderBJT,MC3340,LF351 声が入ると、自動的にバックグラウンドがフェードアウトする、放送機器で使われる回路。
Simple MixerLF351,BJT 3入力1出力の反転出力増幅器を使ったミキサー。BJTはピークインジケータ用。
Sound To Light Unit555,4017×3,BJT×3,音によって発振周波数が変わる発振器を555で作って4017で分周。最終段にBJT+リレーを付けてランプを駆動。

More Advanced Electronic Music Projects

Electronic Music Projectsの位置付けの本。
この本も、前書と同様なプロジェクト形態をした、新書版です。
時代的にテクノブームの後なのでガジェット系シンセの王様"パーカッションシンセサイザー" が加わっています。

機器名コメント
Phaser4007UBEを可変抵抗として使用したフェイザー。
Parametric Equaliser状態変数型のフィルターを使用したFreq、Band-width、boost-cut levelコントロール式のミッドバンドパラメトリックイコライザー。
Shaped Fuzz反転増幅回路の帰還回路にダイオードクリッパーの後ろにLM13600のVCAを通して、入力のエンベロープで制御。ディストーション部のOFFにダイオードクリッパーをバイパス。
Envelope ModifierLM13600を使った、エンベロープモディファイア。(アタックタイプだと思うけど…、詳細は別途…。)
Split Phase TremoloLM13600を使ったLFOの逆相の信号で振った、ステレオ入力のオートパンみたいな回路。(入力がステレオなのでパンにならない。)エフェクトオフは制御信号を固定化。
Ring ModulatorLM13600+LF353 LM13600を使ったリングモジュレータ?HFモジュレータ?
Noise GateRing Modulatorのキャリア漏れを防ぐためのノイズゲート。
Vibrato UnitTDA1022を使用したビブラートユニット。TDA1022の入手が勝負。
Mini-chourusビブラートに原音を混ぜてコーラスにする部分。
Flangerディレー信号にフィードバックかけてフランジャーにする部分。
PERCUSSION SYNTHESISERSEnvelope Shaperマイクで拾った音からトリガー拾ってDecay信号作ってVCAを制御する部分。
VCOLM358使った、積分+シュミットトリガの三角波VCO。
Rising PitchCA3140。Decay信号の極性反転する部分。
Fixed PitchLF353使った固定ピッチ用の発振器。VCOを使用しない場合の例。
Noise Based SoundsBJT 2石 ホワイトノイズジェネレータ。
VCFLM13600使った-12dB/OctのVCF。
Noise SquarerLF351 ホワイトノイズの入力にコンパレーターを通して、ディジタルっぽいノイズを作る部分。
Chime SynthesiserLM358 4070BE LM358使って2つの矩形波発振器の出力をEXORで演算してリング変調の音を作る部分。

Music Projects (Maplin Series)

R.A.PENFOLD氏の著作で現在もオンデマンド出版で入手が可能なMusic Projects (Maplin Series)です。大きさはDVDのパッケージ位の大きさの微妙な大きさです。
機器名コメント
Guitar Effects
Fuzz Unit LF353の負帰還系にダイオードをいれたオーバードライブ系の回路 の出力にLM13700のVCAをかまして、原音のエンヴェロープでFUZZの音を出力するFUZZ
Envelope Tremolo CA3080を使用したトレモロの周波数をエンヴェロープで高速から低速にふる 他にはないトレモロ
Tremolo unit R.A.PENFOLD氏の良くやる手、4007UBEのN-MOSだけを可変抵抗としてつかったトレモロ
Alternative tremolo unit 簡易VCOを使用したLFOで4007UBEのN-MOSを駆動したトレモロ
Dynamic tremolo unit 上記Alternative tremolo unitのLFOをエンヴェロープでふってEnvelope Tremoloと同様に 高速から低速に変調周波数を可変させる
Metal pedal PLL専用IC NE565を使用したリングモジュレータ。 原音を負荷する機能付き
Headphone amplifier LF351を初段、次段にLF411で負帰還系にダイオードをいれたオーバードライブ系の回路 もしくは無歪みアンプ(Booster)をかましてヘッドフォンをドライブする回路。
Treble booster 非反転増幅器の帰還回路の定数を変更して周波数の高い部分をブーストする回路 ブースト周波数を2段階に切り替えるスイッチ付き
Dynamc treble booster VMOS(VN10KM)を可変抵抗と使用して、上記Treble Boosterの低出力時にゲインを 落としてノイズゲート類似の動作をさせてS/Nを向上させたトレブルブースター
Compressor LM13700を使用したコンプレッサー
Wah-wha effects unit ブリジッドT形バンドパスフィルターを利用したワウワウ
Bass fuzz LF351の負帰還系にダイオードをいれたオーバードライブ系の回路 の出力にOP-AMP1石で組んだ4次フィルターを通したベース専用FUZZ
General effects
Lowpass filter effects unit LM13700を使用したLFO付きの-12dB/oct LPF
Accented metronome 555で源発振、4017で分周かけて、アクセントの頭を付けられるようにした メトロノーム。64Ωのスピーカーはちょっと探さないと見つからないかも。
Dual tracking effects unit MN3102使ったショートディレー専用ユニット
Chorus unit 前述のDual tracking effects unitに付加するLFOユニット
Synthesisers
これもイギリス方言なんでしょうか?SynthesizerではなくSynthesiser表記です。
Woodblock synthesiser Noise Gen+State VariableのLPF+LM13700のVCAを トリガ信号でDecay音で制御するアナログリズムマシンの音源のような回路
Modulated syndrum 入力信号を4007UBE使った可変抵抗で作った簡易VCAを正弦波の簡易VCO式のLFOで制御する装置 (Guitar EffectsのDynamic tremolo unitのエンヴェロープで VCOの周波数を制御する部分を除いた回路)
Syndrum interface 外部入力やマイクからGATEおよびrise or fallのエンヴェロープ信号を作る回路
MIDI
Through box1in4outのMIDIパラボックス
Lead checke MIDIケーブルの断線をスイッチの切り替えで調べるチェッカー
Amplifiers and pre-amplifiers
Portable stereo amplifier LM377つかったステレオアンプベロボードと組み込み図の絵付き
Parametric equaliser State Variable filterのBPFを使った センター周波数/Q/ゲイン可変式のパラメトリックイコライザー
Microphone pre-amplifier ファズフェイス式のディスクリート入力段+LF351のマイクアンプ
Microphone pre-amplifier/limiter 5534入力段+LF351ドライブ段+LM13700を使ったリミッタ段
Odds and ends
headphone enhancer LF353で位相回路(位相周波数は固定)作って片チャンネルだけ位相をずらして 音場感の拡大を狙った装置。ベロボードと組み込み図の絵付き
Stylus organ 4046Bを使ったマルチバイブレータを2ch使って2音発生するようにした スタイラスオルガンLM380でスピーカー駆動

アマゾンはこちらから
ネットのトラフィックが上がり画像をある程度表示しても重くならなくなってきたし、 いずれも輸入本なので入荷状況と市価の状況が気になると思うので、新たな試みとしてアマゾンのウィジェットを掲載してみました。



最後に

他の国のエフェクター自作本と年代を比較したい為、初版の時期を書いてみました。

タイトル年月
Electronic Musical Projects1980
More Advanced Electronic Music Projects1986
Electoronic Project for Guitar1992
Practical Electronic Musical Effects Unit1994
Musical Projects1994

やっぱり、1980年代初頭にエフェクターの自作が流行ったんでしょうか?
自作エフェクターについてはイギリスでも日本と同じような流れで来ているような気がします。
ただ、日本の本と比較して、回路図+諸元表+解説だけのシンプルな作りの物が多い事から、 自作する連中はかなり骨太のような気がします。
もしくは、市民権を得ていないでホビーストの道楽かどっちかなような気がします。



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ORIGINAL '10/03/08
Music Projects追加 '10/11/14