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■はじめに
今回の話の内容の伝達関数の計算を夢の中で必死に解いていた事に始まります。
筆算にすれば簡単なのにと思いつつ(夢の中で)、暗算(夢の中の)で苦労したため、天啓
と思い、コンテンツにまとめました。
伝達関数を使っているので今までのコンテンツと比べるとちょっと難解ですが、ご容赦願います。
(機会があれば別途 伝達関数の話をするかも知れませんが、正直言って学校卒業してかなり時間がたつ為、忘れてることが多いので無理かもしれません。)
難解に見えますが、頑張って理解しようと思った方は、ラプラス変換、フィルター回路、制御工学の数学的背景が書かれている教科書を読むと容易に理解できるとおもいます。
■伝達関数と回路との関係
先ほど書いたように、今回のコンテンツは伝達関数を扱っており、
異質と思うかも知れません。
しかし、以下に着目すると、今まで書いてきた回路の計算式と伝達関数との共通点を見いだせると思います。
■位相器(All Pass Filter)の伝達関数(その1)
まずはフェイザー、phaserの■フィルターとしてのフェイザーの話を伝達関数を使って再度説明します。
まずは位相器(All Pass Filter)、フェイズシフター(phase shifter)を
伝達関数H(s)で表すと下のようになります。

この式を吟味します。
| s | H(s) | 解き方 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 0 | -1 | (0-1)/(0+1) | s=jω/ω0=0だからω=0 DCの時 |
| ∞ | 1 | (1-1/s)/(1+1/s) 分子、分母をsで割る | s=jω/ω0=∞だからω=∞ 周波数が高いとき |

■位相器(All Pass Filter)の伝達関数(その2)
この回路を縦続接続すると、各伝達関数の積になり、

上の右側の伝達関数になります。
先ほどと同様に、この式を吟味します。
| s | H(s) | 解き方 | 意味 |
| 0 | 1 | (0^2-0+1)/(0^2+0+1) | ω=0の時、1 DCの時 |
| ω0 | -1 | ((jω0/ω0)^2-2(jω0/ω0)+1)/((jω0/ω0)^2+2(jω0/ω0)+1) (jω0/ω0)^2=-1なのでsの項だけ残る | ω0の時、-1。大きさは1のまま |
| ∞ | 1 | (1-2/s+1/s^2)/(1+2/s+1/s^2) 分子、分母をs^2で割ってs=∞を代入 | ω=∞の時、1 周波数が高いとき |
| s^2の項 | ω=∞の時に効いてくる。 | HPFの要素 |
| sの項 | ω=ω0の時に効いてくる。 | BPFの要素 |
| 定数項 (この場合数字の1) | ω=0の時に効いてくる。 | LPFの要素 |
■フェイザーの伝達関数
上の二段の位相器の出力に原音を加えると一番小さい構成のフェイザー(phaser)になります。
原音の伝達関数は1ですから
先ほどの伝達関数に1を加えます。

今回の式は定数2を掛けた形になっているので、それ以外の部分を吟味します。
| s | H(s) | 解き方 | 意味 |
| 0 | 1 | (0^2+1)/(0^2+0+1) | ω=0の時、1 DCの時 |
| ω0 | 0 | ((jω0/ω0)^2+1)/((jω0/ω0)^2+2(jω0/ω0)+1) (jω0/ω0)^2=-1なのでsの項だけ残る | ω0の時、0。 |
| ∞ | 1 | (1+1/s^2)/(1+2/s+1/s^2) 分子、分母をs^2で割ってs=∞を代入 | ω=∞の時、1 周波数が高いとき |
ちなみに1/Q=2ζとすると、
フィルター関係発祥のQ:選択度(Quality factor)と
制御工学発祥のζ:減衰比(ジータ)が邂逅する非常に感動的な場面になります。
こういう、ほとんど一緒の物を、全く違う言葉を使って、別の授業で大学4年間掛けて 憶えさせられた方はたまったもんではありません。
電気屋というのはアナロジーを使って電気から音響、機械、制御の世界に広がっていった職種ですから、 用語の統一等をして、効率的な指導を検討してもらいたい物です。
■フェイザーの応用
回路規模がでかい割にメリットが少ないのであんまり、こういう実装はみませんが、
図のように、原音と位相器出力のどちらか一方の極性を反転させるとPHASERの回路を利用してBPF(Band Pass Filter)を作ることが出来ます。

今度は定数4を掛けた形になっているので、それ以外の部分を吟味します。
| s | H(s) | 解き方 | 意味 |
| 0 | 0 | 0/(0^2+0+1) | ω=0の時、0 DCの時 |
| ω0 | 1/2 | (jω0/ω0)/((jω0/ω0)^2+2(jω0/ω0)+1) (jω0/ω0)^2=-1なのでsの項だけ残る | ω0の時、1/2 |
| ∞ | 0 | (1/s)/(1+2/s+1/s^2) 分子、分母をs^2で割ってs=∞を代入 | ω=∞の時、0 周波数が高いとき |
■最後に
今回は位相器2段のフェイザーで説明しました。
理由は簡単で、4段にすると分母が4次の関数になり、展開が格段に面倒になりそうなので
省略していますが、大体同じようになります。
今回は伝達関数の吟味の話を書いたので、思ったより量が多く(つーか、式を書くのがしんどかったorz)、本来書きたいことはまだ先になりそうです。
もう少し、おつきあいお願いします。
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'11/01/13