BACK NEXT U  P HOME

はじめに
今回の話はPassive Tone Controlでちょっと説明したCR TONE STYLEをもう少し掘り下げます。なんと使う可変抵抗によってトーンコントロールの性能がだいたい決まってしまうと言うちょっと意外な話をしてみようと思います。


可変抵抗のテーパ(カーブ)

理想的なCRトーンコントロール回路の高域側の回路を示します。(低域側については各自研究してみて下さい。)
ここでRTHは可変抵抗RTの高域Boost側の抵抗、 RTBは可変抵抗RTの高域Cut側の抵抗とします。
ここで可変抵抗の位置が真ん中の時にFlatな特性になる。と仮定します。(ギターアンプみたいな特殊な装置でない限り普通はそうなっていますね。)
そうすると、 RH:RL=RTH:RTL=CL:CH
∵RH:RL=RTH:RTL=(1/(jωCH)):(1/(jωCL)
の条件が成り立たないと低域から連続にFlatな特性になりません。
ここで、可変抵抗がセンター位置にある時の抵抗の比(RTH:RTL)は部品の種類によって決まってくるので、そのまわりの諸元も自ずと決まってきます。
どのように諸元が決まっていくかB型可変抵抗(linear taper)の場合で試してみましょう。

B型可変抵抗(linear taper)の場合
B型可変抵抗の場合、センター位置でのRTH:RTLは0.5RT:0.5RTですから、
RH:RL=0.5RT:0.5RT=CL:CH
このことからRH=RL,CL=CHが求まります。
ここでPassive Tone Controlで求めたいくつかの指標を計算してみましょう。
入力信号からflatな部分の減衰量(挿入損失)は
RL/(RH+RL)=1/2(-6dB)
つまみを最大時にした時の高域のflatな部分からの高さは上記の逆数になりますから (RH+RL)/RL=2(6dB)
つまみを最大にした時に高域の増強できる量(Boost量)は(RH+RL)/RLです。
つまみを最大にした時の高域の立ち上がる周波数は1/(2πCHRH)
つまみを最低にした時の高域の立ち下がる周波数は
(RH+RL)/(2πCLRHRL)=2RH/(2πCHRH^2)=1/(πCHRH)
∴立ち上がる周波数の1オクターブ上に立ち下がる周波数がある。

その他の場合
日本でよく使われるA型(つまみのセンター位置で全体の15%Ω)15Aとアメリカで使われているA型(つまみのセンター位置で全体の10%Ω)10Aの場合についても同様な処理を行い以下の表に示します。
可変抵抗のテーパーとCRトーンコントロールの諸元の関係
抵抗の種類 RHとRLの比
CLとCHの比
挿入損失 Boost量 立ち上がり周波数 立ち下がり周波数 立ち上がり立ち下がり周波数比
抵抗の種類 RH=xRL
CL=xCH
RL/(RH+RL) (RH+RL)/RL 1

(2πCHRH)
(RH+RL)

(2πCLRHRL)
fL/fH
B型 RH=RL
CL=CH
1/2(-6dB) 2(6dB) 1

(2πCHRL)
1

(πCHRL)
2
A型(15A) RH=5.67RL
CL=5.67CH
0.15(-16dB) 6.67(16dB) 1

(2πCH5.67RL)
6.67

(2π5.67CH5.67RL)
1.17
A型(10A) RH=9RL
CL=9CH
0.1(-20dB) 10(20dB) 1

(2πCH9RL)
10

(2π9CH9RL)
1.11

この表から、B型の可変抵抗を使用するよりA型の可変抵抗を使った方が、Boost量も大きく、立ち上がりと立ち下がりの周波数の比も小さいので適している事がわかります。

またTrebleを20dB Boostしたい時にはA型(10A)を使用して、この回路の前後どこかで20dB増幅する必要がある事がわかります。(ダイナミックレンジを考えると前後それぞれで10dBが良いかな?)またその時のRH:RLとCL:CHの比は9です。

最後に
今回の話はつまみの位置が真ん中の時にFlatな特性になる。事が大前提ですので、ギターアンプや歪み系エフェクターのようにFlatな特性にあまり意味のない物では、全く別の発想で 設計されている物もあると思います。
また今回と同様な考えで設計しても、部品の諸元がE系列に乗らない為に、所々チューニングが必要になってくると思います。
そういう時は今回の話を念頭に置きながらシミュレーション等で追い込んでいくと効率よくトーンコントロール回路の設計が出来ると思います。


BACK NEXT U  P HOME


Original '08/02/13