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ケーブルで音が変わるか?
タイトルからしていきなりアレですが(^^;)
オカルトバスターの人たちはコンテンツの内容なんてこれっぽっちも読まずに 「ケーブルを変えても音は変わらない」( ̄^ ̄)って噛み付いてくるんでしょうね〜(^◇^;)

まあ、漠然とした話をしていても要領を得ないのはわかっているので、エレキギターの場合に限って 話をしていこうと思います。


CR一次LPF
Out Put Circuit左は可変抵抗で表現されるボリュームの部分をRaとRbと個別の抵抗で表したエレキギターの出力回路です。
ここで、Cは主に後述のケーブルの寄生容量とアンプの入力容量の合成値です。

Out Put Equivalent Circuit この回路はテブナンの法則から左のような等価回路で表せます。
上で抵抗分圧した回路の部分は、分圧した電圧源と出力抵抗(RA//RB)で表現できることを示しています。
こうするとCR回路と周波数特性で示した一次のLPFであることがわかりやすくなったと思います。
詳細な説明についてはCR回路と周波数特性CR回路と周波数特性(その2)にゆずるとして、ここではちょっと計算をしてみましょう。

ギブソンのハムバッカーのギターをお手本にした多くのギターは
500kΩの可変抵抗をボリュームとして使用しています。(図で言うとRa+Rb=500kΩ)
これがちょうど真ん中(Ra=Rb=250kΩ)の時、出力抵抗(Ra//Rb)は最大125kΩとなります。

典型的な真空管アンプの入力容量を200pF(初段の真空管の入力容量はミラー効果で100pFは平気であります。)します。
ここで、低容量シールド線の代表として50pF/mのシールドを
10m使用したとすると、全体の容量は
200pF(アンプの入力容量)+50pF/m(メートルあたりのシールドの容量)×10(長さ)=700pF

ここで、CR1次LPFのカットオフ周波数f0=1/(2πRC)ですから計算すると、
f0=1/(2π×125kΩ×700pF)=1.8kHz(^^;)

結構低い値になりますね。(^^;)
これが、ちょっと静電容量がちょっと高めの300pF/m位のシールド線を使うと、もっと悲惨で
10m使用した時の全体の容量は
200pF(アンプの入力容量)+300pF/m(メートルあたりのシールドの容量)×10(長さ)=3200pF
f0=1/(2π×125kΩ×3200pF)=400Hz
です。

どうです?ケーブルが違うだけでf0が違いますよね〜。(しかもどちらも可聴域内です。)

長いケーブルを使うと音が眠くなる(^^;)のは多くの人が経験している事ですが、こんな理由があるわけです。

テレキャスターのハイパスの仕掛けは最初、これの対策としてつけられたとだと思います。


LCR二次LPF
上の等価回路でRb=0の時(ボリュームがMAX)の時、どちらもf0=∞となり差がつかなくなるはずです。
しかし「ボリュームをMAXで使っていてもケーブルの違いがわかる(゚゚ )(。。 )」って人、結構いると思います。
エレキギターのピックアップのようにL性の出力特性を持った物の場合、さらに次のような現象が起こります。
Inductive output & Capaciter 話をわかりやすくする為に、今度はボリュームがマックスの場合でL性の出力を持ったピックアップに接続する場合を考えます。


Inductive output & Capaciter transfer function CとRをパラレルにした物とLで分圧回路を形成しているので左のような伝達特性になります。(式の説明は電気回路の教科書を参考にして下さい。)
この式の特性を考えてみましょう。
  • ω=0の時
    Vo/Vi=1になります。
  • ω=∞の時
    Vo/Vi=0になります。
  • ω=1/√(LC)=ω0の時
    この時、位相が90°遅れた信号ですが、出力レベル|Vo/Vi|=R√(C/L)になります。
    f0を過ぎてからは、12dB/Octで減衰します。(繰り返しですがω=∞で0になります。)
Graph of Inductive output & Capaciter transfer functionGraph of Inductive output & Capaciter transfer function この式をグラフにすると左のようになります。
ωは角周波数ですから、一般の周波数にする場合は2πで除算します。
この式を見ていてわかる事は、

実際のギターの場合
Guitar & Amp. Equivalent Circuit(Tone MAX)
じゃあ、今度も数字を入れてみましょう。まずは大体のパラメータから
L:ピックアップのインダクタンス一般的なハムバッキングピックアップのインダクタンスLを5Hとします。
タップしてシングルにしたらその半分。シングルコイルピックアップはそれよりちょっと上くらいです。
Cp:ピックアップの寄生容量結構大きな値だと思うのですが私が計算した時には100pF位でした。たぶんこれもピックアップの構造、線の巻数、巻き方によって変わってきます。
Cg:ギター内部の寄生容量ピックアップからジャックに行くまでに、50cm以上の内部配線を経過します。スイッチの寄生容量なんかも加わるのでここでは多めに見積もって100pFとします。
Rt:トーンの抵抗この図ではトーンをフルにした場合を示しています。
また今回対象とする周波数ではトーン回路のコンデンサのインピーダンスはトーン回路の抵抗と比べて小さいので無視します。大体ギブソンのハムバッカーの場合500kΩで、フェンダーのストラト系の場合250kΩです。
Rv:ボリュームの抵抗これも大体のギブソンのハムバッカーの場合500kΩで、フェンダーのストラト系の場合250kΩです。
Cs:シールドの寄生容量先ほどと同様に、低容量シールド線の代表として50pF/mのシールドを10m使用した時の場合50pF/m(メートルあたりのシールドの容量)×10(長さ)=500pFです。
容量が高めのシールドの場合300pF/mの場合、同様の計算により3000pFです。
Ca:アンプの入力容量今回は大体200pFを見込んでみます。
Ra:アンプの入力抵抗ハイゲイン入力側は大体1MΩ位の物が多いです。

ふぅ〜
色々挙げましたが…
LCR二次LPFの等価回路で
C=Cp+Cg+Cs+Ca
R=Rt//Rv//Ra
で表されます。
また、f0を計算してみましょう。
50pF/mのシールドを使った時は、
C=100pF+100pF+500pF+200pF=900pF、L=5Hですから
f0=1/(2π√(LC))=1/(2π√(5H×900pF))=2.4kHz

300pF/mのシールドを使った時は、
C=100pF+100pF+3000pF+200pF=3400pF、L=5Hですから
f0=1/(2π√(LC))=1/(2π√(5H×3400pF))=1.2kHz
です。
また、今回の場合は300pF/mのシールドを使った方がQも2倍近く高くなります。


今回もケーブルを変えただけで可聴域の周波数特性が違いますよね〜。
どうでしょう。これでもケーブルを変えても音は変わらないんでしょうか?(^◇^;)


上の図はトーン、ボリュームをMAXにした時の等価回路ですが、
Guitar & Amp. Equivalent Circuit(Tone Min)
こうするとトーンをMinに絞った時の等価回路がかけます。
計算の仕方はほぼ一緒なので試してみると面白いと思います。


Qの違い
Rが高くなるとQも高くなります。つまり250kΩの可変抵抗で構成されたフェンダーストラト系のアッセンブリよりも500kΩの可変抵抗で構成されているギブソンハムバッカー系アッセンブリの方がQを高くしてブライト感を強調する設計になっています。ここに、それでなくともマイルドな感じになるハムバッカーに高い抵抗値を使う意味があります。(CR一次LPFの原理でボリュームを絞るとこもりやすいのですが…)
同様に、ボリュームやトーンをはずすとその分Rが高くなるので、Qも高くなってブライトな音になります。いわゆるホットロッドチューンすると抜けが良くなる話ですね。(さらにピックアップ切替スイッチの配線を抜くとギター内部の寄生容量が減ってf0も高くなります。)

ギター内部の配線
今までの話から推測すると、ピックアップのシールド線を普通の線に取り替えて、ギター内部の導電塗料もはがすと寄生容量が減って更にブライトになる事が想像出来ると思います。
しかし、これによる寄生容量の変化は100pF以下だと思うので、これだけ努力をしてもシールドの長さの影響が大きいので周波数特性は大幅に変わってしまいます。
ハム等のノイズを拾う危険を冒してまでして、これでは努力がむくわれないような気が…

本来の音
たった3つのパラメータによる音色の変化を見てきたわけですが、ピックアップのインダクタンスLは別として(ケーブルのインダクタンスは無視出来るとして)、

と千差万別の変化を示します。
ちまたで良く聞く”ギター本来の音”ってどういう場合をさすのでしょうか。?(゚_。)?(。_゚)?

アクティブ・ピックアップ
これらの思いもよらない部品の影響を考えつつ計算式を見ていると一つの回答が得られます。
ピックアップの中にプリアンプを内蔵すると

こうすると弦振動をフラットに変換するという意味では理想的な物が出来上がります。
(まあ、逆に言えば従来のギター臭くない音になってしまうのですが…)

アレンビックなんかは更に進んでいてLCR二次LPFをシミュレートするトーン回路までついています。
サスティーンプレート、ブラスナット、多層ラミネートのスルーネックと理論的にわかっている事を、妥協せずに素直に実装してしまうところがアレンビックのすごさでもあり、美しさでもあると思います。
アレンビックの華麗な姿はALEMBIC FAN CLUBで拝む事が出来ます。

トゥルーバイパス
「ケーブルで音が変わる?」って話に関連する話題として「トゥルーバイパスだから音が良い」ってのがあります。
最近のトゥルーバイパスでないエフェクターの場合(昔のエフェクターの場合はTIPS SWITCHみたいな場合も考えられるので除外します。)、入力部分にバッファーアンプが入っています。その為、アンプ直にした場合はアンプの入力容量、入力抵抗が上記のC、Rに相当しますが、エフェクターを通した場合はバッファーアンプの入力容量、入力抵抗が上記のC、Rに変わります。
また、バッファーアンプによっては安定動作させる為やラジオ等の雑音の混入を防止する為に規定されたCやRが入っているます。
これらの事によりf0及びQが変化する為、周波数特性が変わり音が変わってきます。
もっとも、トゥルーバイパス時の寄生容量の影響やハイインピーダンスの微細信号が多数の接点を通過する事による別の劣化要因が出て来るので一概にどちらが良いとは言え無いと思います。

性能的な話をすれば、アクティブピックアップを使うか、アレンビックのストラトブラスターみたいにギター直近にバッファーアンプを入れて様々な劣化要因を遮断するのがベストですが、ワウやファズフェイスみたいに「高域劣化も味のうち」的なエフェクターとの相性を考えると難しい問題です。


注意
今回の話を拡大解釈する人が出てきて、私が期待する方向と違う方向に話が進んでいくとイヤなので注意をいくつか述べます。


じゃあいったい何が良いんだ?って聞かれたら…
私は「気に入れば何だって良いんじゃないの?」って答えるでしょうね。(^^;)
どれを勧めるか?って聞かれたら…
ケーブル専門メーカー(ブランドと製造メーカーは別物ですから簡単には言えませんが…)の物で、ある程度以上の量産をしていて入手し易い物が物理的パラメータのばらつきが小さいので良いと思います。
でも長いカールコードを引っ張るプレーヤーに漢(とかいておとこと読む)気を感じてしまうのは私だけでしょうか(^◇^;)


おわりに
今回は誰でも自分で試せるように式に数値を代入するところまで示しました。
例としてギブソン系のハムバッカーの場合を示しましたが、フェンダーのストラト系とか自分の使っている環境での場合を研究してみると面白いと思います。



まあ、ケーブルを変えて「音が変わる!!音が変わる!!」と針小棒大に大騒ぎするのも「なんだかな〜」と思いますが、頭ごなしに「ケーブルを変えても音は変わらない」と言うのも、同じような事をしているような気がします。(^◇^;)
ハタから見ると似たような事をしている様に思えても、当人達にとっては宗旨の違いですから大きな違いなんでしょうね。

頑張ってこんなコンテンツを作ってみたのですが、今回の話も某所では「アマチュアの想像の産物」で「定評ある中級以上の物だったら、そんな事あり得ない」で、すまされちゃうんでしょうね。(^◇^;;)


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Last Up Date '06/08/27