BACK NEXT U  P HOME

はじめに
コンデンサーはWEの板コンデンサが良い音がして、それに継ぐのは...
とか、オイルコンの音は良いが、最近のケミコンは...

:
:

なんて事は言いません。(^_^;)何しろそんな、高価な代物使ったことがないので判りませんし、第一「音が良い」って表現自体が何を意味するのか判りません。 (この音が好きっていうならわかりますが....)
また時定数回路にはスチコン、大容量向きにはアルミ電解のような部品自体の一般的な話は、CQ出版社より発行されている「抵抗&コンデンサの適材適所」三宅和司著を参考にしてください。

それなら、私は何を言いたいのでしょうか....?
以外と知られていない、ちょっとしたコンデンサの使い方について説明してみようと思います。


電源のコンデンサのこと

交流等価回路を作成するときに、一般の人からは習慣で、直流電源を省略して書いていると思われるふしがありますが、ダテに省略しているわけではありません。
小信号等価回路を作成する場合は回路の線形性が保証されるため、交流分と直流分を分割して回路を作成して、あとで足しあわせれば良いからです。(重畳の理といいます。)
また、ある程度電気を知っている人でも電源についているコンデンサは、リップルノイズの除去用と思っている人も多かったりします。
まずはありがちなエフェクタの出力回路部分を記述します。
実際には配線の抵抗、電池スナップの接触抵抗等で実際には左のようになります。
この回路図で見るとよく分かるのですが、実は結構欠点があって、別の回路と電源を共有したり、ステレオのように2ch繋げると下のようになります。
回路の動作を考えればすぐにわかるのですが、Q1側のトランジスタが動作すると、R1及びRpとReに出力電圧が発生します。同様にQ2側のトランジスタが動作すると、R2及びRpとReです。これらの回路が同時に動作すると本来はQ1の出力が欲しいのに、Q2の出力が漏れてきます。(量は抵抗の逆比になります。)ステレオの場合はクロストークとして表れますし、高利得アンプで回路設計のまずい場合は発振というありがたくない状況も考えられます。(出力が、入力にまわるからですね。)
じゃあ、どうすればよいかと言うと、この様にします。簡単ですね。出力回路のトランジスタの近くにコンデンサをおいてやればよいのです。
この様にすることにより、交流等価回路と同様に出力はRp、Reを駆動することなくR1のみを駆動することが出来ます。(Iqlですね。)
また電源に乗ってきたノイズもコンデンサによって回路に浸入することなく、帰っていきます。(Loopを作ってやるわけですね。)
この様に回路を組んでやると今度は、クロストークを心配せずに、どんどん電源を共有することが出来ます。
つまりは「回路ブロック毎にコンデンサをつける」という電気屋の常識を実践しようと言う話です。
ただし、でかいコンデンサを付ければ良いかと言うとそうでも無くって
普通は問題無いのですが、あまりに巨大なコンデンサを沢山つけると、突入電流(パワーオフ状態から急にコンデンサに充電されるので数倍の電流が短時間流れる)が非常に大量に流れて、電源のショート防止回路が作動したり、ダイオードが壊れたりすることが有るかもしれません。
何事にも限度が有るようで...

片端開放のコンデンサを作らないこと

これは以外と盲点だけども、ありがちなパターンで
エフェクタの効果がかかった出力とノーマル音を切り替える回路の例です。この回路は何が悪いかというと、ノーマル側にしていたスイッチをエフェクト側に切り替えたとたん、次に接続されている機器の入力インピーダンスRiを経由してCに先ほど説明した突入電流が一気に流れ込み、それが音になってプツとかバキョって音がします。
それもMCかなんかの静かなときで、エコーなんかがかかっていたらプツプツプツプツプツと言う風になってかなり悲惨です。

別にこの音が好きっだったらしょうがないのですが、同じはったりかますのだったらリバーブ付きのアンプ蹴った方がすっと迫力有ります。(レンタルでやったら殺されるかも知れないけど....(^_^;))
対策は比較的簡単で1MΩくらいの大きい抵抗をRcの位置に付けるてCを常に充電しておけば発生しません。小さければ小さいほど良いはずですが、余りに小さくすると次段の入力インピーダンスが落ちたことと同じになるので数100kΩが限度じゃないかと思います。
同じような状況は入力側でも発生します。
6PのSWでエフェクターを切り替えていた場合は、入力側もこの様に似たシチュエーションが発生します。
今度の場合は、エフェクトがかかったままで入力側のギターを取り替えたときにギターの出力インピーダンスを通して先ほどと同じように一気にCに充電されて、
ディストーション等の利得の大きくなったプツ音がプツプツプツプツプツプツとなります。
この場合も対策は先ほどと同じで、1MΩくらいの抵抗を挿入すれば減少させることが出来ます。
こちらの場合も抵抗を小さくすると入力インピーダンスが落ちますから、さじ加減が重要です。
要約すると片端開放のコンデンサを作ると、スイッチオンの拍子に直流が流れ込んで非常にでかい音を出すことがあるので、「片端開放のコンデンサは作らないようにする」ということです。

ノイズはまめにグランドしてやること

ジミヘンの有名なライブ盤(確かワイト島だったと思うけど...)マシンガンって曲の演奏中にタクシー無線のような変な声が所々、ジミの演奏に混じって聞こえてくるのです。
実はディストーションのような馬鹿でかい増幅回路を持った非線形回路はAMラジオとほとんど同じ構造で、ギターのピックアップ及びシールド線で選局されたRF信号は増幅回路で増幅された上に非線形回路で検波されて音声信号となって出力にまじって出力されるためです。
じゃあ、ディストーションをラジオにしないためにはどうすればよいのでしょうか?
左の回路のように、入力の部分にコンデンサを付けてラジオの電波をグランドに流してしまえば増幅しないですむことになります。
シールド線のように直前につないだ物が電波を拾っているのでなければ、前の機器の出力インピーダンスを利用することにより、抵抗1本省略することも可能です。
この様なシチュエーションは何も電波のように外来の原因で入ってくるだけではなく、半導体自体の雑音等も考えられます。これらは検波されて直接耳に聞こえなくても、混変調の原因となり、何となく濁った音の原因になっているかも知れません。
これは私が遭遇した場合ですが、アナログフィルタを付けていても電波は通過します。
左図のように構成したフィルタですが何となく、帰還用のコンデンサを通過して次段に信号が流れているようだったので、Cbを追加してノイズ成分をバイパスした事があります。
良く知られているアナログフィルタの特性ですが、自分で作ると忘れていたりします。(^_^;)
これもある程度制限があって、負帰還アンプの帰還がかかる部分に不注意に入れたりすると発振したり、周波数特性がうねったりするので、ブロックの入り口に付けてやるのが比較的安全な方法です。
要約すると、外から来る信号には雑音が重畳している可能性がある為、「ノイズはまめにグランドしてやる」ことです。更に要約すると「不必要に帯域は広げない」という電気屋の常識に帰着します。

寿命のこと

部品一般の話になるかも知れませんが、ケミコンはほっといても これは何を意味するか?と言うと、
温度が高くなりがちな電源周りや交流的ゲインを増やすために使用されるバイパスコンは容量抜けをおこしやすいし、おきても気がつきにくいと言うことです。(ケミコンの主な使用目的ですね。(^_^;))
何となく長年使ってきた機器のLOWが最近出てこなくなったな?なんて感じる場合はケミコンをレストアすると復帰する可能性があります。

有極コンデンサのこと

タンタルコンデンサ等の電解コンデンサの多くは、プラス極とマイナス極の極性があります。これを正負逆に接続すると短絡、開放、不幸な場合は燃えたりすることは周知だと思います。
上記のトラブルが発生する以前は正常な動作をするか?と言いますとそれは否です。
Equivalent Circuit of Chemical Capacitor 電子部品の教科書が手元にないので詳細な解説は避けますが、たぶん左の等価回路に示すように、正常に接続した場合は、コンデンサとして動作しますが、逆に接続した場合は閾値不定のダイオードと不定の抵抗を持った半導体の様な特性を示します。
(通常10%位の逆耐圧では故障しないことを保証していますが、正常にコンデンサとして動作することを保証している訳では無いと思います。)
特に湿式タンタルコンデンサと言う漏れ電流の少ない性能の良いコンデンサに至っては 瞬間でも逆接続状態になると使い物にならなくなると言われていたと思います。(10年以上前に得た知識なのでちょっと不定かになっていますが...)
普通の人であれば、有極コンデンサを逆接続したら動作を保証しないで”当たり前じゃないか”と思う方が多数いらっしゃると思いますが(^◇^;)

と言う、もの凄い三段論法を多数の先生方がオーディオ関係の雑誌で唱えていたのを思い出した物で....(^^;)

だいたい有極コンデンサが上図のような非線形な挙動を示すことを知っていれば、こんな事はしないだろうと思うのですが....
音がどうのこうの言って部品とっかえひっかえする手間の100分の1程度の時間を、部品の勉強に回しておけば、”自らの無知を衆目にさらさずに済んだ”と思うのですが...(^^;)

:
:
:

閑話休題
こんな話もあるくらい使い方の難しい?有極コンデンサですが、大容量のコンデンサが必要な場合は、どうしても電解コンデンサを必要とします。
そんな場合は無極性もしくはノンポーラ(None Polarity:通称NP)の電解コンデンサを使用します。ただし無極性の電解コンデンサは入手が難しく且つ価格も高いため、
None Polarity Chemical Capacitor 回路のテクニックとして左の様な回路が知られています。
但し先ほどの湿式タンタルコンデンサ等ではこの方法は使えないことが分かっていますし、別の電解コンデンサでも、この方法を推奨している部品メーカを私は知りません。
ではどうしたら良いでしょうか?
私は「自分で責任をとれる程度でない限り、使わない方が吉」と思っています。
つまり他人には絶対勧めないし、自分でも可能な限り使用を避けます。

例えば、こんな風に実現します。
Zero Bias with NP capcitor 出力が0V中心に振っている場合で且つ無極性の電解コンデンサが手に入る場合は左の様にに実現します。
(但し、入手性が悪い部品ですので、ディスコンの恐怖がつきまといます。)
Zero Bias with Chemical capcitor 先ほどのテクニックにより有極コンデンサを無極化した回路構成です。
(但し、コンデンサが故障した場合に部品メーカが保証してくれるか心配です。)
Bias with Chemical capcitor バイアスをかけ出力の極性を明らかにした上で有極の電解コンデンサを使用します。
この様にバイアスをかける手間をしても、巨大なコンデンサを1個省ける上に電源回路も簡略化でき回路自体小型化する事も可能になります。

終わりに

もっともこれらはユーザのクレーム対策として考えられた物がほとんどですから、 しないこと自体が自作の良さでもあります。音自体に関係ない余計な事をいっさいしないというポリシーがあっても良いと思います。

と言うわけで、自分で試して良いと思ったものは使ってみてください。

あと、部品自体については参考書リンクに飛び先をいくつか用意していますのでご利用ください。

BACK NEXT U  P HOME


Last Up Date '01/07/25(有極コンデンサ追加)
Last Up Date '00/06/25