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■はじめに
今回は前々から非常に興味のあった踏んづけ(Stomp Box)、踏んづけ史上、
最も初期に現れただろうと思われるディアルモンドのトレモロの事を紹介をされているコンテンツを
見つけたので、トレモロ関係を中心にTremolo,Vibrato、トレモロ、ビブラートの話を補っていこうと思います。
■ディアルモンド トレムトロール(DeArmond Trem-Trol)
まずこちらを見て下さい。
DeArmond Tremolo
またサウンドサンプルも聞いてみて下さい。
1940年代からこんないい音を出す踏んづけ(Stomp Box)があったんですよ。ちょっと感動ではないですか?
前の話で光結合によるトレモロ(Tremolo)について結構早い時期に出来たと書いたのですが、小型化に貢献すると思われるCdsセル(Cadmium sulfide cells)は1960年初頭頃?(年代についてはかなり当てずっぽうです。m(__)m)一気に広まった感じで、それ以前は光電管と言う真空管を使用した光結合の物や、真空管のバイアスを可変してバリμ管のように動作させるか、本当のバリμ管を使用して増幅率を可変する方法がとられていました。
どちらにしろ真空管は必須ですから小型化するのは難しかったのだと思われます。(真空管のミニチュア管ですら1950年代の産物です。)
そんな状況のなか、ディアルモンド トレムトロール(DeArmond Trem-Trol)は現在から思うといささか
トリッキーな方法で小型装置でトレモロ効果を得ていたようです。
上記コンテンツによると
実はこのトレモロ、オレンジ・スクイーザーやクリスタル・ギターで有名なダン・アームストロング(Dan Armstrong)氏が水銀を入れてあるって信じていて、いろんな所でふれ回った物だから、ほとんどの人が水銀が入っているって信じていたのですが…(メディアの力って怖いですね。(^^;))
ガラスクリーナーとはちょっと驚きでしたね。
いつまでリンクがあるかわからないけど、ちょっと気になるyoutubeのリンクを2点
Savage Audio: Rare DeArmond Tremelo into Macht 12xディアルモンド トレムトロール(DeArmond Trem-Trol)の動作風景。
Unusual Schaller TremoloフォトカップラーでVCAを構成してメカニカルにLFOをかけたSchallerのトレモロ
■フェンダーアンプのビブラート(Fender's Vibrato)
前回の話でフェンダー(Fender)のアンプに付いているビブラートはほとんど振幅しか変化しませんと何となく歯切れの悪い書き方をしていますが、何でこんな歯切れの悪い書き方になったかというと実はフェンダーのビブラートにも何種類かあって物によってはちゃんとビブラートがかかっている物があります。また最も成功したアンプの一つツインリバーブ(Twin Reverb)等で使われているフォトカップラーを利用したトレモロ(Tremolo)にはほんのちょびっとだけビブラート(Vibrato)がかかっています。
そんなわけで、話の進行上フェンダーのアンプで使用されているトレモロ(Tremolo)、ビブラート(Vibrato)の分類をしてみようと思います。(フェンダーのアンプについてはムックやネットで情報が充実しているため、私より詳しい方が沢山いらっしゃると思います。コメント等ありましたら是非とも掲示板等でご指導お願いします。m(__)m)
まず、思いつくのがTREMOLUX、VIBROLUX、VIBRASONICの3種類ですが、私の感覚では特定の回路形式を指す名前ではなく商標の様で、回路形式とは関係ないような気がします。("Harmonic Vibrato"って言葉も有名ですが、私には普通のP-K分割による位相反転段のバイアス可変トレモロに見えます。)
私としては以下の5種類に大別出来ると思っています。
前述の"Harmonic Vibrato"もP-K分割を使った位相反転段=シングル段でのバイアス可変トレモロですが、後段がプッシュプル構成のためプッシュップルの場合とほぼ同様な効果が期待できます。この特許ですかね?US.PAT 02817708(Jan 16, 1956)トレモロ付きアンプ。
US.PAT 02973681(Jun 8, 1959)トレモロ効果を生じる装置。信号をLPFとHPFで分割して、逆相のLFOで真空管のグリッドにバイアス変調をかけてミックスしてトレモロ信号を得る方法。
■なんちゃってビブラート(Fake Vibrato)

左ににフォトカップラー式のトレモロの原理図を示します。
ここで、R1:は主に前段の出力インピーダンス、R2:はCdsセル(Cadmium sulfide cells)等のフォトカップラーを使って光によって抵抗値が変わるようにした抵抗です。C1は結合コンデンサーです。
この回路の前段と後段には増幅回路を配置します。
ここで、この回路の特性を示します。

まず最初に黒線の方から説明します。
上はゲインの図で下は位相の図を示します。
ω=1/(2πC1(R1+R2))とすると。
ゲインの周波数特性はω以上の時、R2/(R1+R2)で一定になります。(この式がこの回路で一番重要な部分です。)
それ以下の周波数の時は-6dB/Octでだらだら下がりです。
次に位相特性に注目すると、10ωあたりからほとんど入力と同位相ですが、ωで位相が45°進み、1/10ωでは90°進みます。(位相単独での進み、遅れは聴感で、区別できません。)
次に赤線を説明します。
赤線はR2が(黒線の時より)小さく、ω'=1/(2πC1(R1+R2))が10ωになる場合のR'2の場合を示しています。
ここでω'(10ωに相当)より高い周波数でゲインはR'2/(R1+R’2)で一定となり、それ以下の周波数では-6dB/Octでだらだら下がりです。
(R'2はR2より小さいので黒線の時より下に位置します。)
また、位相特性を見ると、10ω'(100ωに相当)以上は入力と同相ですが、1ω'(10ω相当)では45°、1/10ω(1ω相当)で90°位相が進みます。
ここで、
■その後のトレモロ
たぶん、ツインリバーブ(Twin Reverb)あたりで絶頂期を極めたトレモロですが、かげりを見せ始めます。
まず、一方でコンシューマ向けのアンプはトランジスタ化がもの凄い勢いで進行しました。(と言うか、コンシューマー向けアンプの普及にトランジスタ化が一役買っているような気がします。)その過程でトレモロ(Tremolo)もトランジスタ化されていきます。
その過程で、たぶんVOX-THOMASあたりがLFOの回路に掃引発振回路を利用し変調波形が矩形波に近い物が増えました。(1990年代?くらいからかなマシンガントレモロって言われて復活したあの音です。)
矩形波変調の音は刺激的で効いている感じを出すのには良いのでしょうが、マイルドな”びょよょよょ〜ん”って
感じを求めている従来のトレモロ(Tremolo)愛好者にとっては使えない音と感じさせたのだと思います。
Bo Diddleyなんかが1950年代からやってるリズムを無視したトレモロ(Tremolo)を深くかける様な芸風だったらあんまり問題にならなかったんだと思いますが…
それ以前のトレモロは位相発振器を使用した正弦波の変調波形を使用していました。真空管のバイアスを可変して増幅率を変えるような方法では、正弦波以外の波形を使うと変調波形の高調波が出力に漏れてしまい使えなかったためです。また、その名残で正弦波が使われてきたのだと思います。また、もう一方では当時のビッグネームがこぞってマーシャル等のハイゲイン系アンプを使い出してから、ギターアンプは「歪ましてなんぼ」の世界に突入します。
■なんちゃってエコー(その1)(Fake Echo No.1)
マシンガントレモロ(Machine Gun Tremolo)でちょっと思い出したんだけど、昔どこかで矩形波のトレモロor立ち下がり鋸歯状波トレモロ(マンドリン効果)をエコー(Echo)って売っていたメーカーがあるらしく、今でもマシンガントレモロをエコー(Echo)と思いこんでいる人がいます。(情報の流通の早い日本ではなく外国の場合です。)
確かに白玉流し風に”ジャーン”って音をマシンガントレモロ(Machine Gun Tremolo)をかけて”バッバッバッ”と分断すると、ちょっとパーカッシブに弾いた音にエコー(Echo)をかけた音にちょっと似ていますが…
今だったら不正競争防止法で訴えられそうですね(^◇^;)
■なんちゃってエコー(その2)(Fake Echo No.2)
ついでに思い出したトレモロ(Tremolo)のアプリケーションの一つ

こんなタイプのなんちゃってエコーも昔はありました。(大概リバーブとトレモロorビブラートの機能と同居しています。)(^^;)
音を引き延ばすためにスプリングリバーブ(Spring Reverb)使って、リバーブ(Reverb)信号のみにトレモロ(Tremolo)をかけてエコー(Echo)っぽさを強調しています。
信号を遅延させるためにスプリングリバーブ(Spring Reverb)使っているだけでも”なんちゃってエコー(その1)(Fake Echo No.1)”より良心的ですし、質は兎も角としてアンプに外付けで
リバーブとトレモロがついているわけですからそれなりの使い道はありました。
まあ、あざといようですが、当時はそれだけテープエコー(Tape Echo)はあこがれの装置で、値段も高く、そんな簡単に買える装置ではなかったのです。(ちょっとしたアンプが買える値段だった気がします。)
当時はインチキな装置と思っていたのですが、最近マルチのプリセットを含めて、こんな感じのトポロジーの装置って今は無いでしょうから、簡単な工作の割に他では得られない効果が得られる自作向きの装置のような気がします。p(^^)q
この手のなんちゃってエコー(Fake Echo)はBBDによるアナログ・ディレイ(Analog Delay)の普及により消えていきました。(^^;)
■ギターアンプのトレモロ
なんちゃってエコー(その2)(Fake Echo No.2)で更に思い出したので、ちょっと
そもそも


■最後に
まあ、”なんちゃってビブラート(Fake Vibrato)”に始まって”なんちゃってエコー(Fake Echo)”とかその周辺の話をしたわけですが、どちらも時間軸方向の制御を当時普及していたトレモロ(Tremolo)の技術で代替した物です。
当時の技術者達がビブラート(Vibrato)を得るためにどんなに苦労したか、かいま見たような気がしませんか?
もっとも同じ時間軸の制御でもピッチシフト(Pitch shift)に至っては実用化したのは、
ディジタル技術の進歩とメモリーの大容量、低価格化が進んだつい最近の事ですから。
それに比べると歴史上の様々なアプローチを比較出来て面白いです。
製品化したピッチシフト(Pitch shift)マシンを比較するにはもっとアルゴリズムよりの比較になってくると思います。
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Last Up Date '08/09/14