このページではイタリアのC.M.F ベンチーニ社製の1940年代末から70年代にかけられて作り続けられたミラノ生れの大衆カメラ「コロール」を紹介いたします。特徴は、単玉レンズのついたアルミダイキャスト製の造形の変化に富んだボディデザインです。写真でみると変なデザインのカメラにしか見えないのですが原物をみると、まるでアルミ塊の芸術彫刻のような魅力あふれる造形になっています。独逸や日本のカメラが機能や性能の追求から生まれたデザインが多いのに対して、ベンチーニ社のカメラはまるで、デザインがあって、たまたまカメラの機能も有しているという感じすらしてきます。(↑の小さな絵は、当HPにリンクしていただける場合、コピーしてバナーとしてご利用ください。)
元祖コロールです。特徴は沈胴式のレンズと赤窓式ながらフィルムマスクの併用で2種類のマルチフォーマットに対応するようになっています。このコロールで120判コロールの基本骨格が完成しています。初期のモデルは、Bと1/30の単速シャッターなのですが、写真のものは、1/50になっているので50年代始めのもののようです。不思議なことに距離表示板には、1/30と書かれているのですが、シャッター切り替えレバーには、1/50となっているので、過渡期のもののようです。初期のモデルとの違いは、他にもエプロン部のデザインや細かく見るとシャッター回りの造形も違っています。また、写真ものは、カメラ銘が軍艦上部に彫り込みになっていますが、軍艦上部に別の印刷された銘板が取付けられているタイプもあるようです。フラッシュシンクロ接点も装備しているこの写真のコロールは、「コロール S」と見かけもスペックもカメラ銘以外は同じですので、「コロール」から「コロール S」への切替え時に両者の部品が入り交じって作られたのかもしれません。レンズ ; シングルコーティング付きメニスカス単玉 1:11 f=約80mm (一般的な単玉と違い、絞りの前にレンズを配置)シャッター : 1/50単速 + B、フラッシュシンクロ付き絞り : f11固定丸穴打抜きピント合わせ : 目測、前玉回転繰出し式フイルム : 120判 6×6、6×4.5(別つけマスクで切替)フイルム給送 :赤窓式
沈胴レンズは、引き出すと24mm伸びます。時計回りにすこし回すと撮影位置でロックされます。クロム鍍金がピカピカです。
初代コロールの次の世代のものだと思います。初代コロールと似たデザインの「コロール120」の後継機かもしれません。名称のSは、「コロール 24」にフラッシュシンクロ機構を装備したことを表しているのではないかと推測しています。「コロール24」および「コロール24S」の最大の特徴は、120判フイルムに3cm×4.6cmサイズで、24枚撮りという変則フォーマットにあります。フイルム送りは、66用の数字をみながら、2つの窓で交互に数字を送って行く方式ですので、ちょっと油断すると画面が重なってしまうこともおおいのですが、1本で撮れる枚数が多いので気楽にシャッターが切れます。ほぼベスト半裁と同サイズなのですが、127判が気軽に撮れなくなった今となっては、このベスト半裁サイズ代わりにも使えます。(正確には、6×9や、35mm判とおなじ縦横比なのでベスト半裁より大きいフォーマットです。)もうひとつ面白い特徴が絞りがf9とf16の2つ選べるようになったのですが、f9はほぼ円形なのですが、f16は1mm巾の長穴になっています。f9とf16の2つの穴はつながって、操作ミスで中途半端な位置に絞りレバーをセットしても、f9とf16の間くらいで撮れるようになっています。海外サイトで掲載されていた当時の取り説によるとコダカラー使用時はf9、ベリクロムパン使用時はf16にセットするように書かれていました。フラッシュの玉No.に合わせても変更するようです。初代のコロールと比べると、給送側のフイルムスプールの固定ノブがなくなったので、画面が右左にそのときの状況で傾いてしまいます。もっともフイルムは、しっかり圧板で押さえられているので、フイルムの平面性にまで、影響を与えないのですが、きっとファインダーの意匠デザインが優先されて、こうなってしまったのかもしれません。でもそんなことも許せてしまうカメラです。レンズ : シングルコーティング付きメニスカス単玉 1:9 f=約55mmシャッター : 1/50単速 + B 、フラッシュシンクロ付き絞り : f9、f16ピント合わせ :目測、前玉回転繰出し式フイルム ;120判 30mm×46mm(24枚撮り)フイルム給送 :赤窓 × 2
60年代に入って、現れた35mm判のモダンなデザインに包まれたコロールです。50年代までは、フイルムフォーマットが変わると同じデザイン、同じレンズがついていても、ベスト判の「コメット」のように名称が変わっていたのに、なぜか35mm判は、コロールの看板をかかげて誕生しました。一方「コロール24S」の後継機種も「コロール II」として、この「コロール35」と同様のモダンなデザインへ変更されて70年代まで作られていましたから、120判を捨てて、35mm判に名前を継承させたという訳でもなさそうです。スペック的にもシャッター速度が、3速になってコロールにしては高級使用になっています。絞りはf8とf16の2つ選べるのですが、やっぱり二つの穴がつながっている変な仕様です。35mmなので、自動巻き止めなのですが、一般的なスプロケットの歯数を数えての巻き止めでなく、巻き上げ軸の回転で巻き止めます。当然、始めのほうのコマ間と、終わりのほうのコマ間では、間隔がどんどん広がってしまいます。その差がすこしでも小さくなるように巻き上げ軸の直径は2cm程度あります。この巻上げ軸(ドラム?)もピカピカのメッキ仕上げでビックリしてしまいます。日本的な感覚でビックリするのが、巻上げ軸ノブも巻き戻し軸ノブも同じ方向に矢印が書いてあります。矢印の横に「A]と書いてありますから、巻上げ時はこちらに回りますよという感覚なのでしょう。せっかく35mm判になったのに、不思議なことに「コロール」や「コロール 24S」とほとんど大きさは、変わりません。自動巻き止めがついたためか、重さは逆に重くなっているように感じます。レンズは「コロール 24S」と似たスペックですが、、レンズの前にシングルコーティングのされた保護ガラスがついて、レンズ本体のコーティングは廃止された感じに見えます。また始めてレンズの前面に、レンズの名称が書かれるようになりました。レンズ :アクロマチコ 55mm F=1;8シャッター : 1/50、1/100、1/150 3速 + B 、フラッシュシンクロ付き絞り : f8、f16ピント合わせ :目測、前玉回転繰出し式フイルム ;135判 36mm×24mm(36枚撮り)フイルム給送 :自動巻き止め式