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ドンガバチョ(upload.11.29/pm6:15)

小学校も低学年の子供時代。私は田舎に住んでいた。午後ともなると、幼なじみ達と田んぼの中を飛び回った。ある日、インディアンごっこをしようと言う事になった。笹原君が餌食になって、稲を干す為にある柱にくくりつけられ、廻りでみんなアワワワワと口に手を当てて踊る。実にたわいもないものだった。当時テレビではやっていた西部劇の影響である。そこには都合良く、もみ殻の燃える煙が立ちこめていたりした。
5時半になると、そのころ時間を知らせるサイレンが鳴る。う〜〜う〜〜〜う〜〜〜という音を聞いてああ、5時半になったと思う訳だ。だが少年たる我々には、そのサイレンは特別の意味を持っていた。その頃NHKでやっていたひょっこりひょうたん島が始まる時間だったのである。みな蜘蛛の子を散らすように自分の家に舞い戻って行った。その頃の物語は今でも鮮明に覚えている。私はそこに出てくるテーマソングを全部覚えていて歌える位である。ドンガバチョ、海賊トラヒゲ、サンデー先生、ぺけさんの歌、はかせの歌、中でもドンガバチョは私のお気に入りだった。当時テレビはモノクロだったので、どんな色がついていたのか分からない。でも目がマッチで出来ていたのは覚えている。辻本ジュサブローの人形は我々をとりこにせずにはいられなかったのだ。そんなガバチョを記憶をたどって描いてみた。記憶も曖昧でしかも時間がないので、どうしてもいい加減になる。まじめに描いても似たようなものだろ…という声も聞こえそうだが、実はそのとおりである。
漫画調なぐり描き、ドンガバチョだと思ってもらえればよい。

さて、インディアンごっこからドンガバチョに夢中になってご飯を食べて辺りもすっかり薄暗くなった頃、その日、私は何か大きなものを忘れているような気がしていた。そして思い出した。木にくくりつけた笹原君をすっかり忘れていたのだ。慌てて私はインディアンごっこをした田圃へと走った。もう2時間以上の時が過ぎていた。そして途中の道で自力で縄をほどいて帰還する笹原君とばったりと出会ったのだ。

笹原君は怒った涙目で私をにらみ付けると…そのまま走り去っていった。山の向こうにかすかに赤い太陽の光がにじんでいる薄暗い光景の中でひとり私は彼が見えなくなるのを見ていた。忘れて置き去りにしたんは俺だけやない。他のみんなも同じだった筈なのに…。
それは、秋も深まりつつある少し肌寒い30年以上も前の薄暮の出来事である。

以来、ドンガバチョを思い出す度に、笹原君の走り去る姿が思い出される。今でも勿論笹原君とは幼なじみとして、いいお友達である。

(ふゆき)