それは遠い遠い昔、私が6才の時だった。毎日近所のお姉さんがうちのお風呂に入りに来ていた。当時の私の田舎の家は江戸時代に建てられた茅葺き屋根の築後百何十年かたった家だったので、当然脱衣所などというものはなかった。筒抜けの玄関先で服を脱いで五エ門形式の風呂に入るのだ。 私は、まるで刑事ジョンブックの目撃者の子供のように、扉の陰から、裸のお姉さんの後姿を見ていた。その時のお尻の映像はは未だ記憶の片隅に、鮮明に残っている。それからというもの、毎日、毎日、刑事ジョンブックになり続けた。勿論、興奮したとか色気を感じたという類のものではなく、6才なりの興味本位だったんだろう。 しかし、あるときお姉さんに見つかってしう事になる。向こうから見れば単なる小さなガキだ。お姉さんは裸のまま私の目の前まで来て、そこで何してるの、と言う。ビー玉を無くして探しているというようなみえみえの嘘をついた。お姉さんはこの辺?ここかな?といって一緒に探してくれた。しかし、その時私はお姉さんの黒々としたコカンに視線を浴びせていた。 その時のお姉さんの裸は、忘れもしない、私が初めて出会った大人の香りだった。そしてそれ以来、私はジョンブックには、なれなくなってしまったのだ。 それから22年後、東京の出版社に行った私は20年ぶりで小学生の時に一家で東京に行ってしまった幼馴染みと会った。初めは電話だけのつもりだったのだが、家に来て泊まれという。私達は話しが弾みに弾んで、時を忘れた。彼の両親も記憶通りの顔だったのだが、全く見知らぬオバさんが来て、私を懐かしい、懐かしい、こんなに大きくなって…としげしげと眺めた。その人が誰だか最初は分からなかった。一緒に住んでいる彼の叔母さんだと言う。 あの時のお姉さんとは彼の叔母さんだった。そして、あの時の大人の雰囲気が微塵も残っていない位に、お姉さんは変り果てていた…。しかし私は、当時の叔母さんの顔がいくら考えてもどうしても思い出せない。 くっきりと覚えていたのは、白いお尻だけだったからだ。 (ふゆき) |
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