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野球にかける青春(upload.5.31/pm6:30)

プロ野球に興味を失って久しい。夢中になって見ていた事もあった。結果が気になって気になって仕方なかったのだ。北陸に住んでいて小さい頃から広島カープファンだった私は、情報に飢えていたのだ。小学校の頃から、巨人しか映らないテレビやラジオに苛立ちを感じ、北朝鮮の日本語放送とと北京放送の合間を縫ったような放送にかじりついていた。当時はプロ野球がスポーツの王様だった。マンガも野球もおが多かった。

中学校の頃、バスに乗り7キロほど離れた中学校に通っていた。バスの中で仲間とよくじゃれあった。ある日、同級生が噛んでいるガムを投手になったつもりで投げつけてきた。ちくしょーと思った私は投げかえした。他愛もない年代である。そんなガムのキャッチボールを繰り返しながら、相手に向かって思い切りガムを投げつけた。その時はそんな事になろうとは思いもしなかった…。

さっと身をかわした連れの背後に居た、隣町から通ってきていたでこちんの広い高校生の額にそのガムはパシっとくっついたのだ。誰彼ともなくその光景がおかしかったのか、失笑がもれた。だがおさまらないのは、その高校生であった。おでこにはりついたガムをはぎ取ると、鬼のような形相をしながら、つかつかと歩み寄って来て、投げつけた私にのおでこに思い切りガムをこすりつけてバスを降りていった。

それからと言うもの、その高校生と顔を会わす度に、高校生は私にガンを飛ばし続けた。一人でバスに乗った時には怖いものがあった。なるべく、顔を会わさないようにバスに乗るのだが、そういう時に限って乗っているから不思議であった。

中学を卒業した時、私は野球部に入ろうと思った。甲子園に出場出来るとは思わなかったが、青春のひとときを野球に託してみるのも良いかもしれないと感じたからだ。野球部に見学に行った。独特の声を出しながら、白球を追う姿は何かかっこよさを覚えたものだ。だが、そこにバットを持ちながら私を鋭い形相でにらみ付ける男の存在に気がついた…。見ていたバックネットに向かってボールを投げつけると追い払うようにバットを振る。

おでこにガムをくっつけた男だった。彼は野球部に居たのだ…。そんな所に入部しようものなら飛んで火にいる夏の虫である。しごきにしごかれるに決まっていた…。その瞬間私は野球部に入る事を諦めた…。逆に言えば私の野球好きなど、その程度のものだったに違いない…。こうして私の高校野球の夢は潰えたのであった。だが、もういっこ大好きなスポーツが私には残っていることは残っていた。そっちに高校の青春を賭ければ良いのだ…。何も野球だけがスポーツじゃない。

だが、プロレス部もプロレス研究会も私のいた高校にはなかった…(あ、あるかい!そんなもん!)

(ふゆき)