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氷の微笑(upload.8.11/pm3:30)

暑い、めちゃめちゃ暑い。これだけ暑いと何もする気がしないのが普通だ。出来る筈がない。俺は暑さに弱いのである。夜も寝付けない。仕事もはかどらない。おまけに、もうすぐお盆休みだ。この条件で仕事をしろと言う方が無理というものだ。睡眠不足とやらなければならない事が、高利貸しの借金のようにどんどん増えていく。夏に怪談というのは多分凍る程に涼しい気持ちになりたいと言う所から来ているのだろう。冬にこたつに入りながらミカンの皮をむきながら怪談を見るというのは実にさまにならない。

さて、夏と言えば海である。だが、時期的にもう最後の方かもしれない。若いときにはクルマをカッとばしてビーチに良く出かけたものだ。灼熱の太陽とビーチはよく似合う。だが意外に着替える場所がなかった。今ならワゴン車が多いのでそんなに悩まなくても良いのだろうけど、仕方ないので腰にタオルを巻き付けて海水パンツをはくのだが、これがなかなか恥ずかしい。女の人だともっと大変で、よく見かけたのが、クルマのガラス窓にこれでもかって言う位にタオルで隠しながら、見張り番たる恋人か旦那が体をはって隠すというものだった。私は男ばかりの夏だったので、そんな事はしたことが無かったが、隠すから余計に着替えてますってサインを送るようなものだ。若さ故に頭の中で想像出来てしまうからだろうか…、光景を見ているだけで恥ずかしかった。

どうせ、浜辺では布きれ1枚の裸同然の姿になるのである。なのに、何も見えない方が妙に恥ずかしい。

どこだったか忘れたがどうしても忘れられない光景がある。浜辺の駐車場で着替えて、仲間とさあ泳ぐか…とタオルを手に持っていた時、真横で真っ白なワンピースを着た若い女の人が、裾をたくし上げると一気にパンティを脱ぎさり、くるくるとまるめてトランクにぽいと放り捨てた。別にお尻が見えた訳じゃあないが、あまりの早業にただ唖然としていた。女の人は、我々の方に一瞥をくれると、ふ、みたけりゃ見るがいいさ…とでも言いたいような冷たい氷のような薄わらいを浮かべると、また何事もなかったようにワンピースに手をいれビキニをつけはじめた。白いワンピースの中を手足の動きが透過して、頭の中にくっりと像を浮かび上がらせた。仲間もみなあまりの大胆さと至近距離での出来事にボーゼンと顔を見合わせていた。

そして、みんな顔が凍っていた…。な、なんやねんこいつ。少しは恥ずかしい態度をしろ…とでも言いたいように…。

(ふゆき)