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字は顔だ(upload.10.7/pm5:10)

私は字が綺麗だとよく言われる。本当は生き方が美しいのに、皆なかなか物の本質を見抜いてくれない。…という冗談のような真実は横において、今ではワープロとパソコンソフトの普及で手で書くという事は少なくなったが、何故かしら字を書くことは小さい頃から得意だった。特に練習したという事はない。字を書くと言うより字のバランスを取るのが得意だったのだ。

20代の頃、独身寮に住んでいた時、フクシマさんという先輩が奈良公園で拾った可愛らしい赤い財布を警察に届けたところ、神奈川県の高校生の女の子のものだったらしく、お礼の手紙がフクシマさんの所に送られて来た。フクシマさんは、私の部屋に飛んできて、お前、字が綺麗やろ、ワシ字を書くのが苦手やねん、頼むから返事を書いてくれ…と言う。文面は?…と聞くと、それも考えてくれという。他ならぬ先輩の頼み事である。私は引き受けて手紙の返事を書いた。

しばらくすると、神奈川の子からまた返事が来た。返事を求めるような事は書いてなかったのだが、そこは高校生である。字面と文面から星の王子様でも想像したのだろうか…。当たらず言えども遠からずではあったが(誰やねん、つっこむのは!)フクシマさんの喜び方は半端ではなく、また私の所へ来て、返事を書いてくれという。文面は?…と聞くと、それも考えてくれという。なんだ、それでは、フクシマさんの名を借りた俺と神奈川の女の子の文通ではないか…。しかし他ならぬ先輩の頼み事である。ゴーストライターに徹して、適当に返事を書いた。

だが、返事を書く度にすぐ返事がやってくる。他ならぬ先輩の頼み事でも段々面倒になってくる。大体が書いているのは俺であっても、相手が返事を出しているのはフクシマさんである。フクシマさんは字がとっても綺麗ですね…と誉められても嬉しくも何ともない。しまいには、もう嫌や…と断ってしまった。フクシマさんは悲しそうな表情で自分の部屋に戻っていった…。人から聞いた話では、その晩徹夜で返事をしたためたのだという。だが、女子高生とはなんと残酷なのでしょうか…。遂に返事はやってこなかったといいます。

字は顔みたいなものです。字が綺麗だったら心が美しいのか…といえば、そんな事は断じてなく、全く別物であるにも拘わらず、字が汚いと全てが汚いように思えてしまう。だけど、私は毛筆は得意ではない。苦手だ。年賀状を作っていると、毛筆タッチで…という注文にはほとほと悩まされる。だが、今は毛筆書体がある。これでパパパと打てば良い。だが、書体という性格上、これがまた程度が悪い。DTPネタになってしまうが、下に挙げた例は、ダイナフォントプレミアム54書体パックの中の行書体である。右がその書体をそのまま使った例だ。

なんとみっともない書体であろうか。さすが安物である。フォントの性格上そのまま打ち込んでもなかなか毛筆の感じが出ない事は仕方ない。で、私がよく使う奥の手が左のような手段である。自分の字のバランスをそのまま持ち込んでいる。字を個別に詰めてベースラインを調節し、個別に扁平率の変形を加えている。(字形には一切手を加えていない)どーですか?何だか毛筆みたいでしょ。

ダイナフォントをお持ちの方は(注/ダイナフォントお宝パックとは互換性がない)アウトラインを取ってないものも用意しましたので、詰め具合と変形の具合を確認してみてください。