体が異様にだるい。飲んだからか、結構ハードだったからか、分からないが、既に若くなくなった証拠なのだろう。土日の東京大阪往復は結構きつかった。自分の仕事で東京に行く事はまずない。打ち合わせで遠方と行っても殆ど大阪内でカタがついてしまう。昨年は一度も行く事はなかった。列車の中で待つのは3時間が限度だ。最初の1時間は本なんか読んでいればあっという間に過ぎる。だが1時間を超えた辺りからイライラする。2時間までなら、普段なら見もしない活字の隅々まで読んで、なんとか我慢が出来る。ところが最後の1時間と来たら、これはもう地獄の責め苦のようなもので、ただただ、じっと耐えるのみだ。その限界値が全部合わせて都合3時間というのが私の場合の最長時間である。 田舎に帰る時など、帰郷時は始発なので何とか座ってのんきに帰れるのだが、戻りが辛い。北陸は福井だが、上りの特急が福井駅に着いた時点で満員という事が多い。じゃあ最初から指定席を取れよ、と思うだろうが、何かにつけ縛られるのが嫌いな私である。行き当たりばったりが気楽で良いので取った事がない。 十数年前の事だったろうか。帰郷していて大阪に戻る時、もう殆ど乗れない状態の満員電車が到着した。折角まったが乗ることが出来ない。その時、私の少し後ろで一緒に待っていたおっさんがぎゅうぎゅう詰めの列車の中に怒号を浴びせた。こら〜!中が空いてるやないか!もっと中に詰めたらんかい!待っている人間の事も考えたたれや!お前ら自分だけが良ければええのか〜〜〜!おっさんのえらい剣幕にビビッた乗客が中に中にと詰めていった。するとどうだろうか、さっきまで入り口付近までぎゅうぎゅうだった筈なのに、どういう訳か10人や20人は楽々乗れるで〜〜っちゅう位に空きが出来ていた。なかなか勇気のあるおっさんやなあ…とひどく感心した事がある。 ぎゅうぎゅう詰めの列車はそのまま一路大阪へと向かうのだが、次に敦賀という駅に停まった。ぎゅうぎゅう詰めの列車になんとか乗り込もうとする待ち客に対しておっさんは片足で蹴りを入れる仕草をしながら、こう叫んだ。あほか!お前ら、これ以上乗れると思うとんのか〜!次の列車を待たんかい!福井駅であの怒号を浴びせた後に、なかなか言える言葉ではない。人間であることを捨て恥を忘れて初めて吐ける言葉だ。周囲の人は皆なんちゅう勇気のあるおっさんや…と軽蔑したに違いない。 いつも人で溢れるって事は、みな結構行き当たりばったりって事だ。予定を細かく決めて行動する人が少ないのだろう。別に列車だけではない。人生だっていつもスケジュールを立てている訳ではない。その時その時で行く方向だけを決めているに過ぎない。細かな事を決めて行動するのは、どうにも好きになれないのだ。いや、先なんて誰にも読めないという方が正確かもしれないし、だいたい自分の人生が最初から全部行き先まで決まってしまっていてはつまらない事おびただしい。 列車に乗る時間は出来るだけ短い方が良い私だが、その分、人生だけは行き先の分からない鈍行列車に乗りたいものだ。ただ、自分の場合、普段の不摂生で行き倒れバッタリ…になる心配はあるのだが。 (ふゆき) |
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