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たぬき(upload.4.20/pm5:40)

風邪のせいか体調がいまいちである。こういう時はうどんや蕎麦が胃に負担が掛からず実に美味しい。関西では揚げの乗ったものは、きつねと言えばうどんで、たぬきと言えばそばである。何故キツネとタヌキなのか分からない。マルちゃんの赤いきつねとミドリのたぬきという武田鉄矢のコマーシャルがあったが、あれは関東でもやっていたのだろうか…。何故かタヌキとかキツネとかはいつも人を化かすという役目を負っている。これも実に不思議だ。
2年ほど前、東京の新橋の立ち食いで、たぬきと言って出てきたそばを見て驚いた。な、何でやねん、揚げが乗ってないやんか!俺をなめとんのかぁ〜〜〜!…と、おばちゃんに文句を言おうと思ったが、ぐっとこらえて、天かすだけのそばを食べた。東京では天かすを入れたそばをたぬきそばと言うのだそうだ。そんなもん天かすなんて関西では当たり前についている。これこそたぬきに化かされたようなものだ!と思った。受けた仇や恩は返すのが筋である。食い物の恨みは恐ろしい。いつかこの恨み晴らさずにおくもんか…と堅く心に誓った。

たぬきと言えばおふくろから聞いたオヤジの話を思い出す。私はオヤジの51の時の子である。だから物心ついた時にはオヤジはおじいさんだった。でも生真面目で優しい父親だった。私の実家は北陸の片田舎である。山のふもとで動物が多い。いつの頃だったか知らないが、オヤジが午後の間もない頃に茶わんにご飯を入れていたらしい。昼食取って間もないのに、おふくろが、さては呆けたか…と思って、よきょく聞くと、家の裏にリスが二匹お腹を空かせて倒れているからご飯を食べさせるのだ、とのたもうたそうである。おふくろが行ってみると確かに折り重なるように二匹の小動物が家の裏の日陰に倒れていた。で、よく見ると目の周りが黒い。タヌキだった。タヌキというと絵で描いたような信楽焼きのタヌキを思い浮かべる人が多いかもしれないが、野性のタヌキはちょいと大きいリスのようなものだ。タヌキは用心深い。ご飯をおいてそっとしておいて後から見に行くとご飯を食べた跡があり、タヌキはいなくなっていたらしい。

心優しい親父らしいエピソードで、私にはこの話がとても印象に残っている。

しかし、しかしだ、受けた仇や恩は返すのが筋である。今からでも遅くはない。子孫である私のところで良いから、現れてきちんと礼を果たすべきである…とこの場を借りて、その時のタヌキに言って、今日の俺達に明日はないの言葉を締めくくりたい。

(ふゆき)