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●ポーズ集(upload.6.6/pm4:50)

30代も前半の頃、マンガを描く事も諦めて今の仕事を始めた頃、大阪ナンバの旭屋書店で写真ポーズ集を見つけた。女性のポーズを後ろから前から上から下から斜めからと様々なアングルで捉えたものだ。こんなのがマンガを描いてたときにあったらなあ…と思い夢中で眺めた。女性は当時としてはまだ解禁されていない筈のヘアヌードだったけど、この手の本というのはイヤらしさはかけらもない。

もうマンガは描かないと決めてたのだが、実際にアングルを見ていると、ああ、こう描けばよかったのか…とか、こう見えるかぁ…とか反省点とかが沸々と沸き上がってくる。食い入るように見つめた。写真も恥部が食い込んでいた…いやちゃう。そんな話じゃない。そこへ若い女二人が通りかかり、軽蔑の眼で見た。そしてあろう事か私に聞こえるような声で、ささやきあったのである。

まぁ、いやらしい〜。

あ、あほか〜〜!ちゃうわ。何でこんなポーズ集でしかもこんな健全な大きな書店の片隅で俺が興奮せなあかんねん。こ、これはやな、構図というかアングルというか、そういうものを研究してやな、自分の至らなかった所を反省しているというか、絶え間ない向上心の現れやないかい!大体やな〜、エロ本なんてコーナーに行けばいくらでも見れる。俺はそんな奴とちゃうわ〜〜!…等と言い訳をする訳にもいかない。

思い起こせば美大とか専門学校とかに縁のなかった私はヌードデッサンなどした事がなかった。若い時は一度で良いからしたいと思っていた事は事実だ。そこには女の裸を見たい等という卑しい心が無かったと言えば大嘘だ。当然殆どそういう心で占められていたと言っても過言ではない。しかし、その時のポーズ集はそういう心は全くなかったのだ。これは本当なのである。

ヌードデッサンは出来ればマンツーマンでどっかの窓辺に柔和な陽光の当たる洋館の一室だと最高かもしれない。モデルは出来れば大人の魅力をぷんぷんと湛えた体に起伏の激しいボディだとさらに良いかもしれない。じっと凝視しながらその魅力を紙に写し取る作業を一度で良いからしたかった。それも単に真っ正面からではなく、普通はそんなとこから見いへんやろ…っちゅうような奇抜なアングルからもヌードデッサン出来たらさらに良かったかもしれない。そこにはお前下から覗きたかったんちゃうかあ…という下卑た邪推もあろうかと思うが、実はその通りだ。
もし、ああん、私気が変になりそう…等とモデルが言い寄ってきたら、そのまんま事に及ぼうと等という下品な考えたあったのではないか…と言われたら、断固としてこう言いたい。そんなもん、腰を振る事はあっても首を横に振る訳あるかい!

だが、だが、だがである!その時の書店では純粋に私はポーズをひたすら頭の中で構築し、人体の骨格とはこういうものか…と感心しきっていたのである。これは本当なのである。

なのに…書いていて、我ながらどうしてこうも説得力がないのであろうか。実に不思議である。

(ふゆき)