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弦楽合奏スタディ?

 「オーケストラ・スタディ」なるもの,御存じでしょうか?楽器を弾かない人にはなじみがないかもしれませんが,オーケストラの各パートの難しい部分を抜粋してまとめた教本です. 弦楽器に限らず各楽器ごとにあり,良くオーディションにも使われるので,プロ演奏家,特にプロ・オーケストラの入団を目指すには避けて通れない教本です.オーケストラの弦パートは本当に難しい所がありますが,管楽器の爆音の前に掻き消されることもあったりして,特にアマチュアでは,ごまかして弾いていることも多いのですが...

 一方,弦楽合奏曲では一般的に,オーケストラの弦パートほど高度な演奏技術を要求されるところは少ないのですが,管楽器がないため音が薄く丸裸で荒が非常に目立つので,ごまかしが効きません. そこで,弦楽合奏曲の中で難しいパートを抜粋して練習する「弦楽合奏・スタディ」なるものがあるとして,難易度と演奏頻度からどんな曲のどの部分が選ばれるか考えてみたのですが,やはりドヴォルザークの弦楽セレナーデ第5楽章,1st Violin,93小節目からのスピッカートが1番目に来るのではないかと思うのですが.

 問題のテンポですが,自分の所有しているCDでこの部分のテンポを計測してみました.(4分音符/分)

ベルリン・フィル(カラヤン) 146.9
I Musici de Montreal (Yuli Turovsky) 145.9
Capella Istropolitana (Jaroslav Krecek) 145.7
ルツェルン祝祭弦楽合奏団(フィードラー) 145.3
ベルリン室内管弦楽団(Peter Wohlert) 143
アムステルダム・シンフォニエッタ 142
プラハ・フィル(Jakub Hrusa) 131
シュツットガルト室内管弦楽団(ミュンヒンガー) 128
【番外】
アルス室内合奏団(アマチュア) 135(大健闘!)

 今回の測定した中では,僅差でカラヤンのベルリン・フィルが最速となりました.後半,少し乱れるところがありますが,小編成ではなくあの人数でこのテンポはさすがです.もちろん,速ければ良いというものではないのは言うまでなく,ミュンヒンガーが一番遅いテンポだったのですが,逆にスピッカートの歯切れの良さが際立って安定感のある演奏でした.

 このようにプロの演奏でもテンポにはかなりばらつきがありますが,これを一人で弾くのではなくパート内で合わせなくてはいけないわけで,練習として考えると速く弾けるに越したことはありません.アマチュアで個人練習する場合,当座の目標は120でしょうか.これを130まで持っていければ,かなりのものだと思います.140でも楽勝で弾ける方,コンマスお願いします(笑)

 もし,もっと速いCDをお持ちの方は掲示板に情報をお願いします.また,腕に覚えのある合奏団の方がいましたら,音源にリンクしますので是非ご連絡ください.

(2009/08/15)

 ちょっと話は変わりますが,現在,主に演奏に使われる出版譜ですが,ドヴォルザークが出版に際して自筆の初稿を改訂したものです.ところが,この改訂によって大幅なカットがなされていることは,あまり知られていません.例えば,上記の楽譜で練習記号Eからの第2主題.後半に再度現れる際には287小節から始まり385小節の第1楽章の主題まで続くのですが,ここではたった7小節で終わってしまい,すぐに件のスピッカートへと続きます.実は,この部分は初稿では79小節もあったものを,出版の際にカットしてしまったようなのです.また第3楽章のTrioでも,チェロのソロを含む34小節がカットされています.なぜドヴォルザークがこれらの部分をカットしたのか.その理由は良く分かっていません.
 実は,この初稿による演奏というものもありまして,ルツェルン祝祭弦楽合奏団は両楽章とも,アムステルダム・シンフォニエッタは3楽章のみ初稿を使用して演奏していますので,興味のある方は聴いてみてください.

 更に細かい話ですが,どの楽譜でも3楽章の1st Violin,33小節目の最後の音がAになっていると思います.しかし,演奏してみると違和感があるのでGに直して弾くことが多いのではないでしょうか.ちなみに上記のCDではプラハ・フィルのみA,それ以外はすべてGでの演奏です.みなさん,どうされていますか?

(2009/08/25加筆)

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