1984/3/18 「ネロ・ウルフ対FBI」
これをウルフの最高傑作と見る向きも多いそうだけど、それはちょっと理解に苦しむ。
それほどきちんとしたプロットが立っているわけでもないし、FBIへの敵愾心に満ち満ちた怪作といったところでは。オチにはフーヴァーまでひっぱり出して
念入りにFBIをコケにしている。スタウトのリベラリズム志向が、実に良く出た作品、とは言えるだろうが。まあ、おなじみのメンバーが勢揃いしていて、そ
ういう意味での面白さはあるし、ウルフものの最大の魅力は登場人物(とりわけレギュラーたち)の
軽快なやりとりにあるわけだから、それはそれでいいのだけれど、やはりプロットがあまりにも弱いなあ。本格ミステリという感じでは全然ない。
訳の問題もある。アーチーの訊問の口調が、相手構わずひどくぞんざいに訳されていて、違和感がある。高見浩はTPOの概念に乏しいんでは。