1994.9.21
「大魚の一撃」 カール・ハイアセン 扶桑社ミステリー
スキンクという謎の人物が登場して、彼は『珍獣遊園地』にも登場していたが、こっちの方が時系列的には前になる。順番を逆に読んだのは、ちょっと失敗だったかも、という気がする。彼の強力なキャラクターは充分に愉しめたのだけれど、こちらの方が、より陰影が濃く描かれていて、挫折した理想主義者のかなしみが、良く出ているように思った。『珍獣遊園地』の彼は、もう少し、ふっきった人間だったような気がする。こっちを先に読んでいれば、『珍獣』を読んだ時に感じるものが多かったかもしれないし、逆にこっちで初めてスキンクに出会っていれば、インパクトももっと強烈だったかも、と感じた。まあ、しゃあないけど。
ひねりの効いた飄々としたユーモアが愉しかった。スキンクに限らず、一人一人の人物が、キレまくっているところがいい。なんたって、カールが凄い。まともなような振りをしているけれど、キャサリンだって変だぞ。フロリダって、ほんとにこんな人間ばっかりなんかな。行ってみたく…ないな。
おおむね、『珍獣遊園地』に似た読後感だが、作品が湛えている哀感の度合は、こっちの方が上かもしれない。スキンクの描かれ方がそうだし、デッカーの背景やオット・ピクニーの人生にも、そこはかとない悲しみがあるような気がした。
そんでもって、印象的な結びが、とても良かった。