1994.10.4
「ヘッドハンター」 マイケル・スレイド 創元ノヴェルズ
いきなり酸鼻を極めるようなシーンから始まって、さーすが『グール』の作家、とか、感心するんですが、『グール』に比べたら、その後の展開は意外に質素。
いや、まあ、それでも、こんな本を褒めたら良識を疑われるかしらん、という懸念を抱くには充分なくらい、血まみれなシーンが盛り込まれてはいますけど。うー、でも褒めたいなあ。
スプラッタなシーンはともかくとして、警察捜査小説としての出来映えが非常にいい。『グール』はスプラッタなうわべの下に、意外なくらいまともなプロットを隠していたが、こちらはスプラッタな要素がやや希薄な分、プロットの良さが表にあらわれている。
謎の連続殺人鬼を追う特捜班の面々の困難に満ちた捜査活動が丁寧に描き込まれているし、捜査員たちの癖のあるキャラクターもきっちり造形されているので、ストーリーの流れがすんなり頭に入って来る。それにまた、随所に仕掛けがしてあるので、途中で飽きない。知らん間に、最後まで引きずって行かれてしまう。
プロットの最大の仕掛けの部分は、ちょっと唐突な感じが否めないので、ここは少し文句を付けたいところなんですが、でも結末は、(見え透いているけど)効果抜群。
それにしても、盗んだ頭の用途なんですが、こんなん書いていいのかねえ。このセンスも、わたしゃ好きですねえ。
ただ、どっちが凄いかというと、やっぱり『グール』の方が凄いと思う。というわけで、双方の共通の続編だという『カットスロート』が楽しみだ。