1995.1.31
「カットスロート」 マイケル・スレイド 創元ノヴェルズ
相変わらずの血まみれ、酸鼻を極めるスプラッタ小説。
この作家のいいところは、そういううわべに隠れて見えにくいんだけど、プロットの構成がしっかりしていて、随所に仕掛けの工夫が見られるところ。グロいシーンさえ書きゃいいのさ、という安直な考えではなくて、ちゃんと小説を書いてる。
カットバックを多用して、場面転換の多い、スピーディーな展開もいい。読み始めた直後の、入るまでが辛いんだけど。
ただ、本書については、上巻が終ったところで、ちょっと疑った。仕掛けになりそうなところが、あらかた暴露されちまってて、こんなんで、あと半分持たすか?、仕掛けがなかったら、こんなん、ただの悪趣味やぞ、みたいな感じだったもんで。でも、さすがに、したたかだった。
後半はスプラッタが若干抑え目で、その分、ストーリー廻しに力が入ってた。
最後に残った謎が、どんどんでっかい話になって行って、おお、やるやる。
テーマは、人類の進化と不死、っちゅうとこか。それから、香港。
この香港の描かれ方は、あんまりじゃないか?という気がするんだけど、僕は知らないんで、こんなもんなのかもしれない。
ジンクが生死の境をさまよいながら見る人類の末路ってのは、なんか、とても胸を突かれるものがあった。
本書の解説(尾之上浩司)には、不満がある。続編のことが書いてあって、内容については書くわけにはいかない、みたいなことを書いてるくせに、ほのめかしみたいに書いている部分で肝心な部分はバレバレになっている。 [追記2005.10.8]「髑髏島の惨劇」が出た現時点で見ると、致命的な部分を明かしている訳ではないので、許容範囲という気がした。そもそも、この解説を読んで、あの内容はとても想像出来ないよ。でも、書き過ぎだな、という感じはする。多分、書きたくて、しょうがなかったんだろう。