1995.2.13
「影のドミノ・ゲーム」 パコ・イグナシオ・タイボ二世 創元推理文庫
昨年『三つの迷宮』が邦訳されて、気に入った作家だったので、いきなりまた読めることになって嬉しい。
内容は、今回もまた、とりとめのない事件を、とりとめもなく追って行くという展開ながら、今回の方が事件の骨格ははっきりしており、案外、まともなミステリになっているような気がした。あくまでも、相対的なものだけれど。
一方、事件を追うのは、世間からのはみ出し者・四人衆で、ひとりひとりの個性の豊かさ、クセモノぶりは、なかなか楽しい。ただ、それほど長い小説でもない割りには、4人も主人公を設定してしまったせいで、一人一人の掘り下げの少なさに、ちょっと不満が残るところではある。ただ、この本は、人間よりも、メキシコ革命後の、混乱した猥雑な状況を描こうとした面はあるように思う。革命によって垣間見えた理想が、革命が「盗まれた」ことによって、慌ただしく、はかなく消え去って行こうとする社会状況への虚無感が、強く感じ取れる気がする。
しかし、こののんびりダラダラした雰囲気は楽しいっす。ラテン系のミステリのリズムは好きですねえ。(ただし、フランスは別)
こればっかりじゃあ、多分、飽きると思うんだけどねえ。バスケス・モンタルバンも、また訳してくんないかなあ。