1995.5.9
「殺意のシーズン」 カール・ハイアセン 扶桑社ミステリー
奇怪だけど笑えるケッタイな誘拐殺人事件で幕を開け、スラップスティックの乱れ撃ちで相変わらず笑わせてくれた。一方で、その裏側で描かれる、破壊されていくフロリダの自然への哀惜であるとか、社会からはみ出してしまった者たちへの共感であるとかが、また、いいんだな。べたつかないけど、心に浸み込むような…。ラストなんか、ほんとに泣かせる。
構図としたら、『大魚の一撃』『珍獣遊園地』と同じような感じだけど、主人公と“怪人”の関係が、幾分過激かもしれない。これがプロトタイプということなのかもしんないな。
それにしても、ハイアセンは、ほんとにいい。これで単独作で邦訳のある4冊を読み終ったのだけれど、全部が大当り。刊行当時に読まなかったのが悔やまれる。