2003.5.28 「グルーム」 ジャン・ヴォートラン 文春文庫
ミステリマガジンのフランスミステリ復権とかいう特集を眺めた直後に見掛けて、
つい買ってしまった。登場人物がみんな破綻しているのは、フランスミステリだ
から当然としても、その破綻ぶりが尋常でない。その割に、小説として形になっ
ていて、自己満足で終っていない所がいい。異常な欲望や暴力を描くことが、こ
の世界そのものの異常さを語ることにつながっているという印象。1980年に書か
れている小説ながら(翻訳は2002年)、現在読まれることで、より痛烈さを放っ
ているような気がする。