2003.11.6
「暗黒大陸の悪霊」 マイケル・スレイド 文春文庫
お馴染みの面々の人物紹介がやたらと入念で、総集編のような趣きだったが、これが最終巻というわけではなかった。前作同様、残虐さはかなり薄まった印象。大量殺戮の場面などがあっても、以前のような恐怖感を煽るものとは微妙に方向がずれている。その代りに目立つのは、むやみやたらなスケールの大きさと極端に細かい説明文の頻出。バカバカしいくらいのバランスの狂い方には、非常に趣味的な小説なんだなと感じるし、そこが、波長の合う読者にとっては、やたらと面白く感じられる所以と思う。意外性を求めるあまり、最後の方は、かなり無理が来ている気がするが、そもそも小説全体を覆うナンセンスさからすれば、本書の評価を左右するほどの欠点ではないな。