日本顎頭蓋機能学会(JACMO)
学会長 川添堯彬
大会長 覚道健冶
口腔・顎頭蓋の疾患に対するコ・デンタル、コ・メディカルを含めた多くの医療従事者による総合診療の重要性徐々に認識される今日、21世紀の歯科医療のはじまりに際し、第15回学術大会を開催する意義は大きいと思います。今回は「顎口腔の機能障害とADL、QOL」をメインテーマに、「顎関節症の自然経過とADL」についての特別講演、「摂食・嚥下障害と口腔ケアー」、「咀嚼障害とADL」、「不正咬合とQOL」についてのシンポジウムや有料プレセミナー「開口障害への対応」も企画しておりますので、歯科医師のみならず、コ・デンタル、コ・メディカルの皆さまのご参加をお待ちいたしております。また、一般講演・ポスターセッションおよび課題講演を下記の要領により募集いたしますので、ふるってご応募下さい。
第15回日本顎頭蓋機能学会学術大会
日時 平成13年9月8日(土)午後1時〜午後6時、
9日(日)午前9時30分〜午後5時
場所 大阪市中央区大手前1−3−49(京阪電車 天満橋、地下鉄谷町線 天満橋 下車 徒歩5分)
大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)
参加費 会員 全納8,000円、会員当日10,000円、非会員全納10,000円、
非会員当日12,000円 大学院生4,000円、コ・デンタル、コ・メディカル3,000円
懇親会 平成13年9月8日(土)午後6時30分〜
大阪市中央区大手前1−5−17 大阪歯科大学付属病院14F
プラザ14 会費8,000円
前納制をとりますので参加費とともにお支払い下さい。なお、お支払い方法、宿泊の詳しいご案内は追って6月頃にお送り致します。
特別講演 「顎関節症の自然経過とADL」
栗田賢一(愛知学院大学歯学部口腔外科第一講座 教授)
教育講演 「TMDに対する外科治療」
覚道健治(大阪歯科大学口腔外科学第二講座 教授)
シンポジウム 1「摂食・嚥下障害と口腔ケアー」
シンポジウム 2「咀嚼障害とADL」
シンポジウム 3「不正咬合とQOL」
課題講演 「臨床例の術後経過」
一般講演・ポスターセッション
有料プレセミナー(定員20名)平成13年9月8日(土)午前9時30分〜午前11時30分
「臨床医のための開口障害への対応」
大会事務局 大阪市中央区大手前1−5−17
大阪歯科大学口腔外科学第二講座内 大会長 覚道健治 準備委員長 森田章介
TEL:06−6910−1111(内線4441)FAX:06−6910−1030
e-mail 15−jacmo@cc.osaka-dent.ac.jp
講師:椎名 英貴(ボバース記念病院リハビリテーション部言語療法科科長)
小野 高裕(大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座助教授)
村田 俊弘(大阪府歯科医師会/村田歯科医院)
座長:藤 喜久雄(小松病院歯科口腔外科部長)
施設や居宅において、訪問歯科診療が全国各地でさかんに行われるようになってきました。口腔衛生状態の改善により、誤嚥性肺炎を防止できることが近年知られるようになり、口腔ケアの重要性が広く認識されるようになりました。各地方の歯科医師会でも、摂食嚥下障害の講演会が開催されていますが、歯科医師の参加はまだまだ少ないようです。
摂食嚥下障害は、ざまざまな原因で生じますが、今回は、遭遇する機会の多い脳血管障害によって引き起こされる摂食嚥下障害について考えて行きたいと思います。球麻痺は延髄の病変で起こり、嚥下運動惹起不全のため重症の嚥下障害であることが多く、耳鼻科医による手術的介入も考慮する必要があります。しかし、脳血管障害で摂食嚥下障害を起こしている患者さんの多くは球麻痺ではなく、仮性球麻痺によるものです。仮性球麻痺は、皮質・皮質下の病変、内包病変、脳幹病変が両側性に起こって嚥下障害をきたすと言われています。一般に仮性球麻痺では、嚥下反射は十分正常で、嚥下反射惹起までの時間が長く、嚥下反射が起こってもタイミングが悪いために誤嚥が起こると考えられています。また球麻痺、仮性球麻痺のいずれも、ほとんどの症例で口腔期の障害をきたしていると言われています。
言語聴覚士法の第四十二条には「言語聴覚士は、保健婦助産婦看護婦法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として、医師又は歯科医師の指示の下に、嚥下訓練、人工内耳の調整その他厚生労働省令で定める行為を行うことを業とすることができる。」と記載されています。口腔ケアーにとどまらず、脳血管障害による摂食嚥下障害患者さんへの、歯科医師の使命とその責任には大きなものがあります。
口腔ケアを行う訪問診療の現場で、摂食嚥下障害を発見しても、
どのように診断するのか?
だれに相談すればよいか?
摂食嚥下障害は耳鼻科医の仕事ではないだろうか?
言語聴覚士と、どのように連携をとればよいのか?
歯科としてどのようにかかわっていけるのか?
と、様々な疑問点が浮かび上がってきます。脳血管障害で引き起こされる障害は、摂食嚥下障害だけでなく、上下肢の麻痺・高次脳機能の障害(失語・失行・失認)等も起こるため多職種間の連携も必要です。
そこで今回のシンポジウムでは、ボバース記念病院リハビリテーション部言語療法科にて、高度な臨床を実践しておられる椎名英貴先生に摂食嚥下のメカニズムと評価法について解説していただきます。その後、大阪大学歯学部の小野高裕先生に、摂食嚥下障害に対する補綴学的アプローチについて最近の知見を述べていただきます。さらに、大阪府歯科医師会の村田俊弘先生に、開業歯科医師としての摂食嚥下障害へのかかわり方として、在宅歯科診療・口腔ケアー・摂食嚥下障害のネットワーク作りも含めて経験に基づいた講演をしていただく予定です。これらの講演をもとに、摂食嚥下障害への歯科からのアプローチの方向性をディスカッションしたいと思っています。
<摂食嚥下のメカニズム>
摂食・嚥下の過程は以下の5期に分けて考えることが一般的である.
1)先行期:認知期とも呼ばれる。食物をそれと認め口腔内へ運び入れるまでの過程である。内的な食欲を感知し、食べようとする行動を企画し実行する。食物の種類、大きさ、固さ、温度などを事前に察知し、それに適した食べ方、飲み方を計画する。外界の認知,運動の企画,遂行,さらにはマナーにあった食べ方といった社会性の問題も関与する。2)口腔準備期:口腔に入った食べ物を、嚥下しやすい状態にまで処理する過程。食物は臼歯によりすり潰され唾液と混ぜあわされ嚥下しやすい食塊を形成する。3)口腔期:食塊は舌の運動により咽頭部へ送り込まれる.このとき舌は中央を窪ませ食塊をつつみこむ.口蓋と舌の間にはさまれた食塊は,舌の波状運動により後方へ運ばれる.嚥下の中で随意的に制御できる部分である.4)咽頭期:食塊が舌の後方,咽頭後壁を通過すると,嚥下反射が惹起される.嚥下反射の中枢は延髄網様体にある.嚥下反射が出現すると,咽頭腔につながる管,つまり口腔,鼻腔,気管が閉鎖される.咽頭収縮筋の蠕動様の運動により圧力がかかり,食塊は食道へ移動する.口腔と咽頭の閉鎖は奥舌の挙上によりなされる.口腔と鼻腔の閉鎖は軟口蓋の挙上によってなされる.食塊が咽頭を通過するとき,気道を防御し気管への侵入を防ぐ必要がある.気道防御は嚥下反射時の声門の閉鎖,喉頭蓋の反転,および喉頭の挙上によりなされる.咽頭と食道の間は,通常は輪状咽頭筋の働きにより閉じられている.この筋は嚥下反射時に弛緩し食塊は食道へ送り込まれる.以上の様に嚥下反射時,舌,軟口蓋,咽頭,喉頭の多くの筋群が活動するがこれらの筋群の一連の運動は,時間軸上で厳密にプログラミングされている.5)食道期:食道入口部を通過した食塊は,食道の蠕動運動と重力の力で胃に送られる.これも反射的な運動である.
<嚥下障害の評価>
嚥下障害の評価の目的は1)摂食・嚥下障害の有無を同定し,2)摂食・嚥下のどの過程がどのように障害されているかを分析し,3)治療に対しての方針を確定することにある.1)に対しては医療情報,実際の摂食状態の観察,水のみ検査,反復唾液嚥下検査のようなスクリーニング検査によってなされる.2)に対しては実際の食事場面の観察や,口腔運動機能評価,
Video-Fluoroscopy(VE),Video-Endoscopy
(VE)による嚥下動態の観察に基づいて行われる.3)以上の所見を総合し治療方針を確定する.
VFは造影剤の嚥下時の透視画像をVTR上に録画するものである.嚥下動態を透視下で直接観察できる利点がある.VTRをスロー,もしくはコマ送り再生することで,極短時間の運動を詳細に分析可能である.造影剤は液体,半固形,固形と何種類か用意しておき,患者の状態に合わせて選択する.
VEは内視鏡を鼻腔より挿入し,咽頭・喉頭の直接観察下で摂食をおこなわせる評価方法である.VEのメリットは実際の食べ物を使用できるので日常に近い状態を観察できる点,食塊,唾液の貯留状態やその喉頭への侵入が直接観察できるというメリットがある.またベッドサイドでも簡便に検査が可能である.
VF,VEともに誤嚥の有無や嚥下動態の確認を行うのみでなく,食形態,嚥下方法,姿勢などを変化させ観察することで治療への示唆を得るようにする.
実際の食事場面はVF下の摂食嚥下と比較して,時間的にも長く,咀嚼嚥下の回数,連続性,食物の嗜好,味,温度などかなり異なる.このため摂食機能の評価はVF,VEからの情報のみではなく,実際の食事場面からの情報や口腔運動機能評価を統合して判断していく必要がある.
<摂食・嚥下障害と歯科補綴>
「摂食」とは,「食べること(eating,injestion)」を意味し,「嚥下」は「飲み込むこと(swallowing,deglutition)を指す言葉である.藤島一郎は,1993年に初版を刊行した『脳卒中患者の摂食・嚥下障害』の中で,脳卒中患者に代表される要介護高齢者の場合,単に嚥下障害だけでなく,認知障害,注意力障害,動作の障害などを伴っていることから,広く「摂食障害」というとらえかたをする必要があると述べ,「摂食・嚥下障害」という組み合わせを用いた.この言葉は,1995年に発足した「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の名称にも採用され,現在では超高齢社会を語る上で欠かせないキーワードの一つとなっている.
摂食・嚥下リハビリテーションは,機能・形態障害に対する治療的アプローチ,能力障害に対する代償的アプローチ,社会的不利に対する環境改善的アプローチによって構成されている.本シンポジウムでは,あえて歯科補綴領域の専門性に立脚し,「摂食・咀嚼・嚥下障害」とさせていただくが,リハビリテーションにおける「歯科補綴的アプローチ」を確立するためには次のような課題が考えられる.
1.これまで歯,歯列,咬合,顎運動に集中しがちであった診査と評価を,口唇,舌,頬などの軟組織と唾液に代表される口腔環境を含む口腔全体に広げること.
2.上記の結果に他職種による評価を加味し,「食べること」における問題点を,「過程モデル」(Palmer,1997)のような包括的なイメージの中でとらえること.
3.全体的なリハビリテーションのゴールを踏まえ,必要な補綴装置を選択して適用するとともに,機能訓練,口腔ケア,食事指導との連携をはかること.
<リハビリテーションにおける補綴装置の効果>
クラウン,ブリッジ,義歯などの補綴装置は,形態の欠損を回復することによって機能の回復をはかるというもので,対象が健常者の場合,適切に設計・製作されれば,ただちにその効果は発揮される.しかし,中枢性の摂食・嚥下障害を有する患者の場合,口腔器官の機能的協調性が低下していることが多く,補綴装置が効果を発揮するためには咀嚼・嚥下・構音などの口腔機能訓練が必要であり,逆に障害の程度に応じた補綴装置の段階的な適用が必要となる場合も考えられる.
一方,欠損した組織を回復するのではなく,低下した機能の代償・賦活化をはかる補綴装置がリハビリテーションにおいては適用される.舌の実質欠損や運動障害に対する舌接触補助床(Palatal
Augmentation
Prosthesis=PAP),軟口蓋の運動障害による鼻咽腔閉鎖障害に対する軟口蓋挙上装置(Palatal
Lift
Prosthesis=PLP)などがこれにあたり,いずれも,機能訓練と併用することによって効果を発揮する.
本シンポジウムでは,咀嚼・嚥下機能の正常像と異常像を示すとともに,これら補綴装置の適用方法について解説する予定である.
a.通院可能な場合
当医院で診断及び治療。対象者は乳幼児〜中途障害者・高齢者。
b.通院困難な場合
居宅・老人保健施設・病院へ訪問歯科診療。
対象者は中途障害者。
@第一スクリ−ニング者は患者・家族、医師、看護婦、保健婦、ケアマネ−ジャ−、ホ−ムヘルパ−、ケアワ−カ−等。
A第二スクリ−ニング者として摂食・嚥下障害を診断し、治療方針を立てる(歯科医師)。摂食・嚥下障害を評価出来る歯科衛生士も必要。
B主治医に患者の全身状態について情報を得たり、摂食・嚥下リハビリテ−ションを始めることを含めて、密に連絡する。
C摂食・嚥下障害者やその家族に、毎日行う摂食・嚥下リハビリテ−ションについて理解し納得して貰う。
D看護婦、ホ−ムヘルパ−、ケアワ−カ−、管理栄養士、理学療法士等に摂食・嚥下リハビリテ−ションを協力して貰う。
E脱水・低栄養のチェック、誤嚥のチェックを行う。
F誤嚥性肺炎予防等のために口腔ケアを行う。
G食環境・食内容について指導する(摂食・嚥下リハビリテ−ション)。
a.「富田林市在宅寝たきり老人等訪問歯科事業推進協議会」
富田林市・富田林保健所・富田林医師会・富田林病院・富田林薬剤師会・富田林市消防本部・大阪府歯科衛生士会・富田林歯科医師会。
b.「富田林市在宅寝たきり老人等訪問歯科事業推進協議会の専門委員会」
富田林市・富田林医師会・富田林市消防本部・大阪府歯科衛生士・富田林歯科医師会。
c.「訪問歯科事前調査」
富田林歯科医師会の協力歯科医・大阪府歯科衛生士会の協力歯科衛生士。
a.「太子町・河南町・千早赤阪村在宅寝たきり老人等訪問歯科事業推進協議会」
太子町・河南町・千早赤阪村・太子町社会福祉協議会・河南町社会福祉 協議会・千早赤阪村社会福祉協議会・河南町消防本部・
(除富田林市)。
b.「太子町・河南町・千早赤阪村在宅寝たきり老人等訪問歯科事業の専門委員会」
太子町・河南町・千早赤阪村・河南町消防本部・(除富田林市)。
c.「訪問歯科事前調査」
a.「南河内・堺地区 摂食・嚥下勉強会」
[職種]歯科医師、看護婦、歯科衛生士、ケアマネ−ジャ−、保健婦、言語聴覚士、管理栄養士、医師、理学療法士。
b.「大阪神経難病医療推進協議会」会員
a.保健所、歯科医師会(大阪府歯科医師会・大阪府歯科医師会支部)、富田林三師会、大阪府介護支援専門員協会、老人クラブ、
介護者家 族の会、歯科衛生士会、病院、地域ケア研究会、福祉公社、特別養護老人ホ−ム、大学、養護学校、等での講演等。