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| 堺屋太一著『高齢化大好機』 (NTT出版、平成15年4月刊) サイズ(cm): 19×13、244ページ、¥1300+税 |
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| 本書は、三部から構成されている。第一部は、高齢化社会の到来であり、堺屋氏の持論が展開する。わが国では、規格大量生産型の近代工業社会を目指し、国全体が「職縁社会」になったが、その職縁社会が、この10年間で揺らぎ崩れ出し、未曾有の高齢化社会がまもなく日本を襲うと予測されている。人口が減り、経済が慢性不況に陥り、社会は老化し文化は衰退する、という悲観論が出ている。しかし、堺屋氏は、人口が減少しても、経済は衰退し文化が低下するとは限らない、職縁社会に代わる社会として「好縁社会」が到来すると見ている。つまり、好みの縁でつながり、それが強い帰属意識を持つ共同体へと発展する可能性があるとしている。 第二部は、高齢者市場の実例と分析である。音楽やスポーツなどを例にあげ、高齢者の求めるものは、若者と違い、楽しみと健康のためだとし、若者とは違った市場が展開しているとしている。第三部は、その高齢者市場を開拓する経営者の考えが述べられている。 堺屋氏の高齢化社会となっても経済は発展していくという考えと、「職縁社会」の次に「好縁社会」が到来するというのは、卓見であるとは思うが、私は必ずしも全面的には支持できない。なぜなら、人口が減少しても経済が発展した例としてあげている15世紀のイタリアの例は、人口が全体的に減少したのであり、現在の日本のように未曾有の少子高齢化の中での人口減少とは違うからである。また、「好縁社会」の到来にも疑問がある。それまでの「血縁社会」、「地縁社会」、「職縁社会」は、それぞれの経済の発展段階における生産基盤を示したのに対して、「好縁社会」は生産基盤とはなりえないからである。 しかし、経済が大きな転換を迫られている時に、従来の既得権益を守ろうとする旧制度や守旧的な官僚機構は改革していかなければならないとする考えには、まったく同感である。 |
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