立花隆著『証言・臨死体験』
 (文藝春秋、平成13年8月刊)
 文庫判、330ページ、¥476+税
 本書は、臨死体験をした23人の証言を聞きとった記録である。臨死体験は、川の向こう岸から亡くなった親しい人から呼ばれたとか、お花畑が見えたとか、類型化できるようであるが、それぞれをよく読んでみると、実に様々であり、興味深い。しかし、私には、それにも増して、彼らが臨死体験をどう受けとめ、その後人生がどう変わったかの方が面白かった。


 〔本書の中から〕

○病気のあとは、人間個人なんていうのはちっぽけなもので、人間は自分の意思
 でなく、もっと大いなる力によって動かされていると思うようになったのです。
 神がいる、と感じるようになったのです。………いまでは、自分が生きている
 のではなく、生かされていると思うし、小説だって、自分が書いていいるので
 はなく、書かされているという思いがするのです。(作家・永倉万治)
 
○この世の時空を超越した時空があるのです。高次元の時空では、この世的な
 時間や空間に縛られない現象が起きうるから、過去と未来が通底していても不
 思議ではないということです。臨死体験というのは、この世の次元を飛びこえ
 て、高次元の世界に入ることなんです(彗星探検家・大内鶴彦)

○自分の生きているこの世界とは別の次元の世界があって、いわゆるあの世は、
 その別の次元に属していて、臨死体験はその二つの世界の間のズレ目で起き
 た現象なんじゃないかという気がするんです。………自分の人生はあそこで一
 回終わったんだという気がします。残りの人生はいわばいただいた人生だから、
 それを人さまの役にたつことにささげたいという気持ちで生きるようになりまし
 た。(脚本家・宮内婦貴子)

○生きているときは、その意欲でもってとことん生きる。そして死ぬときはその意
 欲が消え、生への執着が消え、そして軽やかな気持ちになって、最後にこの世
 界を別な見方で見せてもらう。それが臨死体験なんじゃないか。それは生に与え
 られた最後の贅沢なんじゃないか。(映画監督・羽仁進)

                               (04/8/7)



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