長年乗っていると、ペイント面、メッキ面ともくたびれてきますよね。
ツヤがなくなってきたり、サビが浮いてきたり
新品部品に交換するのも一つの手ですが、絶版パーツだったり、値段が高くて
思うように手が出なかったりと、悩みが多い部分でもあります。
でもどうでしょう、レストア(再生)次第では、新品以上に仕上げよく出来上がったり
耐久性も上がったり、サビと格闘して仕上がったパーツに、愛着がわいてきたりと
あきらめてはいけません。世の中にはできないものはないのです。
表面処理といえば、主な目的は美観の向上やサビの防止が挙げられますよね。
でも素人でメッキなんてどうやればいいのやら・・・
しかし最近ではレストアブームのありがたいあおりか、個人向けにもメッキを取り扱って
くれる業者も増えてきました。
また、ホームセンターやバイク用品店で手に入る塗料のバリエーションも増えてきています。
ここでは、私が個人的に行った塗装やメッキについて、紹介させていただきます。
塗装はご存知の通り、防錆と美観の向上が主目的ですが
金属の表面に樹脂や、合成樹脂で皮膜をつくることであります。
皮膜の性能(耐久性やツヤなど)は、皮膜の原料である
樹脂の特長によって様々なものがあります。
また、刷け塗りやスプレー(吹きつけ)などの施工方法の違いによっても
様々なバリエーションがあります。
では塗料にはどんな種類があるのか、簡単に特徴を紹介します。
| 塗装の種類 |
塗膜形成機構 |
ビヒクルの種類
(主成分) |
おもな用途 |
ビニル、
アクリルエマルジョン
塗装 |
分散材としての水の蒸発 |
塩化ビニル
酢酸ビニル
アクリル酸エステルなど
の共重合ラテックス |
建造物 |
| アクリル系ラッカー |
溶剤の蒸発 |
アクリル樹脂 |
建造物,車砿金属機器、
木製品 |
| エボキシ樹脂塗料 |
二液混合反応形 |
エポキシ樹脂,使用のと
き有機アミンを混合 |
金属機器,缶,電線 |
| ボリウレタン樹脂塗料 |
二液混合反応形 |
ポリエステル樹脂、使用
のときイソシアネート液
を混合 |
金属機器、木製合
缶、電線 |
| アミノアルキド樹脂塗料 |
焼付硬化 |
油変性アルキド樹脂+ブ
チル化メラミンまたは尿
素樹脂(プレボリマー) |
車両,金属機器、電線 |
| アミノアルキド樹脂塗料 |
二液混合反応形 |
油変性アルキド樹脂+ブ
チル化メラミンまたは尿
素樹脂(プレポリマ)、酸
触媒を混合 |
木製品 |
| アルキド樹脂塗料 |
酸素硬化形 |
油変性アルキド樹脂
プレポリマ
|
航空機、車両、金属製品 |
| 天然系塗料 |
酸素硬化形 |
うるし、カシューなど |
木製品、車両 |
| 油性エナメル |
酸素硬化形 |
天然樹脂と油の反応物 |
金属機器,木製品 |
| 油性ペイント |
酸素硬化形 |
ボイル油 |
建築,船舶,橋りょう |
使用目的による塗料の分類
| 塗料の種類 |
主な組成 |
使用目的 |
| プライマー |
ビヒクル,体質顔料 |
おもに金属素地に最初に塗布するもので,密着性と
さび止め効果をもつものである. |
| パ テ |
ビヒクル,体質顔料 |
金属および木地のでこぼこを直すために用いるもので,
多量の体質顔料を含む. |
| サーフェーサー |
ビヒクル,体質顔料 |
パテの面のみがきあしを埋めるために用いられる. |
| 中塗り塗料 |
ビヒクル,着色顔料 |
プライマー、パテ,サーフェーサーの塗装行程が終わ
ったのち,中塗りを行う.普通は上塗りと同系統のも
のが用いられる. |
| 上塗り塗料 |
ビヒクル,着色顔料 |
保護と美観を目的とする. |
これは基本的な塗料を示したもので、このほかにもまだ細かなバリエーションはあります。
頭が疲れてきちゃいますね
でも私たちが一般的に使うのといえば、一液式のアクリルラッカースプレー
ちょっとがんばって二液式のポリウレタン樹脂塗料(フュエルタンクの上塗りに
使うもの)のでしょうか。
あと大きな特徴といえば、シンナー蒸発型か、自己硬化型かでしょうね。
シンナー蒸発型(一般的な缶スプレー)はお手軽な分、シンナー蒸発時にあく
ピンホールが原因で、プライマーを下塗りに塗ったり、何回か塗り重ねないと
防錆性能は比較的弱いですよね。
ガソリンなどの溶剤に対しても、はっきり言って弱いです。
(経験ある方もいるのでは・・)
その点、ポリウレタン樹脂塗料は優れていますよね。溶剤にも強いですし
塗膜も硬くツヤがあって、美しい。
できれば様々な部分に使いたいのですが、なにせ値段が高価なため貧乏人には
つらいところです。
施工例:ヘッドライトステー
ワイヤーブラシでサビ取後、プライマー(今回は亜鉛塗料を使用)1回塗装後
一液性のアクリル塗料のメタリックを上塗り3回、クリヤーを2回で処置して
みました。
つやも良く、塗装後雨天走行も何回かしましたが、サビの発生やツヤの引け
などはありません。ラッカーはかなり薄いので、根気良く重ね塗りする事が
ポイントなのではないでしょうか。(塗装前に缶を暖めるのも定石ですね!!)
施工例:ブレーキキャリパー、ホイール、シリンダー(エンジン腰上)
キャリパーはサンドブラスト、ホイールとシリンダーはワイヤーブラシで清掃後
シンナーで脱脂を充分に行い、
フタル酸樹脂エナメルの塗料で刷け塗り
いわゆるペンキなのであるが、これがまたバカに
できないのだ。
この手の塗料は、屋外の直射日光、酸性雨、排気
ガスなどの化学物質にさらされる環境で、長期間に
わたり、耐久性を要求されるものなのである。
私は、スプレーの技術に自信がないので、長年
ペンキを愛用しているが、十年以上にわたって、サビ
の発生や塗膜のはがれなどのトラブルはない。
その性能は、いわば実証済みなのだ。
特に強調したいのは、群を抜く塗膜性能も去ることながら、価格の安さは
コストパフォーマンスの面で、特筆すべきものがあることだことだ。
一缶500円前後で買えてしまうのに、前述した塗装箇所すべて塗っても
まだ塗料は缶の中に余ってしまっている。
これが缶スプレーだったら、いったいいくらかかるであろうか
そしてマスキングの手間隙を考えると、おのずとペンキの利点が見えてくる。
また刷け塗りというのは、刷毛の種類さえそろえれば、極端な話、マスキング
さえ不要なのだ。
たかがペンキ、されどペンキ。ペンキ恐るべし
レストアブームの昨今、近いうちにペンキがブレイクすると思いませんか?
またペンキについては、RZメーリングリストで知った、
にえさんのウェブサイトで
詳細に紹介されているので、参照されて見るといいでしょう。
メッキの特筆すべき点といえば、密着性の高さでしょうか。
一般的には、鉄(アルミや樹脂にも可能)の素地に、亜鉛やクロームなどの金属膜を生成させます。
塗装と違い、とにかく皮膜の密着性は高いですね。
また、防錆目的の亜鉛メッキ、装飾目的の装飾用クロームメッキ・金メッキなど、目的・用途によって
様々な種類があります。
最近では個人向けにも、メッキ作業を承ってくれる業者さんも増えてきました。
現に私も、RZのレストアでは個人向けの業者さんに、パーツを何点かメッキ作業を行ってもらいました。
ここではメッキの種類や施工例などを紹介して行きたいと思います。
電気めっき
 |
加工物をメッキ液中で陰極として電解し(要はめっき液に漬け込んで電気を流す)
その表面に任意の金属膜を析出させる方法
バイクでいうとボルトやステー、純正のマフラーなどが挙げられる。
@装飾用:金、銀、白金などの貴金属よびその合金のめっき
A装飾兼防食用:鉄鋼や銅合金などに対す銅-ニッケルークロムめっきあるいは
ニッケルークロムめっき
B防食用:鉄鋼素地への亜鉛やすずなどのめっき
C工業用:耐摩耗,潤滑,耐熱用にクロムめっき,肉盛り補修用に銅,ニッケル等
のめっき
|
| 無電解めっき |
金属塩水溶液中の金属イオンを還元剤を用いて素地表面に還元析出させる
めっき法である。この方法は,
@品物の形状によらず均一で任意の厚さのめっきができる。
A金属面上のみならず、非金属面上へのめっきも可能で用途が広い
(被めっき物に電流が流れなくてもできるためプラスチックなどにも可能なようだ)
などの特長を持つ
が、現状では適用可能な金属(めっき層を作る金属)がVIII族(ニッケル,コバルト
など)とその合金、あるいはlb亜族(銅,銀,金など)に限られている。 |
溶融めっき
 |
アルミニウム、亜鉛、すずなどの低融点金属の溶融旅中に加工物を浸して
引き上げ、表面に溶融金属を凝固・合金化させるめっき法が溶融めっきである。
主として鉄鋼製品の防食,耐酸化の目的で利用されている。
亜鉛めっきは、素地に対する表面損傷やピンホールがあっても、亜鉛が犠牲
陽極となって素地の腐食を抑制する利点があり、また比較的安価でもあるので
最も広く使用されている。. |
| 化成処理 |
溶液中で化学的に金属表面に無機塩や酸化物の薄い皮膜を生成させ,防せい
膜あるいは塗装下地を作ることを化成処理という。
わが国では,200°C程度以下で処理するリン酸塩皮膜,クロム酸塩皮膜,臭酸
塩皮膜,酸化皮膜などに限って化成皮膜と呼ぶことが多い。
鉄鋼表面への化成処理としては主にリン酸塩皮膜形成が行われている。
防食用にはリン酸亜鉛系またはリン酸マンガン系の厚膜皮膜が防せい油と併用
して用いられ,自動車用部品などに適用されている。
リン酸皮膜(特にリン酸マンガン系)はまた接触面の摩擦抵抗を低減し、潤滑性を
向上させる効果が大きく,歯車,カム輔,シリンダライナなどに適用されている。
アルミニウム表面に対する防食用化成処理としては、クロム酸化物の安定皮膜を
生成させるクロメート処理が一般に行われている。 |
陽極酸化
 |
主にアルミニウム、あるいはその合金に対して行われるもので、硫酸や臭酸などの
中で金属を陽極(+)として強い電場を与えて電解し、酸化アルミニウムの皮膜を
形成させる方法である。
耐食性、耐摩耗性、絶縁性、染色性の向上に有効である。
アルマイト処理とよく呼ばれているもの |
様々なめっきの種類
| 種別 |
特 徴 |
備 考 |
| ニッケル |
平滑にめっきされピンホールが少ない |
サビ止め、装飾、クロムめっきの
下地に適する。
金型、電鋳用にも用いられる |
クロム
(装飾用) |
ピンホールやや多い |
空気中で光沢を失うことなく
装飾に適する。 |
クロム
(硬質)
 |
硬質にして耐摩耗性が大きい |
機械部品、計器、工具などに
応用される。 |
| 銅 |
導電性がよい、速く厚めっきできる |
ニッケル、クロムなどの下地
めっきに適する。
そのままでも、銅独特の渋い
光沢感がある。 |
| 亜鉛 |
鉄にめっきして腐食環境におくと亜鉛が優先的に腐食し
鉄を錆から守る働きがあるため、安い金属(値段)で
あることと薄い皮膜(5〜8ミクロン)でも優先的に鉄を
守る働きから広く産業界で用いられているめっき |
鉄製品などのめっきに適する
一般的にはクロメート処理をして
使用される。 (クロメート、ユニクロ、黒色クロメート
緑色クロメート、三価クロメート、
三価ユニクロ皮膜)
|
| カドミウム |
海岸付近の建造物、部品、船舶部品などの
防錆用として適している |
公害の問題で排水設備が完全で
ないとめっきできない。 |
電気めっきの種類
施工例:ブレーキカムレバーとチェーンアジャスター
ブレーキカムレバーは鍛造肌(鋳肌?)のザラザラを
ベルトサンダーで平滑にして、装飾用のクロームめっき
を行った。
チェーンアジャスターは肌がきれいだったので、そのまま
めっきをしてもらった。
もともとの肌が粗いと、折角めっきをしても肌がザラザラに
仕上がってしまうので、注意が必要だ。
もちろんサビも同様である。価格はブレーキカムレバーと
左右アジャスターで3000円位だった。
施工例:キックスターターとステアリングステムナット
ノーマルが錆びてきたので、レストアついでに装飾用の
クロームめっきを行った。
これも、ノーマルは肌が粗いので、ベルとサンダーで肌を
平滑にしてから、めっきを行った。(ステムナットは研磨せず)
仕上がりは納得いくもので、思わずキックなのに
磨いてしまうことがある。
価格はキックassy(依頼時は要分割)で3000円位だった。
施工例:ワッシャー類、ブラケット類
シリンダーヘッドボルトやワッシャー類、、タンクを押さえて
いるワッシャーや、タンデムステップ本体とブラケット類に
亜鉛めっきを行った。
めっき前の酸洗いである程度サビは落としてもらえるが
仕上がり良くなるように、汚れや酷いさびはあらかじめ
落としておいてから、作業を依頼した。
亜鉛めっき後のクロメート処理は、車体のもともとの色に
近づけるために、黒色クロメート処理を行ってもらった。
耐久性でいくならば、緑色クロメート(緑といっても実際は
カーキ色)のほうがよいのだが、あいにく依頼しためっき屋
さんでは、取り扱ってなかったので、緑色クロメートはあき
らめた。
クロームめっきほどの派手さはないものの、機能面(防錆)や
車体とのマッチング面では、なかなかお勧めである。
小物であれば、1カゴたっぷり数千円でやってもらえるので
金銭的にもやさしいものがある。
施工例(写真なし) オイルシールと当たる各種ロッド類
旧車ではお馴染みのものに、オイルシールとあたる部分の段つき磨耗があります。
クラッチのプッシュロッド、シフトシャフトのロッド、ウォーターポンプのインペラシャフトなどなど
なんで、こんなに段つき磨耗しちゃうの?と不思議に思い、文献をあさってみたところ、NSKの
技術資料に面白い記述があった。
軸設計とオイルシール選択の部分で、空気中には酸化アルミ(アルミナ)=とても硬い が漂っていて
(特に輸送機器などは、道路を走行している環境上そうかもしれません。)
外部と接する軸のオイルシール部分は、このアルミナを巻き込んで早期磨耗を引き起こすそうです。
設計上、この部分を焼きいれ処理のみだとアルミナの方が固いので、軸の固さが負けて磨耗してしまう。
なので、工業用硬質クロームメッキや、ニッケルメッキ後焼入れなどにすると、表面固さが上がり、段付磨耗
などを防止することができるそうです。
そう思えば、RZの段付磨耗ナンバーワンのクラッチプッシュロッドや、シフトシャフトなんか、この類ではないか。
オイルシールのあたる部分は、焼入れだけでメッキ処置などされていない。
メッキ厚さや、仕上げの問題もあるが、レストアの際は、こういうネックの部分にも表面処理を施してあげると
次回までの部品交換の頻度が著しく改善されるのではなかろうか。