蒼炎の軌跡 ローカライズスタッフインタビュー 2005.10.16Updated!

蒼炎の軌跡北米版 ローカライズスタッフインタビュー
プラネットゲームキューブより

プラネットゲームキューブという北米のサイトで、蒼炎の軌跡北米版をローカライズしたスタッフの
インタビューが紹介されていました。このサイトは任天堂の公認サイトではありませんが、
今後の北米におけるFEの展開なども含めて、面白そうな内容だったので紹介します。
インタビューを受けている3人は「ツリーハウス」というローカライズ専門会社のメンバーで、
この会社は、任天堂と親密な仕事関係を持っているようです。
かなり以前(2005年10月)に作っていたのにアップロードするのを忘れていました。まぬけだ……。
そして元記事がどっかに行っちゃった。すみません……。捏造記事じゃないことだけ明記しておきます。

翻訳は私IMOKOがしています。技量にもまだまだ問題がありますし、
ところどころ意訳もしています。
誤訳や勘違いなどご指摘(VYC05463あっとnifty.ne.jp あっとは@です)いただければ幸いです。


PGC(プラネットゲームキューブ 以下PGC)
リッチ・アムタワー、ティム・オリーリー、そしてアラン・アヴリルの3人は、
ツリーハウスに所属しています。
今日は彼らに、間もなく発売される蒼炎の軌跡北米版について語ってもらいました。
それではまず、ツリーハウスにおけるみなさんの役割を教えてください。また、
過去に関わったタイトルと、任天堂の仕事をどれくらい続けているかもお願いします。

リッチ・アムタワー(以下リッチ ローカライズ・プロデューサー)
任天堂との仕事は5年になります。今回はローカライズにあたってプロデューサーを担当しました。
すべてのFE(訳者注 烈火の剣・聖魔の光石・蒼炎の軌跡の3作と思われます)、
ゲームボーイウォーズアドバンス、どうぶつの森GCとハム太郎DS、マリオパーティ、黄金の太陽です。
アラン・アヴリル(以下アラン ローカライズ・ライター)
私はツリーハウスに参加して約6ヶ月です。新参者ですね。
6年間任天堂と仕事をしています。ニンテンドー・パワー誌
(訳者注・北米で発行されている月刊の任天堂のオフィシャルマガジン)にも参加しており、
攻略記事も書いています。
過去参加したのはファミコンウォーズDS、マリオパーティ7、FEそしてどうぶつの森です。
ティム・オリーリー(以下ティム ローカライズ・プロデューサー)
私は6年になります。ドクターマリオ&パネルでポン、スマッシュブラザース、
ゲームボーイウォーズアドバンス、とっとこハム太郎(ハムハムスポーツ?)、
どうぶつの森、FEシリーズに参加しました。

PGC
蒼炎の軌跡を翻訳するにあたって、一番難しかったのは何でしょう。
私が思うに、漢字が一番辛かったのではないですか。たくさんの漢字が登場しますよね。

リッチ
その通りです。本当に言語の問題には頭を悩ませられました。
私は日本版のスタッフに疑問の全てを、片っ端から聞いたくらいです。
FEは豊かなストーリーを持っているので、日本語版の持つ深い味わいを
そのまま伝えられるかが最大の挑戦だったと言えるでしょう。
馬鹿みたいに誇張したものにはしたくありませんでした。
ときにユーモアを交えつつ基本はシリアス、それがFEシリーズとしての根幹にあるものですから。
アラン
ティムに続けましょう。会話はあくまでドラマチックで有意義なものであるとしたかったのです。
いろいろな方向から可能性を探るのは楽しいですね。
映画や本ならばキャラクターの感情を表現するのに文章の量に制限はありません。
しかしゲームの場合は厳密な制約があります。
たとえば「うわあああ!」という表現を使わずに、20文字以内でキャラクターの心理変化を
伝えなければいけません。
FEは内容の多いゲームなので、真面目さとユーモアを保ちつつ作業を続けるのは、きつかったですね。
リッチ
彼らの言う通りです。その上、ボタンを押すたびに沢山のテキストが繰り出すので、
次から次へと戦いは続くわけです。ひたすら訳していくだけだと、
プレーヤーは永遠にテキストを読み続ける羽目になります。
私たちは「この会話はいつ終わるの?」とは思われたくありませんでした。
日本語版と同じボタン送りで会話を進めるのではなく、
プレーヤーが費やした時間にふさわしい量にするのが目的でした。

PGC
北米におけるFEのセールスには満足していますか?
期待よりも良かったとか悪かったとか。

ティム
それについては何とも。
我々は営業部ではないので、一番大切なのは皆がゲームを楽しんでくれることです。
FEが大好きなので、沢山売れてくれることによって、より多くの英語圏の人々に
楽しんでもらうことができます。
リッチ
売り上げについては知らないんですよ。我々はFEシリーズに入れ込んでいるので、
ローカライズに徹しています。
アランは攻略本の仕事を終え、GC版の作業に入りました。とにかくプレーヤーには、
腰を据えてゲームを楽しんでもらえるのといいですね。
ファンのみなさんがこの作品を好きになってくれることを、
読んだり聞いたりできるのはとても嬉しい。それだけです。

PGC
名前を変更することについてはどうですか。
エイリークがエイリーカ(訳者注・北米版聖魔ではEirikがEirikaになっています。
Eirikは普通は男性名)になるようなものは納得できるのですが、
ノール(=丘 古語でKnellならば弔いの鐘)がノエル(=クリスマス祝歌・男子および女子の名)に
変更されたような、英語版で初登場となるものがあれば、
シリーズのファンは戸惑うのではないですか。

リッチ
私たちはIS(インテリジェント・システムズ)から多大な「信頼」を寄せられています。
彼らはFEがアメリカでどのように受け入れられ、また可能なかぎり歓迎されることを望んでいます。
最初に話し合ったのは、キャラクターの日本語名の由来と意味です。
北米のファンに、ネーミングの由来を正しく伝えるためです。
ラーチェルを例に取りましょう。彼女の名前は「優雅な印象」を与えるよう意図されています。
時に尊大ですが、とても面白いキャラクターなので、日本名をほとんど変えませんでした(=L'Arachel)。
そのまま書かれた彼女の名前は、日本版開発チームが伝えたかったものに比べ、
英語圏の人々にとっては、いささかざらついた音でしたので、少しだけ響きを変えてあります。
日本語名をそのまま英語に置き換えると、文字通り音訳になってしまうのです。
元の名前の意図を伝えようと努力し続けたことは、開発チームにも話しました。
そのことにはいろいろな場所で注意を払っています。ちょっとした刺激的な話題だったんですよ。
ゲームの原点に忠実であるために、開発チームの許可は必ず得るようにしていました。
ティム
ユリシーズがいい例ですね。アメリカでユリシーズといえば、
南北戦争で有名なユリシーズ・S・グラント(訳者注・第18代アメリカ大統領・南北戦争時の北軍総司令官)か、
ホメロスの叙事詩オデュッセイアの主人公オデュッセウスを指します。
なので私たちは開発チームに、どうしてこのように特別な名前をつけたのか、理由をたずねました。

PGC
ストーリーやその他の部分で、日本版と北米版に違いはありますか?
改良された点などもあれば教えてください。

リッチ
ストーリーは忠実に訳しています。ISとの関係でそうなりました。すべての要素においてね。
内容を変えたいという人がいたとしても、ペーパーナイフで我々の強固な砦を攻めるようなものです。
滑稽なゲームにしないように心をくだきました。
ごくわずかな違いが残ってしまったとしたら、
北米未発売のシリーズ作品があるためでしょう。
過去作品をプレーした北米のファンにだけわかるはずです。
まだ3作品しかローカライズされていませんからね。
英文への置き換えが成功したことは確信しています。
ISが作品に込めたもの全てが再現されているでしょう。
日本でのゲーム制作はまだ続いているので、それに関連する事柄には
気づかなかったかもしれません(訳注・蒼炎の続編が
制作されているのかについては言及されていません)。
開発チームには、ファイアーエムブレムの役割が変わるような重要な変更があった場合には、
必ず教えてくれるように頼んでいます。
FEとは何か? どう働きかけるものなのか?
ストーリーとの関わりは……といったことについてです。

PGC
マニアックモードについて聞かせてください。英語版でも同じなのでしょうか。

ティム
少しだけ簡単になっています。ご存じのように、アメリカで最初に発売された烈火の剣は、
日本では封印の剣と烈火の剣という2部作になっていました。
北米版向けに発売された烈火の剣はシリーズの案内役として受け入れられました。
同じ意味で「既に北米では2作、先行して発売されているではないか」
という状態だったのです。日本ではシリーズ9作目に当たりますけどね。
今回の北米版蒼炎にはモードが3つあります。
イージーとノーマルとハードです。イージーは新しく作られました。
ノーマルは日本版のノーマルと同じ、ハードは日本版のノーマルとマニアックの間に位置します。
リッチ
私たちがデバッグをしている間、ISは日本のプレーヤーたちの反応を伝えてくれました。
お互いに交換した情報によって、変更がなされています。
ISはFEが北米でどのように受け入れられていくか、とても気を配っていました。
声優の演技からキャラクターの名前の違いまで、全てにおいてです。
ティム
FE開発チームは、北米版の発売を心待ちにしています。
彼らは日本版の開発チームなのに、わざわざ渡米して
北米のテストプレーヤーの感想を聞きに来たんですよ。
実に熱心に聞き取っていました。
「(マニアックモードは難しすぎて)クリアできない」という日本側の意見があったので、
英語版には配慮がなされました。

PGC
GCゼルダの発売が来年に延期されたことによって、
蒼炎の軌跡は、北米における「任天堂アメリカ(今年)最大のタイトル」となりますかね。
このサイトの読者や熱狂的なFEファンは、このゲームの発売がFEシリーズの人気を
押し上げるいいチャンスだと思っていますよ。
GCゼルダのデモが同梱されれば、売り上げも伸びるでしょう。

リッチ
私たちは営業の立場にはないし、プロモーションがどのような内容なのか、
知らされていないんです。だからその質問には残念ながら答えられません。
もちろん、力を入れているタイトルなのは間違いありません。
任天堂アメリカはこの作品の成功を願っています。

PGC
次に英語版を作りたいタイトルはありますか。

リッチ
「押忍!闘え!応援団」です。是非アメリカのファンに紹介したい。
極めて日本的なゲームですから。
あの漫画的なイラストとセリフが、ここ北米でどのような反応を受けるか予想もつきません。
アラン
恋愛シミュレーション。アメリカでは高校を舞台にしたデートゲームがほとんどないんです。
ティム
特にないんですが、「アナザーコード 2つの記憶」のようなタイプのゲームは北米では見ないですね。
テキストアドベンチャーや探偵物とか。スマブラの中でフィギュアをゲットできた女の子は誰だっけ……
(インタビュアー注・ティムが言っているのは、開発一部が初期にファミコンとスーパーファミコンで
制作した「ファミコン探偵倶楽部」の橘あゆみのことです)
リッチ
スパロボシリーズも紹介してみたい。あのゲームは大好きなんです。

PGC
最後の質問にいきましょう。FEシリーズの中で一番好きなのはどれですか。
レボリューションの登場によって、ファミコンやスーパーファミコンで出ていた、
一連の旧作FEが遊べるかもしれないことについて、どう思われます?

アラン
レボリューションで旧作がどうなるかについてはわかりません。
遊べるようになるといいですね。
我々は何も書いていないホワイトボードを眺めながら、実現するといいなと願っているだけなんです。
市場関係者のように思われたくはないのですが、私が好きなのは蒼炎の軌跡ですね。
惹きつけられるものがあるんです。ストーリーは深く、思わず引き込まれるし、
アイクのキャラクターにはぞっこんです。
アイク、好きだなあ。彼は本当に働き者ですよ。
FEの主人公はふつう、王女や王子といった貴族が主人公です。
蒼炎はアイクが主人公だったので、ゲームに入りやすかったです。
リッチ
ファミコンやスーパーファミコン時代の作品もプレーしています。
でも蒼炎の軌跡は本当に気に入っています。
我々は、貴族を中心にめぐるお話ではない、蒼炎のようなお話を待っていました。
政治的なことがわからなかったり理解できないような人々と一緒に過ごすのは楽しかったですよ。
シナリオを書いていてとても楽しかった。お仕事バンザイ。
ティム
グラフィックやムービーよりも、お話がどう展開していくのかが好きでした。
FEというゲームの根幹はかなり以前、ISによって作られたもので、
ここ北米でも畏敬されるべきものです。
もちろん微調整は必要としますが、年月を経ても基本システムに大きな変化はありません。
制作チームの凄さを物語っています。
一番のお気に入りですか? 蒼炎と(北米で最初に発売された)烈火が僅差ですね。
烈火の剣は私にとって初めてのFEであり、初のローカライズでしたから。
でも、蒼炎に軍配かな。アイクは彼の人生において、いつもベストを尽くしてきた、
貴族ではない、叩き上げです。
ゲームの流れは、いつも白黒はっきりと結果の出るものではありません。
ゲームが始まると、あなたは選ばなければなりません。
たとえば、開始早々にお姫様のエリンシアと同行することになります。
しかし傭兵たちにとって、これは本意ではありません。激しい話し合いが行われます。
それは正しいとか間違っているという問題ではなく、生き残り生活していくための話し合いです。
ゲームはシリアスな内容であり、キャラクターたちがどう戦い、成長し、変化していくかを見守るものです。
うーん、2本(蒼炎と烈火)とも、やっぱり甲乙つけがたいですね。

PGC
3人とも、忙しい中にわざわざ時間を割いてくれてどうもありがとう。
蒼炎の軌跡へ全力を注ぎ込んでくれたんですね。
みなさんの次回作を楽しみにしています!



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