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猫が調子悪そうにじっとしていてうずくまり、あまり動かず、
よく見ると苦しそうに胸で呼吸している。また、胸をさわると痛がり咳をすることもある。
こういう場合、獣医師はすぐに胸に聴診器をあて心臓の音や肺の音を丹念に聞くと共に、
胸部のレントゲンをとります。そして、レントゲンに写った胸部の状態をみます。
苦しそうにあえいでいたり胸で呼吸しているのが、肺炎や肺ガンなどのように肺に大きな問題があるのか、
あるいは、肺自体には大きな問題はないけれど、胸腔内になにかがあったり、
液性のものが溜まったりして肺を圧迫していてそうなっているのかを知るためです。
そして、胸腔内に液性のものが溜まっているときには、胸に針を刺して胸腔内のものを抜き、
中身がなんであるかを調べます。
中身が水性の場合は胸水、血液の場合は血胸、乳糜液の場合は乳糜胸、
膿の場合は膿胸という診断が下されます。
膿胸(のうきょう)という病気は、字を見てお分かりのように胸に膿(うみ)が溜まる病気です。
膿性の滲出液が炎症部位から出て、出口のない胸腔内に溜まるわけです。
胸腔内に溜まった滲出液は、褐色や黄土色などさまざまな色をしていますし、悪臭を出しています。
膿胸の原因は、細菌や真菌の感染です。原因菌としてブドウ球菌や連鎖球菌、
大腸菌などもありますが、
多いのは酸素を必要としない嫌気性菌で、アクチノミセス、クロストリディウム、
バクテロイデスなどが代表的です。
外につながりのない胸の中なのに、どうして細菌感染が起こるのでしょうか。
これを特定するのはほとんどできませんが、けんかによる噛み傷の他に、
針などの異物が食道などの壁を通して胸腔内を傷をつけることが考えられます。
また肺炎や他の感染部位
(特に口腔内の齲歯、歯石、歯肉炎)からの細菌が感染することも考えられています。
治療には多くの方法があります。抗菌剤の投与は3〜4週間に及びますので、
抗菌剤は培養検査と感受性試験の結果から選んで投与します。
胸腔内に溜まっている膿を排出するための胸腔内チューブを装着することもあります。
そのチューブを通して膿を排出するとともに胸腔内を洗浄するのです。
症状によっては1日に数回行うこともあります。
胸腔内の洗浄は、排出される液から細菌がなくなるまで行います。
胸腔内チューブを装着せずに、毎回針を刺してその処置を行う場合もあります。
どちらにするかは、猫の状態や性格によって判断することになります。
ときには、治療のために手術をしなければならないこともあります。
というのは、炎症が胸腔内にあるさまざまな部位で起こっており、
炎症の状態によっては他の臓器にも影響を与えるからです。
私は過去に、膿胸の炎症で心臓を包んでいる心嚢膜が炎症を起こし、
そのために心臓の動きが悪くなり、心臓の動きを元に戻すために心嚢膜を切開する手術したことがあります。
胸腔内での癒着を剥がしたり、重い病変を持つ肺の一部を取ることもあります。
これらの手術はすべて開胸手術で行われますし猫も悪い状態で手術するわけですから、
それなりの危険を伴いますので詳しく獣医師のお話しをお聞き下さい。
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