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     ダライラマ著作解説


はじめに:
   ダライラマは仏教のヴィヴェーカーナンダか?

 最近のダライラマの著作活動はめざましいものがある。ヨーロッパや北米で本屋に入り仏教のコーナーに行くと、必ずダライラマの本が何冊も並んでいるし、特に小規模の本屋ではダライラマの文庫本が仏教書コーナーの全体の半分を占めてしまっている。多くの欧米人にとってはダライラマの本が仏教の教えを理解するための入り口になっている。チベット仏教に限らず、仏教全般への入門書の役割を果たしている。
ダライラマが仏教の世界的布教において果たした役割は、1世紀前にインドのヴィヴェーカーナンダがヒンドゥー教徒の哲学(ヴェーダーンタ)を世界的に広めるのに果たした役割に匹敵する。いや、それ以上のものがあろう。鈴木大拙も仏教を世界に広めるのに大きな役割を果たしたが、いまや西欧で仏教に関心をもつ人は鈴木大拙よりもダライラマの仏教書を経由して仏教に入ってくる。
ヴィヴェーカーナンダの思想はインド思想の学者たちによって無視されつづけてきたが、玉城康四郎(『近代インド思想の形成』1975)が日本における研究の先鞭をつけて次第に本格的な研究対象とされるようになった。現代のインド思想を理解する上で、タゴール、ガンディー、オーロビンド・ゴーシュ、ラーダークリシュナンなどと並んで、彼の存在は欠かすことが出来ない。鈴木大拙はすでに本格的な研究対象になっている。ダライラマの著作も、日本においては(少数の例外を除いて)仏教学者にほぼ無視されているようであるが、将来は次第に状況が変わってくるであろう。
ダライラマ14世の著作はほとんど英語で出ている。しかしチベット語でまず原稿を書き、それを英訳するという2段階を経て作られた、中身のしっかりした著作が多い。英訳の際、仏教の専門用語をどう訳すかで、英訳者がかなり苦心した跡が見られるので、仏教語の訳し方自体も参考になる。チベットにおける長い学問の伝統が背景にあるので、ダライラマが説く仏教哲学はおのずから重層的なものである。つまりチベット教学の伝統と、近代から始まるインド仏教の原典研究の諸成果がうまく結合されている。西洋や日本の仏教研究者が書いた仏教の解説書とはっきり毛色が違うのは、踏まえている足場そのものが違っているからである。現代の仏教学と意見を異にする場合もあり、なかなかダライラマのチベットの学者集団の長という立場は興味深い。近代合理主義の立場でもなければ伝統主義者でもない。立場にこだわらない。時折、相当おもいきった解釈を示すことがあるのは、ダライラマの学者としての自信の現れであろう。いつも勇気ある率直な態度を取る人である。学者でありながら学問に呑まれていない。現代の数少ない「賢者」の一人である。日本の仏教研究者がダライラマ14世の書いたものをいつまでも等閑視しておくのはもったいないことである。西洋の仏教研究者は秘かにダライラマの著作を読んで勉強している。
文学でも哲学でも、ある人物に関する研究というのは当の著作家が生きているうちはしづらいものであって、死後に初めて本格的な研究が始まることが多い。しかしダライラマの場合はそろそろ研究が始められてもよい。ダライラマは1935年のお生まれで、今年(1999年)は64歳である。64歳ということは、生涯の主要な著作がもう大体出そろっている歳である。そろそろ過去のすべての出版物をふりかえってダライラマの思想や政治的信念をまとめても良い時期に来ている。
ノーベル賞の受賞(1989年)からダライラマの出版物が盛んになったが、今がその出版のピーク時であり、日本でもどんどん翻訳が出ているが、大抵は初版どまりである。出版時を逃すとなかなか手に入らなくなる。ダライラマの本を集めるのは今が最良の時期であろう。
ダライラマもやがて死ななければならない。10年後には日本人の平均寿命の年に達する。その時までに、もしチベット問題が解決していなかったら、残されたチベット人たちの精神的なよりどころとなり、行動の指針となるのは、「法」つまりダライラマが遺した著作だけとなる。釈迦牟尼仏陀は般涅槃にあたって、「人に依るな、法に依れ」と遺言された。ここにダライラマの本を集めておくもう一つの理由がある。ダライラマ14世の著作は未来の困難な時代を生きるチベット人たちにとって、大蔵経に準じる第二の聖典となって読まれつづけなければならない。日本人の我々も将来はダライラマ14世が遺した著作を真剣に読まなければならない時がくる。チベット問題と直接関係がない外国人にとっても、現代を生きる仏教はいかにあるべきかを考える上で、ダライラマは大事な人である。日本で仏教は今死につつある。お坊さんたちですら、仏教は現代においてどのような貢献ができるのかを悩んでいる。さまざまな現代的な問題に対して積極的に討議し仏教の立場を明らかにするダライラマの態度は、日本の仏教界にとっても裨益するところが多い。
今の時期に集中的にダライラマの出版物を集めておくということは大切である。古本として散逸する前にできるだけ現行の本をまとめて保存しておくことは、ダライラマと同時代人として生きている私達の務めであろう。
私は99年に庭野平和財団の援助により、ダラムサラで入手可能なインド版のすべてのダライラマの著作を購入することができた。残念ながら現地でも絶版の本も多く、すべての著作を集めることは出来なかったが、ダライラマが95年以前に英語で発表した著作の大体の輪郭はつかめたと思う。
以下の文献リストは、ダライラマの著作を個人で集めたいと思っている人の手助けになればと思って作成したものである。おそらく修正すべき点が多々あると思うが、現時点ではこれが精一杯である。

著作は古いものから順にならべてみた。1996年以降に出た出版物はあまりに多く、ここにあげきれなかった。


MY LAND AND MY PEOPLE
1962
 インド亡命直後、ダラムサラ滞在の最初の年に、25歳のダライラマが英国人作家デヴィット・ハワースに自分の生い立ちを話して聞かせることで出来た最初の自叙伝。いくつか日本語訳がある:日高一輝訳『この悲劇の国、わがチベット』、蒼洋社、1979.  この和訳の巻末には特別所載「国際連合へのダライ・ラマ猊下の提訴」と木村肥佐生による論考「チベットをとりまく状況」が付されている。また木村肥佐生が新訳を出した:『チベットわが祖国』、亜細亜大学アジア研究所、1986. 同訳は中公文庫に入った (1989)。

AN INTRODUCTION TO BUDDHISM
1965
 筆者未見。この書からの翻訳が、椎名潤・ペマ・ギャルポ訳『仏教のこころ』、講談社、1985(加筆訂正版:ペマ・ギャルポ監訳『私たちのゆくえ』、KKベストセラーズ、1995)ではないかと思われるが、未確認である。

HAPPINESS, KARMA AND MIND
1969
 筆者未見であるが、この仏教思想についての解説は恐らく後に出版されたUNIVERSAL RESPONSIBILITY AND THE GOOD HEARTの第3版(1984)の第3章「チベット仏教の観点から」の中にPart Two として収録されているもの(48頁以下)と同一の論文と思われる。

THE OPENING OF THE WISDOM EYE
1972
 1963年にダライラマがチベット語で書いた書を英訳したもの。法、再生、二諦(第一義諦と世俗諦)、三科(五蘊十二処十八界)、三蔵、三学(戒・定・慧)、三乗(声聞・縁覚・大乗・金剛乗)、仏身論、仏陀の属性など、仏教の基本教理が解説される。ダライラマの最初の仏教入門書。
英訳からの日本語訳がある:菅沼晃訳:『大乗仏教入門』、蒼洋社/英潮社、1980。あるいは菅沼晃訳:『智慧の眼』、けいせい出版、1988.

THE BUDDHISM OF TIBET AND THE KEY TO THE MIDDLE WAY
1975
 筆者未見。チベット仏教の教理と中道思想の理解のための本らしい。

THE BUDDHISM OF TIBET
trans. & ed. by Jeffrey Hopkins, 1975
 本書は筆者未見であるが、ダライラマ14世の著作「中道の鍵」、ナーガールジュナの著作「ラトナーヴァリー」、ダライラマ7世が作詩した「四念処のうた」とそれに対するダライラマ14世の註釈などから成る、チベット仏教の教理をまとめた入門書であるらしい。

UNIVERSAL RESPONSIBILITY AND THE GOOD HEART
1977
 初版は1977年だが、第2版(1980)、第3版(1984)で内容が大幅に増広された。第3版の改訂本は4章から成る。第1章「仏教徒にとっての認識の手だて」は1963年にデリーのチベット人亡命キャンプで亡命チベット人のグループに語ったスピーチの抜粋の英訳である。第2章「全世界的責任感と善良な心」は初版本のUNIVERSAL RESPONSIBILITY AND THE GOOD HEARTの再録である。これは1973年のヨーロパ講演旅行の産物であり、沢山の非公式の対話や討論を編集したもの。第3章「チベット仏教の観点から」は様々な仏教徒グループのために過去20年間にダライラマが用意し発表した仏教哲学についての小論考をまとめたもの。第4章は「政治と現代社会」と題され、ダライラマがこれまでに雑誌等に発表した社会・政治に関する論考を集めている。

TANTRA IN TIBET
    Tsong-ka-pa and Jeffrey Hopkins (also Trans. & Ed), 1977
 本書は3部から成る。第1部はダライラマ14世の著作「タントラの本質」のチベット文からのJeffrey Hopkinsによる英訳。第2部は Tsong-ka-pa (1357-1419) の著作「秘密マントラの大詳述」のJeffrey Hopkinsによる英訳。第3部はJeffrey Hopkinsによる解説。

ARYASURA'S ASPIRATION & A MEDITATION ON COMPASSION
    1979
 本書は2部からなる。第1部はアーリヤシューラと同一人物とされるパラヒタゴーシャ・アーランヤカ作の「プラニダーナ・サプタティ」の70の偈頌のチベット訳テキストと英訳、ならびにダライラマ2世の註釈である。第2部「慈しみについての瞑想」はダライラマ14世の著作であり、実質的には2部の著作から成る:第1番目は「師(グル)と観音菩薩との非分離性のサーダナ(成就)」のチベット原文とその英訳、第2番目は「発動する菩提心:覚醒しつつある心」の英訳である。

DEITY YOGA
    Tsong-ka-pa and Jeffrey Hopkins (also Trans. & Ed), 1981
 Tsong-ka-paの著作に基づくタントラの行についての解説。

FOUR ESSENTIAL BUDDHIST COMMENTARIES
    1982
 本書は4つの古典的なテキストをとりあげ、それぞれにダライラマ14世が注釈を施したもの。「三十七の菩薩の実践」や四念処などが論じられる。

ADVICE FROM BUDDHA SHAKYAMUNI
   1982
 本書はダライラマが1973年にチベット語で書いたものを英訳したもので、根本説一切有部律の戒律の解説である。出家が必ず守るべき、波羅夷法・僧残法・捨堕法・悔過法・衆学法の合計253条の戒律の諸項目を説明する。

A HUMAN APPROACH TO WORLD PEACE
    1984
 15頁ほどの英語で書かれた論説(メッセージ)。 パンフレットの1冊として出版されたが、後に LOVE, KINDNESS AND UNIVERSAL RESPONSIBILITY (1997) の本の中に第1メッセージとして収録された。

KINDNESS, CLARITY, AND INSIGHT
    Trans. & Ed. by Jeffrey Hopkins, Co-Ed. by Elizabeth Napper, 1984
 日本語訳がある:三浦順子訳:『愛と非暴力 (ダライ・ラマ仏教講演集)』、春秋社、1990.   欧米7ケ国語訳され、世界的ベストセラーとなった本書は北アメリカ講演旅行の産物であり、約20の主要な講演が収録されている。本書は4つの章から成る:第1章「自由と平和のために」、第2章「自己と他者を越えて」、第3章「チベットの神々」、第4章「仏教精神の源へ」。日本語訳では「ノーベル平和賞受賞講演」もあわせて収録。

OPENING THE EYE OF NEW AWARENESS
    trans. by Donald S. Lopez, Jr. with Jeffrey Hopkins, 1985
 本書の内容の八割を占めるのはダライラマが1963年にチベット語で著述した「清新なる意識の眼」の新たな英訳であるが、その本論の前にダライラマの1985年8月のイリノイ州ホイートンの神智協会での講演「未来への希望」と1979年10月のサンフランシスコ近郊の禅センターでの講演「チベット仏教概観」が付されている。仏教の入門書として、基本教理と修道論が簡潔に要領よくまとめられている。

KALACHAKRA: RITE OF INITIATION : For the Stage of Generation : A Commentary on the Text of Kay-Drup-Ge-Lek-Bel-Sang-Bo (A Wisdom Advanced)
    1985
 無上瑜伽タントラであるカーラチャクラ・タントラの入門儀式(イニシエーション)についての解説。
日本語訳がある:石浜裕美子訳:『ダライラマの密教入門〜秘密の時輪タントラ灌頂を公開する』、光文社、1995

THE UNION OF BLISS AND EMPTINESS
    1988

COMMENTARY ON SHANTIDEVA - TRANSCENDENT WISDOM
    Trans., ed. & annotated by B. Alan Wallace, 1988
 7世紀のインドの仏教詩人学者シャーンティデーヴァの著作『菩提行入門』はダライラマが最も愛好する作品である。特にその第9章「完全なる智慧(般若波羅蜜)」は仏教の中観派の哲学を理解するために重要である。このテキストをダライラマが註釈し解説した。

THE BODHGAYA INTERVIEWS 1981-85 
    Ed. by Jose Ignacio Cabezon, 1988
 インドの仏教聖地ボードガヤーで例年開かれる法話と灌頂の法儀の最後に、ダライラマに長いインタビューがなされるのが恒例であったが、その81年から85年までのインタビューを集めたもの。

THE DALAI LAMA AT HARVARD: Lectures on the Buddhist Path to Peace
    trans. & ed. by Jeffrey Hopkins, 1989
 本書は仏教研究アメリカ協会とハーヴァード大学の世界宗教研究センターの後援のもとに1981年にハーヴァードで行われた、ダライラマの連続講義を1冊にまとめたものである。連続講義は5日間にわたり、午前と午後に1回づつなされ、合計10の講義がなされた。毎回の講義の前に質疑応答が行われ、講義はチベット語の講義原稿の英訳を使ってなされた。講義の内容は四聖諦を解説しつつ、四聖諦の枠組みの中で仏教哲学の他の主要な教理をも明らかにし、さらに瞑想の技術・利他心・菩薩の実践道・智慧などを説明した。日本語訳がある:福田洋一 訳『ダライ・ラマの仏教哲学講義』、大東出版社、1996.

TIBET, CHINA AND THE WORLD, a complitation of interviews
    1989.
 世界中の新聞ジャーナリスト等が87年〜88年にダライラマに対して行ったインタビューを集めて、テーマごとに再編集したもの。ダライラマの興味深い質疑応答集。

THE DALAI LAMA: A POLICY OF KINDNESS
    compiled & edited by Sidney Piburn, 1990
 89年のノーベル賞受賞を機会に編集された、ダライラマの人物を理解するためのアンソロジー集。ダライラマ自身の本から、あるいはダライラマについて書かれた記事から面白いページばかりをうまく抜粋している。

CULTIVATING A DAILY MEDITATION
    1991
 本書は85年4月と86年10月にダライラマが仏教に関心をもつインド人たちのグループに対して行った一連の講義の記録である。仏教思想ならびに瞑想の実践を説明した。各講義の後の質疑応答も収録されている。

COMPASSION AND THE INDIVIDUAL
   1991
 15頁ほどの英語で書かれた論説(メッセージ)。 パンフレットの1冊として出版されたが、後に LOVE, KINDNESS AND UNIVERSAL RESPONSIBILITY (1997) の本の中に第2メッセージとして収録された。

THE GLOBAL COMMUNITY AND THE NEED FOR UNIVERSAL
RESPONSIBILITY

   1991
 25頁ほどの英語で書かれた論説(メッセージ)。 パンフレットの1冊として出版されたが、後に LOVE, KINDNESS AND UNIVERSAL RESPONSIBILITY (1997) の本の中に第3メッセージとして収録された。

PATH TO BLISS
    ed. by Thubten Jinpa & Christine Cox, 1991
 ダライラマ1世の著作『菩提道次第の安楽道』による1988年のダラムサラにおけるダライラマの説法の記録。
本書には日本語訳がある:鈴木樹代子訳:『ダライラマ瞑想入門』、春秋社、1997

MY TIBET
    by the Dalai Lama & Galen Rowell, 1991
 108枚のカラー写真と様々なテーマについての随想から成る大判布装丁の本。

FREEDOM IN EXILE: The Autobiography of the Dalai Lama 
    1990
 ダライラマの2冊目の自叙伝である。先の自叙伝は幼年期からインドへの亡命直後までの25年間を語るが、この新しい自叙伝は幼年期から1990年までの55年間を語る。
日本語訳:山際素男訳『ダライ・ラマ自伝』、文芸春秋、1992 

GENEROUS WISDOM
1992
 本書は仏教詩人アーリヤ・シューラの梵文説話集「ジャータカ・マーラー」の第4話「長者本生」、第7話「アガスティア婆羅門本生」、第9話「ヴィシュバンタラ太子本生」に対するダライラマ14世の注釈である。正月の法話としてダライラマが語ったチベット文からの英訳。

GENTLE BRIDGE ---- CONVERSATIONS WITH THE DALAI LAMA ON THE SCIENCES OF MIND
   edited by Jeremy W. Hayward and Francisco J. Varela, 1992
 本書は広い意味での<認知科学>を専攻する6人の多方面からの先端科学者たちが、ダラムサラで6日間にわたってダライラマと科学的対話を交わした記録である。
日本語訳がある:山口泰司・山口菜生子訳『心と生命〜<心の諸科学をめぐるダライラマとの対話』、青土社、1995

THE MEANING OF LIFE, from a Buddhist Perspective
    Trans. by Jeffrey Hopkins, 1992
 本書は1984年にロンドンのキャンベン・ホールで行った3日間のダライラマの連続講義の記録である。本書の内容は:序章「一切の苦しみから解かれるために」、第1章「縁起と空の思想 〜人はなぜ輪廻するのか」、第2章「『悟り』への道 〜菩薩の慈悲心の実践」、第3章「『仏陀の境地』へ 〜空を悟る意識」、第4章「生死の意味 〜心は死を超えて存続する」。
日本語訳がある:石濱裕美子訳『ダライラマの仏教入門』、光文社、1995

A FLASH OF LIGHTNING IN THE DARK OF NIGHT
   1994
 本書はシャーンティデーヴァの『菩提行入門』に対する注釈である。

HIS HOLINESS THE DALAI LAMA: SPEECHES, STATEMENTS, ARTICLES, INTERVIEWS, 1987 to June 1995
   1995
 表題が示すとおり、87年から95年6月までのスピーチ、声明文、論説、インタビューを集めたもの。87年の「チベット平和プラン5箇条」から始まって、このノーベル賞前後の時期のダライラマの政治声明は重要なものが多い。例年の「3月10日声明」もすべて収録されている。

DIALOGUES ON UNIVERSAL RESPONSIBILITY & EDUCATION
   1995
 本書はノーベル賞の賞金で設立された<全世界的責任性>財団が、インドの著名な思想家、社会改革者、科学者などの知識人を招いて、ニューデリーで2度の研修会を1991年11月と1992年11月に開いた。我々の現代社会で「全世界的責任性」(Universal Responsibility 宇宙的な責任感をもって行動すること)を実現するにはどうすればよいかをダライラマも交えて討議した記録である。

VIOLENCE & COMPASSION/POWER OF BUDDHISM
    with Jean-Claude Carriaere, 1995
 フランスの映画脚本家ジャン・クロード・カリエール(代表作「存在の耐えられない軽さ」「マハーバーラタ」)とダライラマの対談。女性の権利・教育・テロリズム・人口爆発・環境破壊・暴力など、幅広く現代的な問題について話し合った。

ESSENTIAL TEACHINGS
   1995
 「三十七の菩薩の実践」による菩薩の修行道についてのダライラマの説法。中道についての教えも含む。

THE PATH TO ENLIGHTENMENT
    trans. & ed. by Glenn H. Mullin, 1995
 本書はダライラマ3世の作品『純化された黄金の精粋』をベースにして、チベット仏教における悟りへの行程をダライラマ14世が詳しく説いたもの。

AWAKENING THE MIND, LIGHTENING THE HEART
    ed. by Donald S. Lopez, 1995
 この書でダライラマによって示された精神の訓練のための教えは、15世紀初めに Tsong-khapa-pa の弟子、Hortoen Nam-kha Pel によって書かれた『太陽の光』というテキストをベースにしている。『太陽の光』は、『精神の訓練七箇条』という文献への注釈書である。『精神の訓練七箇条』の翻訳は本書の巻末にまとめられている。

BEYOND DOGMA: THE CHALLENGE OF THE MODERN WORLD       1996
 本書は1993年10月から11月にかけてのフランス旅行における、ダライラマのフランス聴衆との対話・討論の記録を編集したものである。全体は5部に分けられる:第1部は様々な現代的な社会問題について。第2部は理想的な政治・社会のあり方について。第3部はチベットの置かれた現在の状況と未来について。第4部は異宗教同士の融和について。第5部は科学者との対話・討論。

THE WAY TO FREEDOM
     by Don Lopez, 1995
 チベット仏教の教理についての概説書。いつどこでなされた講義の記録かは不明。
この書には日本語訳がある:柴田裕之訳『瞑想と悟り 〜チベット仏教の教え〜』、日本放送出版協会、1997.

THE POWER OF COMPASSION
     1995
 この書には日本語訳がある:大谷幸三訳:『空と縁起 ----人間はひとりでは生きられない』、同朋舎出版、1995.   この書は1993年にロンドンのウエンブリー・コミュニティー・ホールで行った法話の原稿に手を加えて出来たもの。6章から成る:第1章「人生と生き方について」、第2章「死と正しい死に方」、第3章「感情を統御する方法」、第4章「与えること、受け入れること」、第5章「相互依存、相互関連、実存の法則」、第6章「真の人間性の獲得に向けて」。

THE WORLD OF TIBETAN BUDDHISM
     ed., annotated by Geshe Thupten Jinpa, 1995
 本書は1988年にロンドンのチベット財団ロンドン支部の主催で行われた4日間のダライラマの講演を、トゥプテン・ジンパが英語に翻訳し、まとめたものである。3部から成る:第1部「顕教(小乗・大乗仏教)のおしえ」、第2部「利他的なものの見方と生き方」、第3部「密教(金剛乗仏教)のおしえ」。
この書には日本語訳がある:永沢哲訳『宇宙のダルマ』、角川書店、1996。

  LOVE, KINDNESS AND UNIVERSAL RESPONSIBILITY
     New Delhi, 1997
 本書は84年と91年にパンフレットとして別々に出版されたダライラマの3つの論説(メッセージ)を1冊に集めたもの。

 『ダライ・ラマ生き方の探求』,1997
ゲシェー・ソナム・ギャルツェン・ゴンタ&藤田省吾訳、春秋社。
 この本は珍しく英訳からの重訳ではなく、チベット文から直接訳したものである。テキストはダライラマがインドのボードガヤーにおいて73年の年の瀬から74年の正月にかけての3日間にカーラチャクラの灌頂を授ける前の法話として講義したものである。内容はトクメー・サンポ作の詩『三十七の菩薩の実践』についての注釈である。

THE JOY OF LIVING AND DYNING IN PEACE
     (Library of Tibet Series , Vol 3) , New Delhi, 1997
 本書は全8章から成る:第1章「覚醒する心」、第2章「安らかに死ぬ」、第3章「目的をもって生きる」、第4章「注意深い生活」、第5章「忍耐」、第6章「自己への信頼を創る」、第7章「瞑想者の実践」、第8章「智慧」。
日本語訳がある:ハーディング祥子訳『ダライ・ラマ 死をみつめる心』、春秋社、1999

THE FOUR NOBLE TRUTHS: FUNDAMENTALS OF THE  BUDDHIST TEACHINGS HIS HOLINESS THE XIV DALAI LAMA
     New Delhi, 1998
 本書は96年の7月にロンドンのバービカン・センターで2日にわたってダライラマが仏教の四聖諦の説明を中心に、連続講義を行った記録。

THE GOOD HEART: A BUDDHIST PERSPECTIVE ON THE TEACHINGS OF JESUS
     1998
 本書は94年9月に3日間にわたってダライラマがロンドンのジョン・メイン・セミナーでキリスト教の聖職者を聴衆として行った「THE GOOD HEART」と題された講義の記録である。
日本語訳がある:中沢新一訳『ダライラマ、イエスを語る』、角川21世紀叢書、1998

AWAKENING THE MIND, LIGHTENING THE HEART
  ed. by Donald S. Lopez, 1995
日本語訳がある:田崎國彦・渡辺郁子訳『ダライ・ラマ 他者と共に生きる』、春秋社、1999

CULTIVATING A DAILY MEDITATION
  1991
日本語訳がある:三浦順子訳『ダライ・ラマ 日々の瞑想』、講談社、1999



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