豊島産業廃棄物不法投棄事件
大川真郎(日本評論社)
続けて産廃。以前読んだものだが記念に一筆。
豊かな島と書く“豊島(てしま)”は香川県にある
人口1500人ほどの島であった。
“その日”はミミズの養殖場という名を隠れ蓑にした業者による不法投棄から始まった。
国立公園に指定される土地ながら,高さにして20m
ものゴミの山を作ったのだ。撤去を求めても“ゴミではない,リサイクル品の保管だ”と居直る業者。
しかし,業者にそんな入れ知恵をしたのは県の役人だった…
弁護士の中坊公平氏といえば,現代のヒーローである。
背は低く,丸顔でめがねをかけたその姿はおよそヒーローらしくないが,
森永砒素ミルク中毒,豊田商事,住専問題などなど正義の味方振りはまさにヒーローだ。
「豊島産廃事件」でも弁護団の団長として取り組んだ。
この本は,彼ではなく副団長の大川氏が,一歩下がって冷静に事件のあらましが書かれている。
私が「動」なら大川氏は「静」と中坊氏が言うとおり,
事実を冷静に語ることにより,不法投棄する業者や自治体の対応に住民と
一緒になって怒り覚えるのだ。
この本が感動的なのは,優秀な弁護団の活躍ストーリーだからではない。
困っているところへヒーローが飛んできてゴミをどこかへ運んでくれた訳ではないのだ。
「後世にゴミを残したくない,豊かな島に戻したい」という住民達の
25年もの闘いがありのままに書かれているから感動するのだ。
住民代表者に弔意を読む大川氏の言葉は涙なくては読めない。
不法投棄の撤去には380億円の税金が投入される。
その代償はあまりにも大きい。
(F)