水野弁護士記念講演

54名の出席者 議案は全て採択

 

 8月31日、午後1時30分から、労働会館会議室にて愛知健康センター第12期総会が開催されました。参加者は54名。
 総会に先立ち、「最近の過労死・団体生命保険裁判から学ぶ」と題して、過労死弁護団・水野幹男弁護士の記念講演がありました。
 水野弁護士は、「住友電設鈴木龍雄ぜん息過労死認定訴訟の教訓」、「トヨタ田島事件の闘い」、「保育園業務士の頸肩腕症候群及び腰痛症の労災認定」の三件の事案を例にして、「過重負荷の判断基準に関する闘いの前進」のポイントを話されました。

 

「最近の過労死・団体生命保険裁判から学ぶ」

弁護士 水野 幹男

 認定基準を超えた闘いの前進のポイントは以下の三点です。

1.トヨタ田島事件の判決では、
 「前記『被災労働者の損害を補填するとともに、被災労働者及びその遺族の生活を保障する』との労災補償制度の趣旨に鑑みれば、同種労働者(職種、職場における地位や年齢、経験などが類似する者で、業務の軽減措置を受けることなく日常業務を遂行できる健康状態にある者)の中でその性格がもっとも脆弱(ぜいじゃく)である者を基準とするのが正当である」と判決で明記した点は、大きな前進である。

2.保育園業務士頸肩腕訴訟判決では、
 「業務量が当該個人にとって過重であることから疾病を発症したと認められば、それをもって相当因果関係があると判断するべきである」と述べ、これは、個体差を認めてそれを前提に過重負荷を考えるだけでなく、労働者の置かれた生活上の実情や労働安全衛生法における安全衛生の考え方をも踏まえた極めて説得力のある判決であると指摘しました。

3.住友電設鈴木ぜん息過労死認定訴訟では、
 「基礎疾病を有する労働者の業務の過重性は、当該労働者の健康状態の実態をも考慮して判断すべきものというべきである。」と断定し、控訴人・名古屋東労働基準監督署の主張する認定基準の考え方を退けた判断を示したことを評価しました。    

 記念講演後には、現在労災申請中または、労災申請を考えてみえる、三名の過労死ご遺族から訴えがありました。なぜ仕事で命まで奪われてしまうのか、その無念さから労災申請に踏み切った心境の訴え、悔しさなど、筆舌に尽くしがたいものがありました。  

 開会にあたり、司会は今枝さん(健康センター)、議長には伊豆原さん(愛労連)、西尾さん(北メンタルクリニック)を選出。
 第11期の活動報告と総括、第12期の活動方針の提案、第11期会計報告と監査報告、第12期の予算案の提案がありました。
 この後には、鈴木過労死裁判原告、団体生命保険、住軽関連出向事件などの勝利報告や経過報告、支援の訴えがありました。
 鈴木美穂さんは12年にわたる長い裁判の後、全面勝利を勝ち取ったお礼を述べられました。住軽金9争議、スミケイ運輸の争議、鈴木明男さんの出向拒否裁判などから発言がありました。
 休憩を挟み、質疑・討論に入りました。

 みなみ医療生協から事務系の職場で1割の労働者がうつ病になっていること。それはリストラによる長時間・過密労働と目標管理の徹底が大きく影響していることが報告されました。青空裁判に勝利した公害患者の会からは、裁判で、公共性の高い道路といえども道路から20m以内に住む一人の原告の命でも、それを奪うような排気ガスや騒音振動の被害は許されない。道路管理者は通過する車を減らすような措置をとる義務があると述べ、判決後もお金を出して道路沿線の公害を、面でなくす運動に取り組むとの報告がなされました。愛教労からは、学校五日制が始まってから、教員の労働時間が増え、大変忙しい実態が報告されました。また、職場に衛生委員会を立ち上げる準備を進める決意が述べられました。時間いっぱい発言が続きました。
 議案はいずれも、賛成多数で採択されました。
 続いて、新役員選出と承認が行われ、新理事として西尾美沙子さん、田中久幸さん、土井照雄さんが紹介されました。
 最後に、近森事務局次長から挨拶があり、総会は午後五時に閉会しました。

 懇親会は、「叶」にて19名が参加して、2時間余り、にぎやかに楽しく行われまし た。内野さん、みなみ医療生協の仲間4名、新しい理事が3名も参加され抱負を語って頂きました。

 

和解が成立し

金丸さん、職場復帰実現!

金丸人権ニュースHP版 http://kr-mamoru.hoops.ne.jp/

 金丸人権裁判は、8月8日、名古屋地方裁判所において、金丸理津子さんがゆたか福祉会を相手取って配転命令の無効確認などを求めた訴訟について、和解が成立しました。丸5か月、10回に渉る和解交渉の結果、やっと合意に到達したものです。  金丸さんは、9月2日から元の職場つゆはし作業所へ復帰しました。2日、3日は、支援する会の人たちがつゆはし作業所の前で出勤を励まし、夕方はご苦労さんのお迎えをしました。仲間の何人かは、久しぶりの金丸さんに駆寄って手を握り喜びを表しました。

 

ご あ い さ つ

原 告 金丸 理津子

 やっと、です。 ついに!です。 まちに待ったこの喜びの瞬間をなんと表現すればよいのでしよう!!
 仲間たちに一言の挨拶も出来ないまま現場を離れて、はや1年4か月余り…。休んでいる間も手紙や電話を通じて私を励まし続けてくれた仲聞たち。いつも心の中で一緒にいてくれた仲間たちと、また毎日いっしよに仕事が出来るなんて…夢のようです。この日を1日も早く実現させよう!とご尽力下さった全ての方に改めてお礼申し上げます“ありがとうございました”。

 はてさて現場の仲間たちは私を覚えていてくれるのだろうか?以前のようにやっていけるのだろうか?という心配がないわけではありませんが、みんなの笑顔に会える日を思うと顔が緩んで、どうしようもありません。和解条項にも書き込まれた「健康と人権に配慮し」を大切にしながら自然体でやって行けたら…と思っています。

 どうか皆様の変わらないご支援を宜しくお願いします。

 

金丸裁判和解解決の報告

代理人弁護士 高木 輝雄

■和解解決の内容

 和解解決の内容は、次に掲げる「和解調書」に記載されたとおりです。
 「和解調書」は、裁判所が作成する文書で、「判決」と同じ効力を有するとされ、「当事者の表示」や「和解条項」が記載されています。この「和解条項」が、裁判所において原告金丸理津子さんと被告ゆたか福祉会の間に成立した合意の内容です。

和 解 条 項=

1.被告は、原告に対する「2001年1月24日付職員人事異動辞令」を撤回する。
2.被告は、平成14年9月1日付で、原告を原職である、つゆはし作茉所の指導員として復職させる。
3.被告は原告に対し、上記復職までの処遇に関して、次の措置を講じる。
(1) 平成14年8月未日限り、本件解決金として金140万円を原告の給料振込用銀行口座に振り込んで支払う。また、被告が立て替えている復職までの社会保険料等にっいては、被告は原告に返還を求めない。
(2) 平成13年4月分以降、復職までの賃金及び賞与の明細書を交付する。
(3) 平成13年4月分以降、復職までの社会保険等の処理状況を説明し、正常な状態に是正する。
4.被告は、第1項の「異動辞令」以降の原告への対応及び原告の病気休職についての全職員研修での取上げ方に不適切な点があったことを認め、遺憾の意を表明する。
5.被告は、復職後の原告の就労につき、主治医の意見と本人の状況を踏まえ、その健康状態に配慮する。被告は、原告復職の日から6か月間は、以下のとおり処遇し、同期問満了時点においては、主治医の意見に従い、原告の意思を尊重して、期問の延長等について決定するものとする。
(1) 勤務時間は、原則として所定内労働時問(始業9時、終業17時)とする。
(2) 原則として、休日出勤、時間外勤務を命じない。
(3) 宿直勤務、遅番勤務を命じない。
(4) 原告の申し出に基づき、通院に必要な時間を保障する。
6.被告は、原告が被告に本件申入れを行ったこと、及び本件裁判を提起したことを理由に、原告に対して労働条件及びその他の処遇について不利益に取り扱わない。被告は、原告が罹患した疾病に鑑み、原告が参加する会議等及び原告が通常見ることできる文書等において、本件申入れ及び本件裁判については一切取り上げない。ただし、被告の広報及び事務局ニュースにおいて、和解条項の全文を掲載したうえでの本件和解解決の周知報告を各1回掲載することは妨げない。
 なお、その掲載に際しては、被告は原告の健康と人権に配慮する。
7.本件和解解決後、原告は、被告における障害者福祉事業の一層の前進に努め、被告は、職員の健康と人権に一層配慮するよう努める。
8.原告は、その余の請求を放棄する。
9.原告と被告とは、本件訴訟について、本和解条項以外なんらの債権債務がないことをそれぞれ確認する。
10.訴訟費用及び和解費用は、各自の負但とする。

■「和解条項」についての解説

(1) 和解条項1、2項は、金丸さんの職員としての身分に関する約束事です。
 ここでゆたか福祉会は、 @本紛争の発端である金丸さんに対する「2001年1月24日付職員人事異動辞令」を撤回したうえ、 A金丸さんを原職(もとの職場)であるつゆはし作業所の指導員として復職させることを約束しました。  この点は、金丸さんの希望が100パーセント実現したものです。  

(2) 和解条項3、4項は、紛争期間中の是正措置に関する約束ごとです。
 ここでゆたか福祉会は、解決金の支払い・賃金明細書の交付・社会保険等の正常化を約束するとともに(3項)、この間の金丸さんへの対応・全職員研修での取り上げ方に不適切な点があったことを認め、遺憾の意を表明することを約束しました(4項)。
 この4項の内容は、金丸さんがまさに裁判のなかで、健康に対する無配慮・人権 侵害行為として指摘してきた点であり、これをゆたか福祉会が受け人れたのです。
 また、「遺憾の意の表明」という言葉づかいは外交辞令的ですが、「謝罪」と同旨です。要するに、ゆたか福祉会は、金丸さんに対する異動をめぐる対応や全職員研修での取り上げ方に「不適切」な点があったことを認めて、金丸さんに謝罪したのです。  

(3) 和解条項5、6、7項は、復職後の労働条件、職場環境整備などに関する約束事です。
 金丸さんがうつ病後の身体である点から労働条件のうえで一定の配慮がなされます。そこでは「主治医の意見」や「本人の意思」を尊重することとされています(5項)。また、ゆたか福祉会は、今回の問題を理由に金丸さんを不利益に扱わないこと(6項前半)、金丸さんが参加する会議等や金丸さんが通常見ることのできる文書等で今回の問題をー切取り上げないことを約束しました(6項後半)。
 この6項後半は、金丸さんが復職した後の職場環境整備(うつ病再発危険因子の除去)としてきわめて重要な内容です。要するに、職場でこの問題をむし返したり、金丸さんに対して自己批判や総括を求めたり、非難をしてはいけないということです。ゆたか福祉会の経営や管理職は、自らはもとより他の職員によって職場でこのようなことが行なわれないよう十分注意しなければなりません。これは、労働者に対する安全配慮義務であり、これに反した場合には法的責任が発生します。
 なお、6項後半では一定の例外がみとめられていますが、その場合にも「被告(ゆたか福祉会)は原告(金丸理津子)の健康と人権に配慮する」とされていることは大きな意味をもつものです。
 そして、7項では、金丸さんが障害者福祉の前進に努力することとされ、また、ゆたか福祉会は、職員の健康と人権に一層配慮するよう努めるとされています。ゆたか福祉会は、この裁判の和解条項のなかで、金丸さんについてだけではなく、全職貝の健康と人権について約束しているのです。  

(4) 和解条項8、9、10項は、和解解決する場合の決まり文句で、お互いに裁判紛争が解決したことを確認するものです。

■和解に際しての「口頭確認事項」と「裁判官からの要請時項」

(1) 和解成立時、原告と被告の間に、裁判官の面前で、次の口頭確認がなされました。
 「本和解条項の履行につき必要が生じたときは、原告および被告は、双方の代理人の関与のもとに誠実に協議して解決をはかる。」  このような必要が生じることなく円滑に和解条項が履行されることを期待しますが、もし必要が生じたときには代理人弁護士の関与を認め、解決をはかるという趣旨です。  

(2) 次に、和解成立時、裁判官からとくに被告に対して、次のとおりの要請がなされました。
 「原告が復職したあとうまくいくかどうかは、ゆたか福祉会労働組合の対応も関係しています。本日は、裁判所からの出席要請にもかかわらず労働組合の担当者が出席していませんので、法人から労働組合に対して、本和解の経過や内容を十分説明して、労働組合としても配慮するよう伝えていただきたい。」  ゆたか福祉会側の金丸裁判対策会議のメンバーは、管理職の吉田(責任者)・伊藤・仲川と、ゆたか福祉会労働組合の横江書記長(副責任者)・遠山副執行委員長・楠脇執行委員の6名であり、一貫して和解協議に出席してきましたが、第8回和解協議から労働組合の担当者が意識的に全員欠席するようになりました。そこで、裁判官が8月8日には出席するようにと被告側に要請しましたが、労働組合は拒否をしました。このため、金丸さん復職後の労働組合の動きを心配した裁判官がこのような異例ともいうべき要請を行ったのです。この裁判官の要請に対し、被告を代表して出席していた前田常務理事は、うなずいて了解しました。

■おわりに

 以上からおわかりのように、金丸さんの裁判は大きな成果のもとに終了しました。金丸さんに対する配転は撤回され、もとの職場に復帰することになりました。ゆたか福祉会は、この間の金丸さんへの対応が不適切であったことを認め、謝罪しました。そして、復職後の金丸さんに対して、健康と人権に配慮することを約束しました。
 金丸さんが元気に仲間たちのもとへ戻り、仲間たちとともににこやかに労働に従事できる条件が整いました。
 ゆたか福祉会がこの和解条項を遵守するのは当然のことですが、ゆたか福祉会労働組合も裁判官から特別の要請がなされたことを十分理解し、この和解条項の趣旨を尊重して、金丸さんが働く職場の環境整備に努力してほしいと思います。そのことは、ひとり金丸さんの問題にとどまらず、全職員の健康と人権を守ることにつながることなのです。そして、そのような姿勢こそが、障害者福祉の基本だと私は考えます。

 

 

労働保険審査会が

労災と認めない不当裁決

7月24日再審査請求棄却の裁決

■高野労災事件概要

 高野邦彦さんは、昭和39年4月(株)伸協(昭和49年にスミケイ運輸と改名)に入社。
 名古屋市港区の本社で勤務、昭和55年7月1日から同社豊川営業所に配置換えとなり、平成5年1月から統括主任として勤務していました。
 休業日である平成6年5月21日(土)午前8時15分頃、豊川営業所の洗面所で倒れ、救急車で搬送され、樋口病院に受診し、「くも膜下出血(破裂性脳動脈瘤)」と診断されました。緊急手術の必要があり、豊川市民病院に搬送されて手術が行われましたが、身体に障害が残る結果となりました。
 ご家族は、障害の原因となった病気の発症は過重な業務によるものとして労働災害認定再審査請求を行っていました。

■再審査請求裁決書のポイント

(1) 被災者高野氏は、配車業務や関連業務に習熟していた。また、人事関係等の非定常業務に関する谷所長の申述や会社の主張を全面的に採用し、非定常業務を含めて、業務の密度が特に過重であったとの証拠はないと、全面的に請求人の申述を否定。
(2) 労働時間等についても、谷所長の申述を取り入れ、始業までの間の全てを仕事をしていたと認定できないと断定。さらに、残業時間についても、会社側の「請求人が長時間残業をすることはなかったと思う。」という申述を採用し、請求人申述を棄却。
(3) 休日出勤に関しても、請求人の妻は「トラックの配車の仕事は格別に忙しく、下請会社のトラックを確保するために、日曜出勤をすることもよくあった。」「定休日の土曜・日曜でも、夫は、傭車を探すためと、月曜日に行われる会議の準備のために会社に出掛けることがあった。日曜日は月に一度あるかないかくらいだ。」と主張した。それにも拘わらず、保険審査会は、会社側の申述のみを取り入れ、5月21日(土)休業日の出勤も、わずか20分程度のもので、過重ではないと断定。
(4) 発症前、一週間の勤務状況についても特に「過重な負荷」を及ぼすものとは認められないと断定。
(5) 被災前6ヶ月の勤務状況についても週40時間を超える時間外労働は認められないと断定。(請求人の、「サービス残業をしており、遅くなると悪いので、自らカットして申告していた。」という主張は全く取り入られなかった。)
(6) 被災者の有していた椎骨動脈の解離性動脈瘤が、被災者の高血圧や動脈硬化を背景として、生体の自然経過の中で増悪し、飲酒週間が持続的に血圧の上昇を促進し発症したものと断定。  

 以上のように、労働保険審査会再審査では、豊橋労働基準監督署が提出した申述を全面的に採用しており、請求人の主張は、ほとんど全くといってもいいほど採用されておらず、労働者救済の立場からかけ離れています。従って本裁決は、不当裁決と言わざるを得ない内容です。

 

 

半田市長に申し入れ

 2002年3月、半田市において、下水管清掃作業で5名が亡くなる労災事故が発生しました。この事件に関して、愛知健康センターは、5月30日に、半田市長・榊原伊三氏に申し入れを行いました。
 申入書の内容は以下のとおりです。
 なお、新聞報道によれば、亡くなった5名の方にはいずれも労災が認定されたようです。また、半田市長からは6月13日、文書による回答がありました。

 

申 入 書

 日頃から公務に御精励され御苦労様です。
 さっそくですが、今年3月貴市における下水清掃作業で、5人が死亡するという痛ましい事故が発生しました。市民の生命・財産を浸水から守り、快適な生活環境をめざす下水道事業において、尊い生命が犠牲になったことに大きな衝撃を受けています。このような事故は二度と許されるものではありません。

 「愛知働くものののいのちと健廉を守るセンター」は、すべての働く人とその家族が労働で命や健康を損なうことのないように、諸活動に取り組んでいます。今回の事故に際しても被災者の葬儀に参列し、残された遺族の深い悲しみに接してきたところであります。

 事故直後の新聞報道では「ガス検知器の電源が入いていない」「硫化水素の濃度確認も必要」「有資格者の配置の有無」「死因は水死か」「土のうの積み方に問題」「海水が逆流し未着工汚泥を直撃」「清掃作業完了後の後始末中」「マンホールの構造上、出入りと送気は同時にできな
い」「作業日程の変更により海水位上昇」などの指摘がされています。いずれも推測の段階であり、正確な原因は明らかにされていません。その後、国土交通省の「下水道管きょ内作業安全管理委員会」の中間報告が発表されるなどの経過を経ています。

 県下の下水道事業でも類似災害の危険性があります。災害発生の経過・顛末や再発防止策を明らかにし、教訓とすることが必要です。また、不幸にして亡くなった方の遺族の補償について、発注者・監督責任者として貴市の対応が問われています。
 現在では新聞報道のみが私たちの知りうる情報になっています。愛知県下の労働者とその家族の命と健康を守る取り組みを進めている私たちは、今回の事件の背景や再発防止などに大きな関心を持つているところです。
 貴市におかれまして、以下の項目について半田市及び関係官庁における調査結果の情報を公開し、再発防止への決意を示されるよう申し入れます。    

(1)事故発生の経過と顛末
(2〉施工計画と実際の施工
(3)事故の原因と対策
(4)警察及び労働基準監督署の立ち入り調査の結果
(5)国土交通省の中間報告の内容と貴市の対応
(6)遺族の補償
(7)貴市の監督責任
(8)請負業者の責任と処分

 以上の内容は直接面談によって情報提供いただきたいと考えています。担当窓口を示され日程調整できるように要請します。

愛知働くもののいのちと健康を守るセンター 事務局長 宮崎 脩一

 

 

熱中症で緊急要請

■南労基署次長、指導を約束

 南労働基準監督署の次長は、「法令に基づき温度測定を指導しているが、温度の具体的指導の目安は無い」と同答。「熱中症を防ごう」というパンフを出し、こまめな休憩を呼びかけているが、改善は見えなかった。R80の換気扇13基の故障を放置、上水と工業用水の区分表示、クレーンの無免許問題については点検指導を約束しました。熱中症対策については、愛知産業保健センターの指導例(換気を充分に、発熱体の遮蔽、涼しい待機所の設置)、おたふくソース事件の40℃判例や坑内作業の37℃を目安として、指導をするよう強く要請しました。

■住軽金「不十分だと思っている」

 住軽金主任安全衛生委員の宮町総務部長が対応。「熱中症は5人と聞いている、軽度で、点滴ですんだ。」「R80の換気扇13基の故障についてはわからない」「予算枠があり、十分対応しきれていないと思っている」「水道管が古く、飲料水は職場の要望を受け、職場へ配達している」「暑熱環境計はまだ購入していない」と回答。
 私たち緊急要請団としては、「熱中症は労災となること、安全衛生対策は統計上3倍の利益を生むこと、企業は安全衛生配慮義務を果たすこと」などを強く要請しました。

■住軽金産業医 後藤先生

 連日作業現場では40℃を超えるような日が続き、熱中症で5〜6人が診察を受けたと聞いている。現場では、直接家に帰る人もいるので、実態はこの数倍いるのでは?BWGT(環境温度を総合的に評価する指標)を測定する暑熱環境計は7月に導入した。
 私たちは、産業医の後藤先生に対し、安全衛生委員会などでの活躍を要請しました。

 

労働安全衛生学習交流会

参加者募集

 過密労働で死にそう、いつ首になるか毎日ビクビクしている、長時間労働で身体がクタクタ・・・・私たちの労働環境は悪化する一方で、健康で安心して働くには、ほど遠い職場の実態になってきています。今ほど労働安全衛生活動が重要なときはありません。労働組合が職場の労働安全衛生活動を重視し、安心して働ける職場づくりをするための学習交流会です。ご参加をおまちしています。                          

■日 時 9月28日(土)13:20(受付は、13時から)〜
       29日(日)12:00

■参加費 11,000円(泊) 会議のみ:1,000円

■場 所 犬山「臨江館」 愛知県犬山市大字西大門8−1
              TEL(0568)61−0977

■交 通 名鉄犬山線犬山遊園駅下車、橋手前左折徒歩5分

■申込み 愛労連【TEL 052-871-5433】 または
     愛知健康センター【TEL 052-883-6966】

平成12年労働監督実施状況

■全事業場の約6割が法違反

 全国の労働基準監督署が平成12年に行った定期監督の結果が報告されています。  
 それによると、定期監督を実施した事業場は14万7773件で、そのうち労基法や労案法などの労働関係法令の違反を指摘された事業場は8万6916件に達していることが判りました。違反率は58.8%でした。  

 このうち、違反率の高かった業種は、

@印刷・製本業    73.6%

A金属製品製造業   72.4%

B畜 産 業     72.3%

C家具・装備品製造業 70.2%

となっています。  

 また、建設業関係では、   

@建築工事業     58.2%   

A土木工事業     46.5%

となっています。  

 労働基準法や労働安全衛生法は、私たち働くもののためにある法律です。健康で人間らしく働くことができる職場にするために、これらの法を学習し、大いに活用しましょう。

■全事業場の約6割が法違反

 これらの法違反の中で、重大災害を発生させたり、違反の指摘や指導を受けた上で、改善命令や使用停止命令などによる改善が見られない事業所などについては、司法警察権をもつ労働基準監督官が検察庁に書類送検することになりますが、平成12年では816件の送検がありました。
 業種別では、 @土木工事業 232件 A建築工事業 210件 Bその他建設業 69件 と建設業界関係で全体の62.6%を占めています。
 送検理由では、法令別では、 @第20条設備等  288件  A第21条作業方法 216件
               B第100条報告等   91件  C第61条就業制限  77件
となっています。

 

参院決算委員会で、

八田ひろ子議員が追求!

 8月29日の参議院決算委員会において、八田議員(日本共産党)が総合福祉団体定期保険に依然としてヒューマンバリュー特約として、企業が多額の保険金を受け取る仕組みが残されていることを追求しました。  

 八田議員の質問に柳沢金融担当相は、「匠(たくみ)というような人が亡くなった場合、企業の損失は大きい」などとして、「他の社員の採用・訓練などの経済的損失に備えるため」と従来の見解を取り繕い、制度を是認する答弁に終始しました。これに対して八田議委員からは、「いま問題となっているのは通常の労働者の問題であること」また「従業員の退職などは通常あり得ることであり、企業損失という考え方自体に批判が向けられている」と強調、アメリカでは、1917年から企業による保険金の受け取りを禁止していることも指摘しながら、法による規制と、会社による利得を認めたガイドラインの撤回を強く要求しました。

 

 

2001年度の過労死認定件数は

143件に

労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室発表

■過労死の認定増加 

<「過労死」など事案の労災補償状況>                   (件)

    年 度区 分

平成9年度
(1997年)

平成10年度(1998年)

平成11年度(1999年)

平成12年度(2000年)

平成13年度
(2001年)

脳・血 管
 疾
 患
請求件数 349 309 316 448 452
認定件数 46 47 49 48 96
虚血性
心疾患
請求件数 190 157 177 169 238
認定件数 27 43 32 37 47

合 計
請求件数 539 466 493 617 690
認定件数 73 90 81 85 143

 厚生労働省がこのほどまとめた過労死の「脳・血管疾患及び虚血性心疾患」の2001年度の労災認定件数は、143件となりました。前年が85件でしたので、前年比78件の増加となりました。(上記表参照)

 これは、2001年12月に通達された過労死の認定基準で、長期にわたる蓄積疲労を過労死の原因とすることを認めたことによって増加したものと見られます。    

 この長期の蓄積疲労が原因だとして認めたケースが47件としています。  

 職種別では、タクシーやトラックなどの運転手が最も多く、前年度の12件から30件と18件の増となりました。ついで管理職の26件、情報処理技術者や医師、教員などの専門技術職が25件、技能職15件となっています。
 年齢別では50代の49件が最も多く、40代38件、30代33件となっています。 

■精神障害の認定件数は70件 

<精神障害などの労災補償状況>                           (件)

   年 度
    
区 分
昭和58年〜
平成8年度
(14年間)
平成9年度
(1997年)
平成10年度
(1998年)
平成11年度
(1999年)
平成12年度
(2000年)
平成13年度
(2001年)
 精
 神
 障
 害
請 求
件 数
93 41 42 155 212 265
認 定
件 数
14 36 70
うち
 自殺
(未遂を含む)
請 求件 数 49 30 29 93 100 92
認 定件 数 11 19 31

 一方、うつ病などによる過労自殺や精神障害の労災認定も前年度の36件から70件と増加しました。
 (上記表参照)  

 職種別では、情報処理技術者や医師・看護婦などの専門技術職が16件、管理職の15件で、
 年齢別では20代の24件と30代の20件が多く、若年層が6割を超えました。

 このように労災認定件数は増加しましたが、過労死の申請件数(H13年度690件・精神障害265件)に対し認定件数は圧倒的に少なく、数多くの申請者が救済されていないことが極めて問題です。