<各種工事始まる(その2)>


昼間の長さが日に日に長くなっている。
夕方の6時ぐらいまで明るさが残っている。
棟梁親子も夕方6時まできっちり仕事をし、それから掃除して帰るようになってきた。
また、だんだんいろいろな職人さんが顔見せに来るようになった。
設計事務所、大工の棟梁、各工事会社間でスケジュールの調整が重要。
竣工まで後1ヶ月か2ヶ月か?

割に合わない仕事

小生の自宅建て替え工事もだんだん先が見えてきた。
昨年の2月に廣瀬さんと出会い、3月に設計契約。
一番最初の小生の腹積もりは5月中旬に着工、8月のお盆前までには完成ぐらいの気持ちだった。
設計事務所といったら設計のプロ。
設計なんてカップラーメンを作るより簡単にできると思っていた。
仕事を依頼すれば湧き水の如くアイディアが湧き出し、パッパと一晩ぐらいで図面なんかできてしまうのだろうと思っていた。
廣瀬さんと話し合いを持つ内にそうではない事が解ってきた。
小生や小生の家族の考えが熟成するのを待つ必要があった。
それでもまだ8月末着工、12月末完成ぐらいを考えていた。
新年は新しい家でスタートだと。
これも甘かったようだ。
前述した大工さん探しや、諸問題があり、腹積もりのようにはいかなかった。
結局3月初旬から設計開始、10月着工。
設計に7ヶ月を要した。
着工してから早くも3月中旬、竣工は4月中旬ぐらいであろうか。
約7ヶ月の工事期間(見込み)。
合わせて1年と2ヶ月。
だんだんと夢が現実になっていく小生には長く感じない。
しかし、設計事務所の事を考えるとかわいそうになってしまう。
小生のような偏屈親父と1年以上も付合っているのだから。
ビルや橋を作ろうとしているわけではない。
しがないサラリーマンの小さな住宅である。
確かに設計料は支払ってはいるのだがわずかである。
(とは言っても小生には大金)
これでは割に合わないであろう。
何かの本に
「設計屋とかけて足裏の飯粒と解く」
そのこころは
「(仕事が)あっても食えない」
なんてのを読んだ覚えがある。
そんな感じがしないでもない。
世は生産の効率化やコストダウンが叫ばれている。
その逆を進んでいるような気がする。
ほとんどの設計事務所は「家内制手工業」だと聞く。
効率化を進めていくとハウスメーカーと変わらなくなってしまうだろうし。
難しいものである。

外壁工事


産みの苦しみを味わい、悩みぬいたサイディングも決まり、工事が始まった。
やっと始まった。
やっと外壁が付く。
上棟から早4ヶ月が過ぎている。
これさえつけば雨の心配もない。
屋根があって、壁があり、床もある。
もうできたも同然。
見栄さえ張らなきゃこれでもう住める。
立派なもんだ。
工事も始まると何のことはない。
3日間で貼り終わった。
もっと時間をかけてほしかった。
もっと苦労して貼ってほしかった。
だって、色を決めるのにあんなに苦労したのだから。
それでも外壁が貼られると俄然家らしくなりうれしい。
昨日までは断熱材が見えていて裸同然。
今日からはおめかしたお城。
その頼もしさに思わず頬ずりしたくなる。
その後はコーキング作業に約3日。
なんと日曜日なのに工事をしている。
予想していなかったので驚いてしまった。
コーキングは天候に左右されるため、天気が良ければいつでも作業する。
今まで知らなかったのだが、サイディングを貼る職人とコーキングをする職人とは別人。
コーキング職人はコーキングだけを専門に作業する。
コーキング工事の職人さんに話しを聞くと、サイディング職人の腕次第で手間が大きく変わるとのこと。
また、今はサイディング専用のコーキング材ができてクレームが少なくなったとのこと。
昔はウレタン系のコーキング材を使っており、5年ぐらい経つと隙間やヒビが入り、苦情処理が大変だったらしい。
数年たち雨漏り等の苦情がきたきは、ほとんどの場合末端のコーキング工事会社の責任となり、メーカー等が費用を出してくれたことはなかったそうである。
材料の材質や他の工事の施工具合に関係なく、いつでも責任は末端の者だという。
この辺にも建築業界の古さが見え隠れしているように思える。

塗装工事

時を同じくして塗装工事も始まる。
外の丸太や軒天から工事が始まった。
目地や釘の処理は面倒くさそうだが、それさえすめば後は簡単。
ススイのスイで完了。
今度は屋内。
床のフローリングや天井、柱を塗っていく。
本当は経費削減のため自分でやってみたかった。
しかし、母から猛反対されて断念。
「おまえみたいないいかげんな人には任せられん。」
最初だけはプロにやってもらうことになった。
この後のメンテは小生の仕事となる。

初日は立派な中年(50代)の職人と、新中年(30代後半)の二人の職人が作業した。
翌日は新中年と若者(20代前半)の二人で作業。
翌々日からは新中年一人だけの作業。
立派な中年と新中年は黙々と仕事をする。
お茶の時間は他の職人や小生たちと楽しそうに話しをする。
仕事をするのが楽しそう。
もう一人の若者も黙々と仕事をする。
しかし、休憩の時間は一言も話さない。
一人だけ別世界。
実につまらなそうにしている。
世代が違うからか、仕事が嫌いなのかは解らないが面白くないような顔をしている。
他の職人さんたちに挨拶もしない。
小生としては仕事さえきちんとしてくれれば文句はないのだが、彼の将来を案じてしまう。
仕事は楽しくやらなくちゃ定年までもたないよと言いたい。
小生自身の仕事だって、どこかに楽しみを見つけるようにしている。

3階の床で痛い失敗が発生した。
毎朝の巡回時、3階まで上がってみてびっくり仰天。
杉の床が黄色い。
黄色は大げさにしても、杉の赤味と塗料の色で黄色味がかった茶色のような色になっている。
思わずうなってしまった。
塗装屋は何をしでかしたんじゃー。
既に半分以上が塗り終わっている。
山小屋風の部屋になる予定が黄色い部屋になってもうた。
デズニーランドにも無い面白さ。
笑っている場合ではない。
ここまで塗ってしまってはもう手後れ。

床面の塗装には自然塗料のリボスを使用した。
この塗料はできるだけ薄く塗った方がきれいに仕上がる。
テストピースで塗料を決めた時も、ウエスで塗料を塗り、塗ったらすぐに拭き取るという作業をした。
薄く塗るときれい。
塗料も食わないので材料費が安く済む。
小生はここまで考えていた。
なのになのにである。
よく見ると塗膜が厚い。
現場にある作業指示書にもウエスで薄く塗るように書いてある。
それなのに厚く塗られている。
どうやら作業指示書を見ずに、普通の塗料と同じ感覚で刷毛塗りをしたようだ。
廣瀬さんも気がついていたようではあるが、大方塗られてしまった後で間に合わなかったようである。
床は無垢材なので全面サンダーがけをして、一皮向いてやりなおすという方法も無いではないが、新たにキズができることや工期の延長が嫌であきらめることにした。
3階は人目にもつかないし、経年変化で日焼けすればこんな物だろうと自分を慰める。
水拭きか何にかでいい方法はないものだろうか。

ご注文

だんだん形ができてきた。
外形ではなく内部が人間の住む家に近くなってきた。
とたんに家族から注文が入る。
工事が始まるまで打ち合わせをした時には何にも言わなかったくせに。
打合せの時は「いい子」になってニコニコしているだけ。
まるでおじぞうさん。
形ができてくるとブツブツブツ。
ダイニングにカウンターが付いた。
「カウンターがチョットだけ長すぎる。」
キッチン側にもカウンターが付いた。
こっちも「1寸ほど幅が広すぎる。」
もっと早い時期に言ってくれ。
付けてからでは間に合わない。
それに「短い」「狭い」ではどうしようもないが、「長い」「広い」なら使いやすいではないか。
この上に物を置いた時のことを想像してみろってんだ。
今は何も無いから大きく感じるんだよ。
またこんなご注文も出た。
「ダイニングと階段ホールの境に仕切りがほしい。」
狭い部屋だから仕切りを少なくして、広く見せようと工夫しているんだ。
今は空っぽの部屋だからそれなりに広く見えるんだ。
テーブルや椅子を置いたら仕切りは邪魔になるんだよ。
小生の家の女性陣から大量のご注文。
誠にありがとうございます。
これからは早めにお願いいたします。

空間把握

空間の把握は難しい。
前項でも書いたことではあるが、家造りには空間把握能力が必要。
平面図や矩計図では捉え切れない。
特に我が家の女性陣には難しいようだ。
矩計図に家族の人形でも書いてあればもう少し理解しやすいのかもしれない。
考えてみれば図面は工事用で、素人(建て主や家族)向けに書いてあるわけではない。
小生は割と解るのだが、女性には難しいみたいだ。
ここらで素人向けの図面を考えてみてはいかがだろうか?
図面に等身大のイラストが入り、マンガのようなものでもいいと思う。
設計に携わる人に考えてもらいたい。
もちろんプレゼン用である。

家族を見ていると家が形になってきてもまだ解らない部分が多いように思われる。
建築中の建物の中に入ってさえ、家具や設備が入った状態を想像するのができない。
図面に家具が書いてあっても、イスの稼動範囲や引出を出して家事をする時のスペースなどが想像できないようである。
まして立体としての空間を把握するのは至難の技のようである。
だから後になってから注文がいろいろと出てくる。
小生の家族の能力の無さを嘆くしかない。
3Dの間取りソフトの中には部屋の中を巡回して見えるものがあるが、これを使ってみても難しいと思われる。
なぜならそこに人間は出てこないから。
その点、我が家の小僧(長男)は我が子ながらたいした者である。
2ヶ月ぐらい前のことではあるが、自分の部屋と姉の部屋を見比べた時、自分の部屋の方が狭いことにしっかり気づいた。
その後確証を得るために、現場にあった垂木を持ってきてしっかり実測し、小生に不満を訴えてきた。
気づいた差はわずか4寸。
柱一本分の違いに気づいたのである。
長女の方はぜんぜん気づいていない。
こんなところは遺伝なのであろうか?
(親馬鹿です。)

石油で作る家

戦時中アメリカ軍は日本の住宅は木と紙でできているとのたまったそうな。
紙ならよく燃えるので焼夷弾の雨を降らせることに決めたという。
現在はどうか?
今の家は石油でできている。
住宅用工業製品のほとんどは石油が使われている。
断熱材、壁紙、システム家具、建具、その他塗料や粘着テープ等の補助用品。
ありとあらゆる物に石油が使われている。
使われてないものを探す方が大変。
小生の家も注意をして素材を選んだつもりだが、やっぱり石油でできている。
木を多用した住宅にしたつもりだったが、同時に石油も多用することにもなってしまった。
問題は木工用ボンドである。
ボンドの原料も石油。
床のフローリングや腰板が貼られた翌朝、家の中に入るとボンド臭い。
前日までは桧のいい香りがしていたのに。
最初はなぜ臭いのか理由が分からなかった。
床材等はさね加工がしてあり、板どうしを組み合わせていけばいい。
そして要所を目隠し釘で固定すればいいはず。
ボンドは使う必要が無いと思っていた。
小生の頭の中には木材は釘で止めるものとの固定観念があった。
しかし実際は違っていた。
フローリングや腰板はボンドで貼っているのである。
作業を見ていると確かに目隠し釘でも固定するが、一枚一枚ボンドも塗り付けている。
大工さんになぜボンドを使用するのか聞いてみた。
無垢材は湿度(乾燥具合)によってどうしても暴れるので、木材の暴れを押さえるために使用しているとのこと。
経験から言うと、いかに乾燥材を使おうとも夏場の多湿と冬場の乾燥を繰り返すことで暴れてしまうとのことであった。
暴れは苦情となって出てくるので使用しているとのこと。
小生自身は無垢材が暴れてしまうのは経験済みで知っている。
3年ぐらい経たないと落ち着かないのも知っている。
また多少の暴れは覚悟していた。
暮らし方と自分のメンテナンスで処理しようとも考えていた。
だから使用してほしくなかったのであるがもう手後れ。
そこまで注意が周らなかった。
これから家造りを始める人で健康を重視している人はそこまで考えた方がいい。
いたるところにボンドをはじめとする接着剤が使われいる。

ボンドを使われてしまったのは痛かった。
今度はシックハウスの問題を考えなければならない。
我が家で使われているボンドの成分を調べてみた。
噂のホルムアルデヒドは含まれていない製品だったので一安心。
大工さんと話しをするとシックハウスには注意しているらしい。
材料を吟味して使っているのが感じられた。
しかし他の有機溶剤が使われていないかも一応チェックしてみた。
シックハウスには他の要因も多数あるので今後も注意が必要と痛感した。

ボンドの臭いは3日ほど過ぎるとあまり感じられなくなった。
完成まではまだ間があるので何とか臭いが無くなるのを期待する。
最近はずいぶん暖かくなったし、窓を開けて作業しているので成分の揮発が助けられるだろう。

破風板

小生は思わぬことで虐められている。
母からチクリチクリと言葉で虐められている。
問題は破風板。
切り妻屋根の妻側についている合掌形の板のことである。
母に言わせれば、「破風板は銅板で覆わなければウソだ。
金がある家ではその銅板に飾りの模様をつける。
最低でも塗装ぐらいはする。
なのにこの家には何にもしてねぇ。
こんなんちゃねぇー。(茨城弁)
まるで農家の長屋と同じだ。
こんな貧相な母屋には住みたくない。」
と言う。
小生の見栄っ張りは親譲りか。
また、「そのうち屋根から腐ってしまう。
腐るような家で老後を過ごすのは嫌だ。」
とまで言う。
破風板のような思わぬ箇所で嫌味を言われている。
予想外のことなのでこれには参った。
確かに11月に瓦が乗り、この3月まで何もしていない。
何もしないわけではない。
これは板金屋のスケジュールの都合で、他の板金箇所といっしょに作業するだけのこと。
木工事や他の工事とのタイミングを取っているだけなのである。
いくら母に説明しても嫌味は止まらない。
建築中の家を見上げるたびにチクリが出る。
落下防止用のネットの上に破風板が見えるので、なおさら始末が悪い。
現場が住んでいる所にあることも悪い。
毎日見上げては溜め息を吐き、同じチクリが始まる。

笠木

夜家に帰るなり、今日は変な人が工事していたと言う。
ヌッヌッ何者じゃ?
どんな人と聞くと、板金屋のようで板金屋でなし。
どこを工事してたと聞いて始めて解った。
笠木屋だ。
笠木屋なんて商売ではなく、サッシ屋。
小生の家のバルコニーは木製。
笠木の部分も木製。
そのままだと痛みやすいのでアルミ製のカバーをつけることにしていた。
この工事はサッシ屋に加工を頼んでおいた。
そのカバーが今日ついた。
笠木はステンレスでピッカピカにしたかった。
ピッカピカでどこから見ても目立つようにしたかった。
見栄っ張りの見栄の張りどころだと意気込んでいた。
しかし家族の賛成を取り付けることができなかった。
♪男と女の間には深くて暗い川がある♪
小生と家族との美的感覚には大きな隔たりがある。
「テレビばっかり見てないで、たまには美術館にでも行ってセンスを磨いてこい!」
と叫びたい。
それが言えれば苦労はない。
小生の一言に対して何百発の言葉が返ってくるか想像しただけで恐ろしい。
大きな体を小さくして家族の我が侭を聞く。

今回のはアルミ製で色は黒。
締まりがあっていいのだが、汚れが目立ちそう。
その辺まで考えていたか、はなはだ疑問。

床の間

棟梁の自信作、床の間が完成。
この床の間だけで約3日ほどかかった。
6畳の茶の間に床の間は贅沢品。
小さ目で幅4尺、奥行き3尺。
床柱と床框は日光杉、落懸は桧。
経費節約のため、天井は杉板の端材で作った。
お金をかけずに作ろうとしたため、材料選びに棟梁は苦労したようである。
しみじみと眺めていたかったのだが、すぐに養生されてしまった。
眺める楽しみは完成時まで取っておく。
床の間があると、またお金がかかりそう。
やれ新しい掛け軸ほしいとか、壷がほしいだのと言うに決まっている。
なんですぐに買いたがるのか。
女と買い物はすぐに結びつく。
働いている方の身にもなってくれ。
しばらくは子どもの書き初めで間に合わせたい小生とは意見が合わない。

日曜大工2

日曜日になると子ども達が「テレビゲームやろう」とうるさい。
何度か子どもに付合ってやってみたが負けてばっかり。
負ければやっぱり悔しい。
小生ばっかりが悔しい思いをさせられる。
そこでゲームの代わりに日曜大工の世界に無理矢理引っ張り込むことにする。
以前、端材を利用して「ユラユラするベンチ」なる物を愚息と作った。
これに味を占めて、また愚息と挑戦。
今回は郵便箱。
新しい家に合わせて郵便箱も新しくする。
買うと高いのでコンテナ(ごみ箱)から拾ってきた端材を利用して作る。
日曜日の半日をこれに費やした。
親子でトンカン、親子でギコギコ。
楽しい!
蓋が開くように蝶番も付けて作成。
ペンキで赤く全体を塗り、郵便マーク(〒)は白で書いた。
二人の自信作を誇らしげに愚妻に見せた。
愚妻曰く「巣箱のでっこじゃれみたい。」(茨城弁です)

今日の成果
二人:微妙に歪んだ郵便箱
愚息:切り傷(ノコギリ) 1ヶ所
小生:血豆 1ヶ

愚妻には不評であった郵便箱ではあるが、キチンと機能している。
郵便屋さんはちゃんと入れてくれるし、新聞屋さんも毎朝入れてくれている。
これで良しとしなければ罰が当たる。

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