我が家の状況
茨城県西部の ど田舎。
どのくらい田舎かと言うと、はがきの住所に「茨城県大字
ど田舎 字 僻地」と書けば我が家に着きそうである。
遠方の友人が訪ねてくると開口一番「のどかな所だねぇー」と口をそろえて言う。
そうは言っても住めば都。
生まれも育ちも田舎育ち。
親の建てた家に5人で暮らしている。
母親と私ら夫婦(共に40代)と子ども2人(小6♀、小4♂)。
100坪のほぼ四角い土地に36年前に建てた店舗兼住宅。
それに16年前に増築した部分。
親父が健在の時は商売をしていたが、現在はごく普通のサラリーマン家庭である。
今回は36年前に建てた店舗兼住宅を解体して、築16年の増築部分に更に増築という形で家を建てたい。
要は家を半分だけ壊して建て直す予定。
本当は全部壊して新築した方がいいのかもしれないが、親の気持ちを思うとそうはいかない。
半分壊すだけでも泣き出しそうである。
はてさてどんなことになりますやら。
我が家の半分は店舗または仕事場である。
不肖の息子である小生は家業を継がなかった。
父が亡くなったのをきっかけに廃業してしまった。
そのためサラリーマンとして生活するには贅沢すぎる家である。
なにせ店だった部分をそのまま玄関代わりに使っているので、玄関が10畳となり、おまけにショーウインドウやカウンターまである。
2階の物置兼洗濯物干し場はなんと20畳の広さ。
元仕事場のため、普通の部屋として使えないのが悲しい。
こんな贅沢があるだろうか。
その分、生活のためのスペースは狭い。
茶の間の6畳はまだいい方で、もう一つの和室8畳には子どもの机が二つあり、箪笥があり、さらには仏壇まである。
しかも夜になると、その隙間に母が布団を敷いて寝るのである。
一家の家長足る者、いづれは何とかせにゃならん!
親孝行しなければ!
思いつづけているうちに、アッという間に8年が過ぎた。
日本の経済と同じように「空白の8年」。
ムムムー忌忌しき事態、それでも動かぬ小生であった。
動かざる事山のごとし(風林火山より)。
交通事故発生
その日は午後から雪が降り、小生は家路を急いでいた。
家の間近かまで来ると何やら家の前が賑やかである。
パトカーに救急車が止まっている。
まさか母上の身に何かあったのではと案じつつ家の前まで行く。
何と軽トラックが家に突き刺さっている。
幸い運手していた人は軽症ですみ一安心。
時に1999年2月の事であった。
しかし、
家は重症とまではいかないものの中症ぐらいか。
窓やドアは言うに及ばず、柱までが折れた。
東側の外壁も崩れ落ちた。
折れてしまった柱は治らないので、別の柱を差込み針金で固定する。
外壁はサイディングを張って、とりあえず住めるようにしてもらった。
これで一安心。
このぐらいでは家を建てる決心には至らなかった。
のんきな小生は相変わらず「動かざる事山のごとし」なのだ。
またアッと言う間に秋になり、台風シーズン到来。
雨漏り
9月も末の台風の日。
東側1階の天井から雨漏りが始まった。
慌てて2階に上がる。
2階は無事。
さては事故で修理したあたりからの漏水が原因か?
その後、台風が来るたびに雨漏りするようになった。
何と2階までが東側壁面から雨漏りしている。
11月に入ると普通の雨でも雨漏りがするようになってしまった。
普通の人はここで修理するか、建て替えを決心していたと思う。
小生はまたも「動かざる事山のごとし」。
この家に住む前、小学校に通っていた頃の我が家は、布団の中から星が見えた。(本当です!)
雨が降るたびに洗面器やバケツを用意したもので、雨漏りには慣れていた。
天井や壁にしみができたぐらいではビクともしないのである。
風向きが変わった
2000年問題も無事に解決した。
昨年から取り組んできた2000年問題への対応は、3月の1999年度決算処理をもって全て終了した。
ホッと一息ついていると家の雰囲気がおかしい。
母曰く「いつになったら家を建てるんだい?父ちゃんは2回も建てたよ。」
娘曰く「一人になれる部屋がほしいなぁ。」
息子曰く「○○ちゃんちは新しくてキレイだゾー。」
「黙らしゃい!宝くじでもあったたら建てたるわい。」と小生。
妻曰く「(-_-#)(-_-#)(-_-#)」
いつの間にか家族の雰囲気が変わっていた。
四面楚歌とはこの事か。
確かに周りを見渡してみれば町内に新築の家ができている。
建築中を含めると三軒もある。
同級生も建てている。
なんてこった。
こちとら家どころではない。
不況の風で会社が潰れるかリストラされるかわからんのに。
勝手な事言うな!。
義理と人情
会社が潰れるかどうかは別として、家の事も考えるようになった。
新聞広告を良く見るようになった。
ハウスメーカーで家を建てるのは金持ちしかいないと思っていた。
広告のようなカッコイイ家や、最新機能・設備の整った家は手が出ないと初めからあきらめていた。
小生の頭の中では「大工さんに建ててもらう」としか考えていなかったのである。
我が家は環境が整っている。
今住んでいる家を建てた大工さんが近所にいる。
母方の親戚に工務店が2軒ある。
妻の従兄弟に大工さんがいる。
私の従兄弟に左官屋さんがいる。
隣の家の幼なじみは地場ハウスメーカーの営業をやっている。
頼む所に心配はない。
逆に多すぎてどこに相談したらいいのかわからない。
♪義理と人情と秤にかけりゃ♪
どこに声をかけても、義理と人情の板挟みになりそうである。
下手をすると御家騒動。
家作りが家崩壊に繋がりかねないほど、環境が整い過ぎている。┓(´_`)┏
間取り
どこに頼むかはゆっくり考えるとして、家といったら「間取り」。
間取りを考えよう。
Excelで間取りを考え出した。
部屋のパーツを作り、組み合わせ出した。
しかし、ワクワクしない。
要は操作が面倒くさいし、イメージが掴みづらい。
仕事でも遊びでもそうなのだが、ワクワクしないものはいい結果が出ない。
長続きもしない。
巷にはいろいろな間取りソフトが販売されているのは知ってはいたが、小生のパソコンには重い。
「機能充実」=「重い」。
インターネットで間取りソフトを探す。
見つけました。
3D表示が可能でお試し版、無料。
(今はもう無料ではありません。あしからず。)
早速ダウンロードして使ってみる。
これが面白い!
3Dもいい!
但し遅い!
間取りを作り、3D表示させようとボタンをクリックした後、トイレで用を済ませ、机に戻ってきてもまだ全部は表示されない。
その後あくびを3回ぐらいしたころで全部が表示されるのである。
こののんびり感は凄い。
でも3Dさえ使わなければ楽しめる代物なのだ。
(Pentiumのパソコンがほしい。)
このソフトを使って間取りを考えました。
いっぱい考えました。
この年の秋までに80パターンぐらいは考えた。
書いては消し、書いては消し。
しかし、書けば書くほどハウスメーカーの広告に似てきている。
小生が住みたい家は本当にこれでいいのか?と悩む。
それでも代表作5点を妻に見せた。
妻曰く「フーン」
反応がない。
本当は凄い感動と反応を期待していたのだがハズレ。
小生自身に感動の無い物がどうして人を感動させられるものか。
当たり前の事に改めて気がついた。
また、小生自身の考えが煮詰まっていない事も感じ、しばらくは間取りソフトを使わず、期が熟するのを待とうと思った。
家に対する勉強が足りない事を感じた秋の夜であった。
勉強
家について何で勉強しようか?
まず本屋さんに行く。
いろいろな住宅関連雑誌をめっくって見たがピンと来ない。
インターネットで検索してみた。
するとたくさんの体験談があるではないか。
思わずはまってしまった。
しばらくはインターネットで勉強だ。
キラ星のごとく参考になる体験談がある。
住宅メーカーで建てた人、工務店で建てた人、様々である。
「欠陥住宅」なんていう言葉も覚えた。
欠陥住宅の恐ろしさにも気がつく事ができた。
「高断熱」「高気密」「シックハウス」などという言葉も覚えた。
はじめの内は新出単語ばっかりで面食らってしまった。
情けない事にこの時になって「工法」の違いに気がついた。
いい歳をして何にも知らなかった事に愕然としたのである。
「軸組み」も「2×4」も「プレハブ」も「鉄骨」も何にも知らなかった。
知らないとは恐ろしい事でもありのんきでもある。
この年の秋から冬にかけては住宅の勉強に充てた。
「動かざる事山のごとし」ではあったが、来るべき時への胎動が始まったのもこの頃である。
工法
いろいろな工法があり、各メーカーや工務店ごとに特徴を出している。
いろいろ勉強したが、この工法だけは絶対にまずいというものはなかった。
これが一番というのにもぶち当たらなかった。
それぞれ一長一短でなのである。
たとえば「軸組み」を推奨して「2×4」はダメという人もいる。
日本の高温多湿の風土に合っていないと言う人もいる。
そんな事はないと思う。
アメリカやカナダは広いのである。
アラスカのような極寒の地もあれば砂漠の地もある。
ハワイのような常夏の地もある。
日本より高温多湿の地もある。
それでいてどこでも「2×4」で建てている。
何世代にも渡り住み続けている人たちがたくさんいるのは事実である。
要は建て方を地域に合わせれば、工法は問題ないと思った。
暑い地域の建て方しか知らない設計者や職人が、寒い地域でも全く同じように建てようとするのが問題なのだと考えた。
暑い地域には暑い地域なりの工夫と住み方があり、寒い地域には寒い地域なりの工夫や住み方が大切なのだと思う。
それじゃー我が家はどうするか。
いろいろ考えたが「木造軸組み」が感覚的に好きなのだという結論に至ったのである。
木造は地震に弱いという意見もあるだろうが、最近は金物も使い、昔よりは強度が増していると思われ、小生自身の中では決定した。
高断熱・高気密そして計画換気
新聞の折り込み広告を見ていると、高断熱・高気密という言葉が目につく。
私のところは高気密高断熱で結露しません。
しかも夏涼しく、冬は暖かい。
さらには熱効率がいいので、冷暖房費が安い上に地球に優しい。
と、大々的に宣伝している。
本当なのだろうか?
我が家の現況は低断熱・低気密・自然換気。
エアコンは無いが扇風機は3台もある。
セントラルヒーティングは無いがコタツやストーブならある。
換気扇だって台所に一つある。
トイレや各部屋には無い。
それでも暮らしていける。
いや暮らしてきた。
この辺は暮らしやすい気候なのだと思っている。
真夏も33度ぐらいにしかならないし、真冬でも−3度ぐらいである。
真冬の朝でも室温は2度ぐらいはある。
朝ご飯を食べる時だけ石油ストーブを点ければ、日中から夜はいらない。
綿入れ半纏を着たり、コタツに入ったりで充分である。
この辺の冬は晴の日が多く、縁側などは温室のようである。
暑い夏は庭に水を撒いたり、簾を下げたり、シャワーを使ったりと工夫をする。
(本音:小生はデブなのでちょっと辛い。)
閉切っておくのが嫌いなので風呂場やトイレは1年中窓を開けている。
また、古い家なので隙間もいっぱいある。
年中窓を開けているためか、結露に出合った事が無い。
夏も冬も結露はしない。
こんな暮らし方って変ですか?
高断熱
断熱はいいと思った。
でも疑問もある。
夏は暑さを防ぎ、冬は寒さを凌ぐ。
そんな都合のいい事が可能なのだろうか?
夏の家の中にこもった熱気は高断熱だと放出し難いのではないか?
冬のお日様の温かさは取り込めないのではないか?
断熱材にはいろいろな種類がある。
値段もいろいろである。
耐久性はどうなのか。
費用対効果で判断すべきなのか?
どれがいいのだろうか?
相談する相手がいない。
(この相談する相手がいないという事が後々のキーポイントになってくる。)
高気密
高気密は地球に優しい。
と、広告には書いてある。
熱効率がいいらしい。
ナルホド。
ぴっちり覆われた住宅って本当にいいのだろうか?
木造建築は空気に触れた方がいいと聞く。
部屋中の空気は窓を開ければいいのだろうけど、壁内や見えない所にある構造材にも空気が行き渡るのであろうか?
冷暖房費が安く済むと言う事は、多くの月日に冷暖房を使っている場合ではないのか?
我が家にはエアコンが無いせいか、冷暖房費は余りかからない。
汗を流したり、震えたりするのも悪くはないと感じている小生は変態か?
冷暖房費を安く済ませるより、使わない方が地球により優しいような気がする。
どうも生理的に高気密は受け入れられない。
こんな疑問や感想を誰にぶっつけらいいのだろう?
計画換気
広告を見ているともう一つ気になる。
換気について触れているのが少ないような気がする。
高気密と計画換気はセットで考えないといけないのではないだろうか?
変な例えだが、宇宙服や潜水服は高気密である。
この服にはしっかり計画換気が取り入れられている。
家だって高気密にしたら、計画換気を取り入れなければ方手落ちのような気がする。
機械が壊れたらどうなるんだろう?
ダクト内の清掃は可能なのだろうか?
そりゃー一年中締めっきりで、冷暖房ガンガンなんて訳はないのであるが、重要な事に思える。
こんな事誰に聞けばいいのだろう?
バリヤフリー
最近「バリヤフリー」という言葉を良く聞くようになった。
段差を無くし、手すりを付け、廊下を広くする。
これでホントにOK?
妻に「家庭で考えられるバリヤフリーって何?」と聞いてみた。
妻曰く
「簡単に言えるわけ無いじゃない。
人によってバリヤーは違うのだから。
右側に手すりがあっても、右手が不自由なら役に立たないじゃない。
手は不自由でも足腰の丈夫な人にとっては段差はバリヤーではないし。」
予想以上に含蓄のある回答にこっちが考え込んでしまった。
(゚o゚)
確かにバリヤーの意味が一人一人違う。
我が家のバリヤフリー計画はどうすりゃーいいんだ!
再度、高断熱・高気密・換気・バリヤフリーについて
現時点での結論。
高断熱・高気密じゃない方がいい。
小生の場合、生理的に受け入れやすい。
ただし、現状よりは改善される事が望ましい。
換気は機械換気ではなく、自然換気を考える。
バリヤフリーについてはバリヤフリーの設備を考えるのではなく、バリヤーを必要としない体の維持に重点を置いて家を考える。
ただし、バリヤフリーが必要になっとき、個人の障害に応じて対応できるように下準備はしておく。
家について専門家ではないので、中途半端な考えかもしれないが、現時点ではこれで良いと思った。
小生の求める家
いろいろ勉強した事で考えがまとまってきた。
茨城県の田舎町に合った家を木造で建てる。
けっして高断熱・高気密ではなく、自然に風の通る家。
現在バリヤフリーではないけれど将来対応できる家。
いや、あえて段差や階段を作り、自然に足腰の衰えを防げる家。
具体的には40坪前後の2階建てまたは3階建て。
木造軸組み工法で木をふんだんに使った家。
真壁にして木の感触や色合いを楽しみたい。
構造材が見えるのもまた良し。
地元の木を使ってくれればさらに良し。
室内の仕切りは引戸を多用する。
トイレや階段は将来に備えてゆったりと作る。
特に階段は家庭内事故の多い所なので、直線階段は止め踊り場を必ず設ける。
段数を多くし、ゆったりとした階段にする。
将来階段昇降機を付けられるように幅も十分に広く取る。
子ども室は寝るだけなので狭くて良い。
外壁や設備(風呂、洗面台、システムキッチン等)にはこだわらない。
安価で流通品が良い。
シックハウス等の心配を少なくするため、合板等はFc0を使う。
また内装にクロスはできる限り使わない。
全体として華美な装飾や豪華な設備は全く必要としない。
こんな考えがまとまってきたのがこの年の暮れの事である。
20世紀ももうすぐ幕を閉じようとしていた。