素人の建て主から見た設計事務所の問題点と、分離発注の抱える弱点についてまとめてみました。
家を建てようと考え出してから、たくさんのホームページを見た。
特に設計事務所といっしょに家を作ろうと考え出してからは、設計事務所のホームページを集中的に見た。
検索エンジンで「設計事務所」という言葉をキーワードにして検索すると、星の数ほどの設計事務所がヒットする。
あまりに有りすぎてどこから見ていけば良いのか解らない。
世の中にはホームページを持っていない設計事務所も有るのだろうと考えると、日本国内にどのくらいの数の設計事務所が有るのだろうか?
この中から自分に合った設計事務所を見つけるのは至難の技に思える。
結局、地区で探すとか、雑誌に掲載されていた人辺りからとっつき始めるしかない。
そして自分に合うか合わないかは運を天に任せるしかない。
宝くじとたいして違わない。
こんな選び方で本当に良い家が建つのだろうか?
設計事務所のホームページを厭きもせずに毎日見ていた時期があった。
見れば見るほど区別がつかなくなってくる。
どこのホームページを見ても書いてあることが似ている。
「あなたの希望にあった家を作ることができます。」
「極狭地、変形地でも家が建ちます。」
「ハウスメーカーよりも安く作ることができます。」
「ローコスト住宅も得意です。」
「ビルも住宅も商業用店舗も経験があります。」
どこもかしこも似たり寄ったり。
設計事務所なのだから個性が売り物のはずなのに、書いてあることは皆一緒。
極端に言えば「建てる」「造る」を「買う」「選ぶ」に単語を入れ替えれば、ハウスメーカーの折り込み広告とたいして違わない。
本当にそうですか?
設計事務所、建築士って専門職ですよね!?。
ホームページを見ている限りでは、間口が広すぎて何が専門なんだか良く解りません。
医師は外科や産婦人科、皮膚科など専門性を前面に出して仕事をしています。
教師も小学校専門だったり、国語だったり、英語だったりと、専門性を出しています。
国家資格としての免許は皆同じです。
免許にいちいち「脳外科専門」とか「数学専門」とは書いてありません。
なのにどうして設計事務所は専門性を出していかないのでしょうか?
ビルもできれば住宅もできる。
設計もできれば現場の監理もできる。
構造計算だっておちゃのこさいさい。
そんなホームページの事務所が多いようです。
本当にそうですか?
あなたの設計事務所の「強み」は何ですか?
もっと強みを前面に出して発言して下さい。
そうでないと他の設計事務所と区別するのが難しく、あなたを選べません。
あなたの強みを教えて下さい。
「私は数寄屋が得意で、茶室には造詣が深いです。」
「私は輸入住宅が得意で、専門のバイヤーを雇っています。」
「私は断熱に関しては長年研究して、一過言持っています。」
「私は豪雪地区の住宅しか作りません。」
「私の考えるローコスト住宅とはこういうものです。」
「私はデザインは苦手ですが、建材の調達には独自ルートを持っています。」
などなど。
設計者の顔が見えるような発言をして下さい。
自分の得意なものを積極的にアピールしてください。
特徴がはっきりしてくると、建て主としては選択しやすくなります。
他と比較することができ、納得のいった設計事務所と契約することができます。
今、就職氷河期と言われている時代に「何でもできます」では、面接で落ちてしまいます。
採用試験の面接の時、必ず聞くことがあります。
「あなたは何ができますか?」
様々な答えが返ってきます。
「経理事務ができます。」
「溶接ができます。」
「フォークリフトの運転ができます。」
「今は何もできませんが、身体だけは頑丈です。」などなど。
自分の強みを把握し、アピールできることは良いことだと思います。
それに対して「何でもできます、何でもやります。」と答える人もけっこう多くいます。
全て不採用です。
自分の強みをアピールできなければ採用できません。
設計事務所だって同じ事です。
自社の強みをアピールできない設計事務所とは契約できません。
確かに何でもできるのでしょうが、依頼する側に旨味がありません。
建ててからの喜びが少なくなってしまいます。
各設計事務所の考え方や薀蓄を戦わせる場が少ないことを残念に思っていす。
意見を交換しあえたらもっと良い建築物ができそうな気がします。
設計事務所のホームページには過去の作品とか事例とかが紹介されている場合が多い。
写真が何枚か掲載されている。
これだけではつまらない。
食い足りない。
事例には必ずコメントを付けて下さい。
コンセプトや設計のポイント。
苦労した箇所や工夫した所など。
できれば建て主さんのお話などもあると良いですね。
付けられたコメントから設計者の顔や力量が見えてきます。
自分の感性に合うかどうかも考えることができます。
洋服のカタログとは違い、性能が大事です。
かと言って自動車のカタログみたいに数値で性能を表すことも難しく、住む人によって感じ方も違います。
だからこそ、コメントが重要なのです。
建て主が見たいのは建物の見た目ではなく、設計者の姿勢なのです。
お願いします。
最近分離発注を手がける設計事務所が増えてきたように思います。
労多くして益少なしの住宅建築に分離発注を取り入れてくれることをありがたく思っています。
が、
本当にあなたの事務所にお願いしてだいじょうぶですか?
分離発注で家を建てていく時に大きな三つの問題があります。
あなたの設計事務所はこの問題を全てクリヤーできていますか?
(1)【予算管理】 予算オーバーになっていませんか?
(2)【納期管理】 各工事が予定日を過ぎていませんか?
(3)【現場管理】 職人さんがちゃんと働いていますか?
少なくとも上記3点が上げられると思います。
予算通りに工事を進めることは至難の技。
建て主の我が侭から来る変更依頼、専門工事会社の我が侭や不始末など、予算オーバーになる要因はいくらでも転がっている。
そんな中で予算内に納まるように汗を流していますでしょうか?
分離発注を採用する建て主はお金に厳しい。
どんなに悪条件だろうとこれをきっちりやっていただかないと、建て主の不満は増幅していく。
ここをおろそかにすると、得てして予算額を工事費が上回り、お金を払えなくなる建て主が出てきてしまう。
建て主が松の木にぶら下がるような事態になったとしたら、あなたにも責任があります。
そこまでいかなくても余計な借金を背負い込み、人生設計が変わってしまう建て主ができてしまうかもしれない。
予算管理のできない設計事務所は分離発注を止めて下さい。
最初の予定の期日までに仕上げることも難しい。
各専門工事会社の都合があったり、天候に左右される面もある。
また、材料の入荷が遅れてしまう場合もある。
単純に職人の能率が悪いという場合もある。
かくして納期は後ろにずれ込み納期遅れとなっていく。
建て主がもくろんでいた予定は音を立てて崩れ、不満が日増しに増幅していく。
納期管理のポイントは適格な進捗管理と、専門工事会社のスケジュール調整に尽きる。
これをおろそかにされたら建て主としてはたまったものではない。
仮住まいの費用ばかりでなく、工事代金そのものも上がっていってしまう。
費用に降りかかってくることが恐ろしい。
前述の予算管理にも関係し、納期だけの問題ではすまなくなってしまう。
この事によって建て主の家族関係が壊れ、離婚問題までに発展していってしまう恐れがある。
納期管理のできない設計事務所は分離発注を止めて下さい。
分離発注ではこの点が盲点になり易い。
工事の施工監理はできても現場監督の代行となるべく、現場の工事管理ができないでは困る。
建て主が現場で毎日采配を振っていられる場合は良いのだが、そんな建て主はまずいない。
すると、現場に監督が不在となり、職人は各々のペースで仕事をするようになる。
工事箇所がかち合ってしまったり、作業時間がいいかげんになってしまったりで納期遅れの原因になりやすい。
また細かいことでは作業後の後始末の悪さや、タバコの吸い殻やゴミの始末の悪さなども問題も併発しやすい。
これらは小さな不満ではあるけれど、建て主から見て職人に対する信頼感を失いやすい。
信頼感が無いと、全ての作業(工事)が不満に思えてきて、不信感が徐々に堆積していく。
そのストレスの為、胃潰瘍になってしまう建て主が出現し、建て主の家族に大きな負担がかかっていく。
家族全員が病気になってしまう事だってありえる。
現場管理のできない設計事務所は分離発注を止めて下さい。
分離発注に取り組む設計事務所の皆様に聞いていただきたいお願いが三つあります。
今からでも遅くはありません。
取り組んでみて下さい。
(1)事前説明と事後説明をして下さい
(2)材料調達の独自ルートを開拓して下さい
(3)専門工事会社のネットワークを組織して下さい
工事は始まると予期せぬ出来事が発生する場合があります。
そんな時はよく説明をして下さい。
予算オーバーや工事の遅れ、はたまた納まりや、各種の不具合などいろいろな問題があります。
長年建築に携わっている人から見れば些細な問題でも、初めて建て主になる者にとっては大きな不安です。
根気よく何度でも理解するまで説明して下さい。
得心ができれば後に不満や不安は残りません。
事前と事後と2回は説明して下さい。
なかなか理解できませんので。
建て主は願っています。
材料が一円でも安く、一日でも早く調達できることを。
そのためには仕入先に強みを持った独自ルートが不可欠です。
これは建て主だけにメリットがあるばかりではなく、他の設計事務所との差別化に繋がります。
設計事務所の大きな強みになります。
あなたの設計事務所だけが調達できる独自ルートを開拓して下さい。
建物は専門工事会社の職人の腕で決まります。
作るのは職人です。
あなたの設計事務所がどれだけ優秀な職人とネットワークを持っているかが分かれ目になります。
まだまだ分離発注は一般的ではなく、分離発注に理解を示す専門工事会社は少ないようです。
仕事の付き合いはこれから長く続きます。
分離発注を理解している工事会社とネットワークを組むことは決して無駄にはなりません。
工事もスムーズに進むと思います。
専門工事会社とのネットワークがあると安心して依頼できます。
がんばって下さい。
<おことわり>
このページの意見は分離発注に取り組む個別の設計事務所を非難しているわけではありません。
分離発注をを進めてきて小生が感じたこと、これからの設計事務所に対して考えたことを言葉にしてみました。
小生の意見を基に各設計事務所や建て主の方が精進されることを希望します。
最後に小生が大上段に振りかぶり、偉そうに書いてしまいましたことお詫びします。
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